穏やかな旅立ち

月初めの4日深夜、多摩区の芦川さんから義母(石井光子)様逝去の報せを頂きました。芦川さんの奥さんのお母様です。数え年92歳の御生涯でした。当日まででお元気に生活をされていたようですが突然に具合が悪くなり亡くなられたというお話でした。

芦川さんご夫妻より家族だけの葬儀を当山で執り行いたいという申し出がありましたので、当山での葬儀の次第を説明した上で準備を調え、9月8日の通夜式、9日の葬儀告別式を客殿で営みました。

光子さんのことは詳しく存じ上げませんが、戦前戦後の大変な時代を乗り越え、その後、結婚されて二人の娘さんを授かりましたが、事情があって一人で娘さんを育て上げられました。人生は誰もが山あり谷ありですから、光子さんもご苦労が多かったと芦川さんからうかがいましたが、二人の娘さんにはそれぞれに子供を授かり、お孫さんとひ孫まで見ることができましたし、晩年は芦川さん夫妻に見守られ、姉妹三人で仲良く生活を楽しんで居られました。

長く川崎区で芦川さんたちと一緒に生活されていましたが、4年ほど前に多摩区に転居されました。光子さんが健康を損なわれたお話をうかがったことはありませんから、100歳の大台も迎えられるのではと思っていましたが突然の旅立ちとなってしまいました。

当山の客殿に安置された棺の中のお顔はとても穏やかで、自身に与えられた人生を精一杯歩みきったさわやかなお相(すがた)と拝見しました。通夜式・葬儀告別式では故人のために設えられたささやかな祭壇に、法華本門の本尊を御奉掲申し上げ、光子さんの成仏を願って法華経を読誦、法華本門のお題目をお唱え申し上げ引導御回向を申し上げました。

光子さんを思うご家族の方々の優しい心とご信心によって、無事厳かに初七日忌法要まで葬儀一切を執り行うことができました。人生の最後を締めくくる葬儀などの仏事を粗末に考える世相も見受けられる時代ですから、日蓮大聖人の教えのままに法華経とお題目の功徳をもって祈念を申し上げ、霊山にお送りできたことを有り難く思います。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

相武山 山主

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