相武山 妙法院のブログ

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相武山 妙法寺 ブログ

仏教東漸の道を訪ねて(上)

6月22日から9日間の旅程で中国の西域を訪ねました。仏教がインドから中央アジアを経て中国に入ってきた仏教東漸の道です。一昨年の秋、10年ぶりに中国に渡り、法友14名と天台大師の御事跡である天台山と玉泉寺を訪ねる研修をしましたが、その帰路『シルクロードも訪ねたい・・・・・』という声が上がり、その後、プランを練って準備をしてきたものです。

今回の探訪は旅行会社が企画した一般ツアーではなく私たちのオリジナルツアーです。私の関心は「炳霊寺と麦積山」でしたが、私と久保さん以外は皆初めてのシルクロード探訪でしたので、炳霊寺と麦積山をメインにすえて、定番のトルファン、敦煌、西安の観光を入れた企画となりました。中国は広い国ですから今までの経験では観光地の移動にかなりの時間がとられます。そこで、今回は国内便を利用したり、できたばかりの中国新幹線、在来の鉄道などを利用して移動の時間を短くするようBS観光の範さんと一緒に工夫しました。

旅程は羽田から北京へ、北京から新疆ウイグル自治区の省都ウルムチへ。ウルムチからトルファンは専用バスで高速道路を利用。トルファンからは中国新幹線で敦煌へ、敦煌から蘭州には一日かけて黄土高原を在来の列車で移動。蘭州(炳霊寺)から天水(麦積山)、天水から西安は新幹線で移動。西安から北京は国内便、北京から羽田に帰国という旅程でした。都合で3名の方が参加できなくなりましたが、法友8名で仏教伝来の道を意義深く歩きました。

前回の天台山研修で10年ぶりに訪ねて中国の発展に驚いたのですが、今回の西域探訪も25年前の中国に比すれば驚愕に値するものでした。そのおもしろい変化についても述べたいのですが、このブログでは今回のながれとポイントだけのご紹介です。

私たちは早朝7時半に羽田空港国際線に集合し北京に向かいました。北京空港はオリンピックの開催で広大な施設となっていましたが、さらに拡張が進められているようです。その北京から国内線に乗り換えて新疆ウイグル自治区の省都ウルムチへ。羽田から北京よりも北京~ウルムチの方が遠く感じました。

2日目はウルムチの自治区博物館の見学からのスタート。新疆ウイグル自治区の文物を広く収集紹介する博物館では「ローランの美女」など、貴重な資料が展示されており、丁寧に見学すればかなりの時間がかかります。私たちはトルファンに向かわなければならないので1時間20分ほどで退館。
中国ではセキュリティチェックが厳格ですが、ウイグル族が多数を占める新疆ウイグル自治区でのセキュリティチェックはさらに厳しく、ウルムチからトルファンへの移動では、高速道路に検問所があって数回パスポートチェックがあり、トルファン見学の時間が制約を受けました。

トルファンに着いたのは15時過ぎ。遅いランチもそこそこに駆け足で交河故城、ベゼクリク千仏洞、高昌故城など著名な観光地に立ちましたが、残念ながらショートカットでの見学でした。古の城郭都市を今に伝えるのが交河故城。高昌故城は仏教信仰の厚い高昌国の都で玄奘三蔵も立ち寄って講義をしたと伝える講堂を見学。火焔山からほど近くムルトク河の断崖にある仏教石窟がベゼクリク千仏洞。5世紀の高昌国の時代から14世紀の元の時代まで開削された仏教遺跡です。イスラム教徒による破壊やヨーロッパの探検隊による蛮行でかなり傷んでいますが、ウイグルの人々が仏教を厚く信仰していたことがよくわかる遺跡でした。めったに雨の降らないトルファン地域ですが、私たちは珍しく小雨に出会い、交河故城では砂塵の洗礼も受けました。西域なので日暮れが遅く何とか旧跡のポイントを回ることができたトルファンでした。

3日目はウイグル族のブドウ農家見学からスタート。ぶどう棚の下で、おいしい干しぶどうと特産のハミウリでおもてなしを頂きました。ブドウもハミウリも共に味が良くお土産に最適と少々求めました。次に「カレーズ」というトルファン特有の水利施設を見学してトルファン北駅から新幹線に乗車。最新の駅舎から真新しい車両に乗り込み、車窓から新疆ウイグルの風景を見ながらのランチタイム。3時間40分ほどで新幹線柳園南駅に到着。その昔、まる1日かかって敦煌からトルファンに移動したことからみれば夢のようです。柳園南駅から敦煌までは専用バスでの移動。道路事情が悪くて2時間40分ほどゆられました。夕食後、まだ明るい夜市に出かけて興厳房と散策を楽しみました。ここでも町並みや建物、人々の姿の大きな変化に驚きです。

4日目は参加者の皆んなが楽しみにしていた敦煌莫高窟の見学です。近年、敦煌観光はあまりの人気に規制が厳しくなっている様子。見学できる石窟も制限され入場者も1日6000人が上限ということでした。現地に行く前に近年新設されたメディアセンターにて、敦煌の歴史と地勢、莫高窟の解説を映像で学び、センターから莫高窟までは所定のバスで移動。敦煌莫高窟は鳴沙山東側の断崖に開削された石窟群で、前秦時代の366年から14世紀の元の時代まで掘り続けられた世界的価値の高い仏教遺跡です。莫高窟選任ガイドの案内ではじめに莫高窟の名を世界に伝えた「蔵経洞」を見学。続いて北魏時代から盛唐時代までの彫像や壁画などが遺る8つの石窟を見学。各石窟からは仏教を讃歎する当時の信仰者の思いが伝わってきました。この日もかなりの見学者が訪れていましたが、オリジナルツアーの強みでしょうか、莫高窟を象徴する大仏殿前までスムースに見学することができました。

ランチタイムの後は敦煌博物館を見学。屋外はかなり気温が高かったのですが、博物館は空調も効いており、1時間半ほど敦煌の歴史と文化を学ぶ機会を得ました。小憩の後は鳴沙山と月牙泉を訪ねました。時間の都合でラクダに乗る観光は諦めましたが、数人の方と一緒に鳴沙山に上りました。私は今まで2回上ったことがありますが、今回は流れる細かい砂と上りづらい道に悪戦苦闘してしまい、興厳房の心配そうな顔が印象的でした。それでもいつものように意地をはって上りきり、砂山の頂きからオアシス都市敦煌の眺望を楽しみました。自らの年齢と体力を自覚する旅ともなりました。

5日目は敦煌から蘭州までの列車移動です。朝8時過ぎには敦煌駅に到着、添乗案内の範さんは超ベテランですから時間にはとても慎重。何が起きても対応できるように時間には常に余裕を持って行動します。9時12分敦煌始発の列車でも油断はありません。私たちは立派な寝台列車で炳霊寺見学のために蘭州までの乗車。夜の11時頃に蘭州到着ですから時間があり過ぎるかなと思っていましたが、コンパートメントになっているので、みんなで近況や昨日までの見学について愉しく談笑する時間がとれました。近年、日本では食堂車をみることができなくなりましたが、この日は食堂車で昼食と夕食を頂きました。中国の列車は広軌なのであまり揺れず、ゆっくり食事を頂くことができます。
車窓からは黄土高原、河西回廊という中国らしい風景がながれ、嘉峪関・酒泉・張液・武威という歴史的都市を通過して甘粛省の省都蘭州には深夜の到着。明日の炳霊寺見学を楽しみに就寝。(つづく)

相武山 山主

2019年08月29日

戦没者追善法要

8月15日、恒例の戦没者追善法要を執り行いました。この法要は当山開創以来大切にしてきた法要です。太平洋戦争に至る道やその渦中で、国内外の戦場や空襲で、300万人以上の国民の尊い生命が失われました。中には戦争に反対して命を失った人もいます。眼をアジアに転じれば日本人以上に多くの人々が戦争によって貴重な生命を奪われました。本当に悲惨で辛く苦しい戦争でした。

15日は終戦記念日といわれていますが、敗戦記念日ともいえるでしょうし、日本に占領されたアジアの国々にとっては解放記念日ともなります。戦争の理由や責任については今もすっきりしていない面がありますが、軍部独裁や権力者の横暴、現人神信仰や神国日本思想などによって戦争への道をひた走り、国が破れ多くの国民が死傷し、地獄や餓鬼や修羅のような生活に陥ったのは事実です。

無条件降伏を受諾したことによって、我が国は国民主権による民主主義国家となりましたが、一人ひとりの国民が基本的人権や民主主義を求めて得たものではありませんから、今に基本的人権や民主主義が理解できていない世相を見ることがあることは残念です。いずれにせよ、数百万の国民の生命と財産を奪い取った戦争を直視すること、甚大な損害と迷惑をかけたアジア諸国に反省と謝罪をすることを忘れてはいけないと思います。また、それらの犠牲の上に民主主義や自由、社会生活を享受していることも自覚しなければならないと思うのです。

私は終戦記念日こそ犠牲となられたすべての人々の冥福を祈り、戦争と平和、民主主義と自由を真摯に考える機会にしなければならないと考え、8月15日の戦没者追善法要を営んでいます。当日は時折小雨が降る天候でしたが、心配していたほどの風雨ではなく、参詣者の方々とこころ静かに祈りをささげることができました。

相武山 山主

 

2019年08月27日

和やかなお参り

8月は11日の日曜法話会の後、13日の宗祖月例御講、15日の戦没者追善法要に併せてと、月遅れのお盆には多くの方々にお参りを頂きました。お参りはご先祖や有縁の精霊に寄せる思いがかたちに顕れたものであり、想いの心がなければできないことです。知恩・報恩を大切にする日蓮大聖人門下にとっては有り難い姿といえましょう。法会ではご一緒に法華経要品を読誦し南無妙法蓮華経のお題目をお唱えして御回向を申し上げました。
その後の法話は11日が私の担当で千日尼御返事を拝読。阿仏坊夫妻と家族の姿から絆と思いやる心、そして信仰についてお伝えしました。13日と15日の法話は興厳房の担当。盂蘭盆御書を拝読して丁寧に盂蘭盆のいわれを解説。目連がその母を救う伝説から親子の情愛と人生の歩み方にふれ、煩悩を制御する信仰の大切さをうったえました。

また、本堂に上がっての参詣はなされないものの、墓所や永代供養墓にも多くの方が三々五々お参りをされ香華をささげておられました。ご家族連れが多いようでしたが、友人縁者の方々のお参りもあったようです。時折伝わってくる話し声や動きなどからは和やかで穏やかな雰囲気がよくわかります。故人を大切に思うゆかりある人々が墓所に集い、在りし日の故人を偲び、笑顔で親しく近況などを語り合っている光景は微笑ましいものです。そこには墓所が寂しく意味のない場所と棄捐する人々には知り得ぬ世界があるといえましょう。

この世のすべては私たちの思議を超えたご縁によるものといっても過言ではありませんから、これからもお盆などを故人との縁から現在の縁に想いをいたす好機としてほしいと思います。

相武山 山主

2019年08月21日

狂気と憎悪を超克しよう

8月の日曜法話会は蝉しぐれがかまびすしい11日の開催。第1幕の世相のテーマは「狂気と憎悪を超克しよう」でした。「京都アニメーション放火事件」「アメリカでの連続銃乱射事件」「危険な日韓関係」の3つを取り上げ、事件や犯罪の温床である狂気と憎悪について参加者の皆さんと考えました。

はじめに3つの事件の概要を説明し、次に犯行の動機や摩擦の原因などに不明の点があるものの、底流には狂気や憎悪が存在することを指摘しました。また、8月15日の終戦記念日を迎えることから、欲望と狂気、憎悪などから争いが生まれ、戦争に至る道と戦争は狂気と憎悪の世界そのものであることを述べました。さらに狂気と憎悪は人間の本質として存在するものであり、誰もが具有していることを認識することと、その性分が外縁によって発揮されることに注意しなければならないことをお伝えしました。

学ぶべきこととしては、「争いや無差別テロは狂気と憎悪から発生していることを知る」「狂気と憎悪は誰もが具有しているもの。内在する狂気と憎悪を知り、知性と理性、正しい信仰で制御しよう」「自らの幸いばかりでなく、すべての人々の幸いを祈る」「他者の狂気と憎悪にも注意を払い、それらからは幸いが得られないことを伝えよう」と述べ、皆さんとご一緒に犠牲者の方々の冥福を祈りました。

第2幕のテーマは「続・日本の仏教」「鎌倉仏教、日蓮と法華宗」の1回目。先月開くことのできなかった鎌倉時代略年表を参照に、駆け足ではありましたが日蓮の活躍した時代の動きについて一緒に学びました。時代と共に生きるのが人生ですから、如何なる時代、如何なる社会に生きたのか、ということはその人を客観的に知る上で大切なことです。鎌倉時代の全容から宗祖の時代的環境を学びました。

法話会の後には桜井さんのご好意で再びブルーベリー狩りをさせて頂きました。法話会の参加者をはじめ、お盆の供養にお参りの方々も思わぬ機会に大喜び。熟れた実を頬張りながらブルーベリーを摘んでいました。
来月の日曜法話会は9月8日の開催。第2幕の内容は「日蓮大聖人のご生涯」です。
なお、10月の日曜法話会は6日を予定していましたが、20日に変更しましたのでお間違いのないよう、よろしくお願いいたします。

相武山 山主

2019年08月20日