相武山 妙法院のブログ

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相武山 妙法寺 ブログ

10月の日曜法話会

現在、日曜法話会では日本の仏教史を継続的に学んでいます。
仏教はインド出生の釈尊によって創唱された世界宗教です。その基本思想は普遍的なものですが、その寛容性と多様性から時代や地域によって異なりがあるのも事実です。私たち日本における仏教もインド原始仏教やと東南アジアの仏教、中央アジアや中国・韓国の仏教とは異なる日本的な仏教ということがいえるでしょう。そのいわれを知るためには日本仏教の歴史を概観し理解する必要があります。

10月の法話会では先月に引き続き、平安時代中期~後期の仏教「浄土信仰から専修念仏について」。
念仏信仰とは本来「仏を念ずる信仰」であったものが、阿弥陀仏の救済を信じて西方極楽世界に往生を願う信仰となり、当初は観想念仏(仏身・仏国土を憧憬の念を持って想い敬う念仏)であったのが、南無阿弥陀仏と弥陀の名号と唱える称名念仏となり、やがて一切の仏教経典を措いて専ら称名念仏に努める専修念仏にいたったながれを解説。
次に「浄土信仰の担い手」として、平安時代の寺院は国の管理下にあり、浄土思想は主に都の貴族の信仰であったこと。また、(官)僧は現代でいう公務員であり、官僧は制約も多く、国家のために仕事に専念するしかなかったこと。そのような制約により、庶民の救済ができない状況に嫌気が差して官僧を辞し、個人的に教化活動する「私度僧」が現れるようになり、大寺院に所属しない名僧を「聖」(ひじり)ということなどを説明。

続いて念仏僧として著名な「空也」「良源」「恵心」について簡略に解説。下級貴族の間に浄土教が広く普及していくに従い、上級貴族である藤原氏もその影響を受け、現世の栄華を来世にまでという思いから浄土教を信仰。やがて末法思想の流布と共に浄土信仰は大きなうねりとなり、日本の仏教は国家管理の旧仏教から民衆を救済の対象とする大衆仏教への転換期を迎え、浄土信仰は法然によって専修念仏へと向かったことを解説。
最後に専修念仏を主張し日本浄土宗を開宗した法然の生涯と著述、思想と教えについて略述して法話会を結びました。
今年最後となる11月度の法話会は18日(日)に開催。テーマは日本仏教に大きな影響を与えた「末法思想」についてです。
皆さまの参加聴聞をお待ちしています。

相武山 山主

2018年10月29日

有志竟成とその語録

10月度の日曜法話会は14日の開催。

「世相」では『本庶教授、ノーベル賞を受賞』をテーマに取り上げました。
2018年のノーベル医学生理学賞は京都大高等研究院の本庶 佑特別教授(76)と米テキサス大のジェームズ・アリソン教授の2氏に授与されました。
従来のガン治療は「手術・放射線療法・化学療法」で、外部からガン細胞を除去する治療方法でしたが、両氏の研究によって新たに免疫療法による治療の道が切り拓かれたことが受賞の理由です。免疫研究によって創られた新ガン治療薬が「オプジーボ」。免疫のブレーキとなる「PD-1」と呼ばれるタンパク質の働きを妨げることで、がん細胞を免疫に攻撃させて治療する薬です。この研究と薬剤のお陰で多くのガン患者が救われました。

本庶教授の座右の銘は「有志竟成」(堅固な志を持つ者は必ず目的を成し遂げられる)であり、モットーは『知りたいという好奇心』と『簡単に信じないこと』と報じられていました。何ごとにおいても明確な志がなければ目的を立てることすらできませんし、目的を立てたとしてもその志が軟弱であれば成し遂げることなどできません。すなわち、人生においては志を立てるということが第一であり、次にその志を強く堅いものとなるように磨いて行くことが大切なのです。その実践に努めたならば、自らの願うようなかたちになろうとなるまいと、目的は成し遂げられたことに気づくことでしょう。人生において「好奇心の大切さ」と「むやみやたらに信じることの危険性」にも同感しました。

教授から語られた語録には価値のあるものが多く、そのいくつかを法話会の参加者にご紹介しました(以下)。
☆ 「優れた研究者には6つのCが必要」
「challenge(挑戦)」 「confidence(自信)」 「courage(勇気)」 「concentration(集中力)」 「curiosity(好奇心)」 「continuation(持続性)」 。
☆ 知りたいと思う、不思議だなと思う心を大切にする。
『土星の輪がなぜああいうふうにできるのか知りたかった(小学生の頃)』
☆ 教科書に書いてあることを信じない。
(基本と言われていることに疑問を投げかけ、新しいことを発見したり、応用してオリジナリティなものを作ることが大切)
☆ 『本当はどうなっているんだ?』という心を大切にする。
(自分の目でモノを見る、納得する、そこまで諦めない)
☆ 『科学は多数決ではない。既存の概念を壊す少数派の中の中からこそ新しい成果が生まれる』
☆ 『何が大切かについて生命科学は100人いたら100通りの解がある。どこに課題があるかすら分からない。たくさんのことをやってみないといけない』
☆ 物事に不可能はない。必ず道があるとの思いでやってきた。
☆ 実験というのは失敗が当たり前で、一回一回のことでめげていたらダメ。
☆ 『多くの人が石ころと見向きもしなかったものを、10年、20年かけて磨き上げ、ダイヤモンドであることを実証すること』
☆ 『子どもの頃に、野口英世の伝記を読んで、医師として研究者として、非常にたくさんの人の役に立ちたいと思いました』

・・・・・
優れた研究者はすぐれた人生の先達といえるでしょう。

相武山 山主

2018年10月29日

暴風と塩害

今年は台風の当たり年でしょうか。ついこの間強い台風が来襲したばかりと思ったら、9月30日の夜には風24号が和歌山県に上陸。近畿地方から東北へ日本を縦断して行きました。
各地に暴風の被害をもたらしたこの台風は、当山の門扉と竹垣を吹き飛ばし、境内一面に樹木の枝葉を乱舞させ、1日の御経日の前に作務を増やしてくれました。また、台風の時には当山本堂南側と正面南側の扉から雨が吹き込むことも多いので、前日の夜には畳を上げて用心して居ましたが予感的中でした。それでも大事に至らなかった事は何より有り難いこと。「無事」はすべてに優先して尊いことと感謝しています。

台風の通過から2日ほど経って三師塔裏手のイチョウの葉の色が半分変わっていることに気がつきました。まだ黄葉でもないのにどうしたのかな?と見ているうちに台風の塩害かもしれないと思い、調べてみるとどうもそのようです。横浜市の北西部にあたる当山ですが、直線距離にすれば東京湾から10キロ、相模湾から20キロもありません。あの猛烈な風に海水が飛ばされてきたのでしょう。自然の力の大きさに驚くばかりです。

相武山 山主

2018年10月28日

明るい笑顔が忘れられません

お寺の行事などでいつもご協力頂いていた横須賀市の新倉進一さんが急逝されました。新倉さんはお父さんの松五郎さんとお母様の信仰を継がれて、当山開創当時からのご信徒です。横須賀市にお住まいでしたし、長く仕事をしておられましたから、岸根や羽沢の時代にはあまり参詣することができないようでしたが、妙法院が現在地に移転する頃から少し時間がとれるようになり、積極的に参詣されるようになりました。ここ数年は年中行事はもちろん毎月の法話会には必ず参加されていました。

また、遠路にもかかわらず兄弟の皆さんと一緒に「境内の草取りや堂宇の清掃」にもご協力いただき、御会式や総会等の時には駐車所の整理に奮闘して頂きました。明るい笑顔で参詣者に声をかけられていた姿が忘れられません。

9月の法話会には出席されていましたが、その後持病の心臓病のために緊急入院され、いつも欠かすことのない彼岸の法要にも参詣されませんでした。弟の昇三さんから彼岸会のおりに状況をうかがっていましたので朝夕の勤行の砌に御平癒を祈念しておりましたが、9月29日に急逝されました。行年81歳でした。新倉さんもご苦労の多かった人生のようでしたが、晩年には心置きなく法華経の信仰に励んでおられましたから霊山浄土は間違いないことと存じます。ご家族の方々としめやかに葬儀を執り行い心よりご冥福をお祈り申し上げました。
進一さんありがとうございました。

相武山 山主

2018年10月28日