心からの安堵

この秋は台風や強風の報道に敏感になっていました。というのも境内南西側の雑木林の高木の伐採作業が進んでいなかったためです。川脇さんのご尽力で夏に一応の対策は講じることができましたが、台風などで強風が吹けば伸びた枝の抵抗もあって倒木などの危険も想定されました。できる限りの対応を準備していた折に、遠隔地に住むある篤信のご信徒から『伐採について協力したい』という実に有り難いお申し出を頂きました。『知人が川崎市多摩区で造園業をしているので、倒木の心配のある樹木だけ伐採させてもらいます』というお申し出でした。縁の有る同信の方でしたが当山のご信徒ではありませんので少々遠慮はありましたが、信心からの自発的なお申し出であり喜んでお受けいたしました。
10月3日、バス通りからの道路を許可を得て通行止めとし、重機を据えて伐採作業を行いました。小雨の中での作業でしたが、親方は重機のゴンドラを手際よく操作しながら枝をどんどん伐採して行きます。切り落とした枝がみるみるうちに雑木林に積み上がって行きますが、3名の若い衆が太い幹を切り分け枝葉を整理していました。あいにくの天気でしたから予定どおりの作業とはいかなかったようですが、倒木の危険があった2本の樹と大きく葉を伸ばしていた樹木3本を整理することができ、危険を回避できたような気がしてほっとしました。
14日には二度目の伐採作業。境内墓苑の中に重機を入れて上からの伐採です。天気にも恵まれ朝から夕方までとなった作業では、前回よりもはるかに伐採が進み、うっそうとしていた雑木林はすっきりして、向かいの追分市民の森を見渡せるようになりました。重機の作業領域の関係で数本の高木は残りましたが、これでしばらくは倒木や道路の閉鎖などの心配から解放され心から安堵することができました。
雑木林に陽が差し込むようになり、墓苑も明るい景観が広がりましたから、これからさらに整備をして雑木林のスペースを活用したいと考えています。篤信(信仰心が篤い)の信徒のご支援で心配事が解消し、有縁無縁の人々の仏縁に資する環境が調えられることは有り難い限りで心より感謝をしています。
仏道を護り伝えてゆくのが「法華の道場」の務めです。主体的にその任にあたるのは僧侶の役目ですが、檀信徒の物心両面にわたる支えがなければ護持することは到底できません。釈尊の昔から仏法守護の檀那(だんな)が存在し、アジア仏教史の上でも各地に供養者(くようしゃ)が存在し、宗開両祖の御在世にも檀越(だんのつ)が存在しているゆえんです。当山も常日頃から『法華経と日蓮大聖人の仏法は大切でありお護りしなければならない』と信仰される檀信徒の皆さまの志によって護持されています。樹木の伐採を機縁にこれからも僧俗同心して仏法守護に努めてゆきたいと願っています。
相武山 山主

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