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相武山 妙法寺 ブログ

かぶ御講を奉修

11月15日は日興門流第三祖日目上人の祥月の御命日忌。
当山では12日(日)午後1時から御報恩の法要を執り行いました。日目上人会は略して目師会と称され、また、かぶ御講ともよばれています。当山でも御宝前に目師会ゆかりの蕪をお供えし、参詣の檀信徒の皆さまと倶に、法華経要品を読誦、献香、唱題と如法におつとめし御報恩申し上げました。

法要後の法話は「日目上人の御一代について」。御書システムの辞書を参考にその御生涯を解説。ご誕生から出自、修学から出家のいわれ、日興上人、日蓮大聖人との師弟のあゆみ、求法と弘通の御生涯をお伝えしました。ことに遺された申状に見られるように為政者への諫暁は数度に及ぶといわれ、生涯を法華弘通にささげられたことを門流末弟は銘記しなければなりません。

日目上人は建武の新政という時局の展開を迎え、高齢と体調の不良にもかかわらず京都をめざされましたが、美濃国垂井の地で御遷化されました。大石寺門流には「広宣流布の暁には日目上人が再誕される」という言い伝えがあり、稚児の小僧を大切にするという教えもありますが、それは目師の法華弘通の功績を称えた伝承でしょうか。
また、法話の結びには、天奏のお供をされた日尊上人(京都・要法寺開山)、日郷上人(保田・妙本寺開山)は後に門流の発展に大きな足跡を遺された方であることも紹介しました。

相武山 山主

2023年11月25日

平和を祈ろう(下)

ー 平和な社会は一人ひとりの心から ー

中東での深刻で悲惨な戦争の現状と遠因などについての解説に続いては「戦争と平和の基礎知識」。
★平和とは?
「戦争や紛争がなく、世の中がおだやかな状態にあること。また、そのさま。心配やもめごとがなく、おだやかなこと。また、そのさま。」のことです。《デジタル大辞泉》
「平和とは戦争や暴力がなく、社会が安定している状態のこと。国際関係においては戦争が発生していない状態を意味している。元来、戦争は宣戦布告に始まり平和(講和)条約をもって終了する。これにより平和が到来するとされてきた。国際連合憲章の下では、一般に、自衛権や安全保障理事会の決定に基づくもの以外の武力行使は禁止されており、伝統的な意味での戦争は認められなくなっている」ことを説明。

★戦争はなぜ起きるのか?
「戦争が起こる原因は多岐にわたる。一般的には政治的な問題や経済的な問題が引き金となることが多い。また、民族や宗教、領土などの問題も戦争の原因となることがある」ことを説明。

★戦争を防ぐために
「政治的な問題や経済的な問題を解決することが必要。また、教育や文化交流などの手段を通じて、人々の理解を深めることも重要。さらに、国際社会が協力して、平和を維持するための枠組みを作り上げることも必要。これらの取り組みが進むことで戦争を防ぐことができる」ことを説明。

★戦争を停止し平和をもたらすために(一般的な指摘)
戦争は人々の生命、財産、文化、環境などに深刻な影響を与える。平和をもたらすためには以下が必要となる。
『寛容さと理解』人々はお互いを尊重し、寛容である必要がある。異なる文化や価値観を理解し、受け入れることが重要。
『教育』平和についての教育は、人々が平和的な方法で問題を解決するためのスキルを身につけることができる。
『紛争解決』紛争解決の方法を学び、紛争を平和的に解決することが必要。
『国際協力』国際社会は、平和を維持するために協力する必要がある。国際機関やNGOなどが、平和維持活動や人道支援活動などを行っている。
『貧困削減』貧困は紛争の原因の一つであり、貧困削減は平和につながると考えられる。
『武器管理』武器管理は、武器の不正流通や違法使用を防止するために重要。
以上、平和をもたらすためには、寛容さと理解、教育、紛争解決、国際協力、貧困削減、武器管理などが必要であり、さらに人々が平和のために積極的に行動し、努力することが必要であることを解説しました。

小結としての「学ぶべきこと」については、『戦争やテロの根本原因を識ることが大切。人類の歴史は戦争の歴史ともいえる。侵略戦争やテロは人や組織や国家などの欲望の追求によって発る。欲望追求と怒りのためには暴力的行動も辞さず大きな犠牲も躊躇しないという愚かな思考が戦争を招来。他者の存在と主張をまったく尊重しないという歪んだ姿勢が問題。平和と共存を求めてきた人類の歴史を理解できない愚かさ。三毒(貪欲・瞋恚・愚痴)に翻弄される人々や組織、国家の有り様が戦争の原因。戦争を回避し平和を構築するためには、一人ひとりの心に「平和を希求する意識」が確立されなければならない。』
とお伝えしました。

《平和を祈ろう》
テーマの「平和を祈ろう」について、「戦争は三毒(貪欲・瞋恚・愚痴)から生まれることを知る。平和は各自が意識し、その維持に努めないと脅かされる。平和を常に意識し言動によって表現する。祈りは心のはたらきだが、その実践が大切(仏神を信ずる人はその対象に、対象がない方も森羅三千の法界に)。平和な社会は一人ひとりの心の持ち方によって維持される。」ことを述べて第一部「世相」を終了。

《仏教に親しむ》
第一部の予定時間がかなり超過してしまいましたので、第二部「仏教に親しむ」では日蓮大聖人の立正安国論のお言葉を紹介するばかりとなりました。大乗仏教、ことに法華経の教えは現実世界での具体的な苦悩からの救済を願い、自分と他者が倶に救われることを願う仏教であることを日蓮聖人の言葉からお伝えしました。
『立正安国論』には
「倩微管を傾け聊か経文を披きたるに、世皆正に背き人悉く悪に帰す。故に善神は国を捨てて相去り、聖人所を辞して還らず。是れを以て魔来たり鬼来たり災起こり難起こる。言はずんばあるべからず、恐れずんばあるべからず。」とご教示。
続いて
「帝王は国家を基として天下を治め、人臣は田園を領して世上を保つ。而るに他方の賊来たりて其の国を侵逼し、自界叛逆して其の地を掠領せば、豈に驚かざらんや豈に騒がざらんや。国を失ひ家を滅せば何れの所にか世を遁れん。 汝須く一身の安堵を思はば先づ四表の静謐を祈るべきものか。」とご教示です。これらのお言葉から平和を維持できなければ自身の安寧も保たれないことがわかります。

レジメでは他に『白米一俵御書』『曾谷殿御返事』『減劫御書』『諸経与法華経難易事』を現代語訳つきで紹介しましたので、帰宅されてからじっくりと拝読されることをお勧めしました。
前の大戦以来、我が国は長く平和を享受してきましたから、平和ボケとまでいわれることがありますが、実はそんなに安全安心な環境ではありません。冷静に見渡せば戦争状態を維持している北朝鮮、北方領土をめぐるロシアとの緊張、尖閣諸島の領有を主張して領海侵犯を重ねる中国、また、竹島問題でも韓国と争いがあります。近隣諸国との関係は厳しいものがあるのです。さらに台湾問題や南シナ海での中国と東南アジアとの領海争いは危険水域にあるといっても過言ではないでしょう。
不安を煽るつもりはありませんが油断は大敵、努力なしに平和は維持されないことを理解しなければなりません。

10月度の日曜法話会では、未だ止まぬロシア軍のウクライナ侵略戦争、そこに中東、パレスチナの武装組織ハマスとイスラエルの戦争が勃発という事態を直視し、時に当たり参加聴聞の皆さまと一緒に「平和」について考えた次第です。所詮、戦争は個人や組織、国家の三毒から発り、平和は他者への尊重と慈悲心によって維持されることを学び、平和を希求する仏教徒としては、これからも油断なく平和を祈り、その輪を広げることに努めて行く想いを新たにしました。

相武山 山主

 

2023年11月22日

平和を祈ろう(上)

ー 平和な社会は一人ひとりの心から ー

10月度の日曜法話会は14日・15日に奉修した御会式の関係から月末の29日(日)に開催。中東(世界の火薬庫といわれる)で10月7日、パレスチナの武装組織ハマスによるイスラエル攻撃から、パレスチナのガザ地区で双方が激しい戦争に突入。その悲惨な状況はリアルタイムで連日世界中に報じられていることから、法話会のテーマは率直に「平和を祈ろう ー平和な社会は一人ひとりの心からー」としました。

《長期化するウクライナ戦争》
はじめに、昨年2月からのロシア軍のウクライナ侵攻とその現状について解説。長く続く戦争にはつい慣れが生じてしまいそうになるのが人情ですが、それは実に愚かなこと。戦争の起こりをよく知って、その現状から眼をそらすことなく平和への祈りと願いをもち、各自ができるだけの支援を心がけなければならないと思うのです。
2022年2月からの戦争は1年8ヶ月に及び、その「甚大な戦争被害、深刻な死傷者、家族の喪失、インフラと経済の破壊、国土の荒廃」は眼を覆うばかり。ウクライナはロシア軍を国外に追い出そうと死力を尽くして反攻していますが終戦の出口は未だ見えません。

2023年10月28日時点で、「ウクライナでは少なくとも1万1000人の民間人が死亡と推定(国連人権高等弁務官事務所)。ウクライナから国外へ避難した人は約800万人を超える(同国連難民高等弁務官事務所)。ウクライナの経済的損失はこの時点で約1兆ドルに上ると推定(世界銀行)。」と報じられています。
ロシア軍の侵攻はウクライナだけでなく、世界中に大きな被害をもたらしていて、エネルギー価格や食料価格の上昇など世界経済への影響は深刻です。

ロシア軍とウクライナ軍の戦死者の数は両国ともに未公表ですが、ロシア軍の戦死者はウクライナ軍の発表で27万7660人、米政府の推定で18万9500人~22万3000人、米政策研究機関「戦略国際問題研究所」の推定で最大約7万人。戦略国際問題研究所の推定では、ロシア軍の戦死者が第2次世界大戦後に関わった全ての軍事作戦の合計戦死者数を超えたとしていますから驚くばかりです。他方、ウクライナ軍の戦死者の数は約12万人、米政府の推定で7万人~12万人といわれています。戦闘で命を失う兵士の数は平時には想像もつかないほどの数であり、その死を悼み悲しむ家族・親族は数え切れません。

2023年10月28日現在、ウクライナ国内には「完全に生命の安全を保障される場所はない」といわれています。ロシアとウクライナは双方ともに戦争を停止したい思いはあるのでしょうが、引くに引けない状況のようです。戦闘の長期化については「両軍とも戦争で勝利するために、引き続き戦闘を続ける意欲がある。戦争の長期化によって、両軍とも戦争に慣れ、戦闘を続ける能力を高めている。」といわれていることを説明。世界に大きな影響を与えているロシアのウクライナ侵略戦争の終結が難しいことをお伝えしました。

《止まぬ戦火》
中東パレスチナのガザ地区で武装組織ハマスとイスラエルの激しい戦闘が始まりました。きっかけは武装勢力ハマスがイスラエルの国境を越えてイスラエルを急襲。多くのイスラエル人を殺傷し、さらに多数の人質を取ったことによります。そのためイスラエルは容赦なくガザ地区に侵攻、パレスチナ人を大量に殺戮して報復し、徹底的にハマスを壊滅する作戦を展開しています。

その経緯について以下「朝日デジタル」の報道から解説。
『パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスは7日、イスラエルに対する大規模攻撃を始めた。大量のロケット弾発射に加え、数十人の戦闘員がイスラエル領内に侵入し、民間人らを襲撃している。ガザ地区はイスラエル軍が封鎖しており、この規模の「侵入」は極めて異例だ。
ー略ー
商都テルアビブやエルサレムを含む広い地域で空襲警報が鳴り響くなか、ハマスは声明を発表し、「敵が説明責任を果たさずに侵略を続ける時期は終わった」として、攻撃に踏み切ったと述べた。米紙ニューヨーク・タイムズは、この日はユダヤ教の祭日で、攻撃は「前触れなく始まった」と報じた。また、ガザからの攻撃としては「ここ数年で最大規模」とした。
イスラエル軍は、報復としてガザ地区を空爆した。カタールの衛星放送局アルジャジーラが報じたガザ市内からの映像では、街の複数箇所で黒煙が立ち上っている。イスラエルの報復攻撃によるものとみられる。
イスラエルと、ハマスをはじめとしたパレスチナ武装勢力の間では、これまでも軍事衝突が繰り返されてきた。21年5月には両者の大規模な衝突が11日間続き、双方で270人以上が死亡した。
一方、昨年末にはイスラエルで史上最右翼と評されるネタニヤフ政権が誕生。パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区の併合を訴える極右政党が政権入りして以降、より強硬な対パレスチナ政策をとってきた。AFP通信によると、イスラエル治安部隊による「対テロ作戦」やパレスチナ側の襲撃で、今年に入り、少なくともパレスチナ人247人が死亡、イスラエル側でも32人以上が死亡。昨年以降例年以上の犠牲者が出ており、イスラエルとパレスチナの緊張は高まっていた。(エルサレム=高久潤、カイロ=武石英史郎)

次に、紛争の原因を知らなければその解決について論じることはできませんから、「なぜイスラエルとパレスチナの紛争が絶え間ないのか?」について、以下、『朝日新聞デジタル「そもそも解説」』から「紛争の歴史」について略述しました。
★イスラエルとパレスチナは、なぜ対立しているのか?
イスラエルは1948年に建国。欧州などで迫害されたユダヤ人が、祖先の土地に国をつくる運動を始め、移住した場所がパレスチナだった。建国に伴い、パレスチナ人(アラブ人)は故郷を追われた。
反発するパレスチナ人をアラブ諸国も支援し、イスラエルとの戦争が繰り返された。パレスチナ民衆によるインティファーダ(対イスラエル蜂起でも、双方に多数の犠牲者が出た。

★今回のハマスの攻撃が第4次中東戦争と重ねられている理由?
第4次中東戦争は73年10月6日、エジプトとシリアによる奇襲で始まった。イスラエルはユダヤ教の祭日中で、不意打ちにあって劣勢を強いられた。反撃に転じて約1カ月で停戦に持ちこんだが、緒戦で辛酸をなめた記憶はイスラエル国民の間で語りつがれている。
今回の攻撃は、50年前とほぼ同時期の祭日に起き、イスラエルが兆候を察知できていなかった点で通じる部分がある。ただ、占領したパレスチナを監視下に置きながら「奇襲」を受けたことは衝撃をもって受け止められている。

★両者が和平を試みたことはあったのか?
1993年、イスラエル政府とパレスチナ解放機構(PLO)は、仲介したノルウェーの首都オスロでの協議を経て、米ワシントンのホワイトハウスで「オスロ合意」に調印した。イスラエルと、独立したパレスチナ国家が共存する「2国家解決」を目指すという方向性が打ち出された。
ただ、パレスチナ人が住んでいた土地にユダヤ人が力ずくで住宅などを建設してしまう入植の問題や、双方が首都と主張する聖地エルサレムの帰属など、難しい課題は「将来の交渉」に委ねられた。

★交渉に進展は?
双方による襲撃事件や軍事衝突が後を絶たず、破綻してしまった。パレスチナ自治区は、パレスチナ自治政府が治めるヨルダン川西岸地区と、ハマスが実効支配するガザ地区に分裂。ハマスはイスラエルの存在を不正とし、自治政府の主流派ファタハとは一線を画して武装闘争を重視する。イスラエルは2007年にガザを封鎖した。米国が仲介する和平交渉も14年から中断している。
近年は、パレスチナを支援してきたアラブ諸国とイスラエルの関係改善が進んでいた。パレスチナ問題が置き去りにされ、ハマスは不満をつのらせていたとみられる。
(エルサレム=高久潤)
以上の解説を通してパレスチナとイスラエルの紛争の原因と現状を正しく知り、世界の人々が叡智と勇気を持って戦争終結と平和の維持に努めることが大切であることをお伝えしました。(つづく)

相武山 山主

2023年11月20日