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相武山 妙法寺 ブログ

春のお彼岸

暑さ寒さも彼岸までといわれますが、春のお彼岸が近づくにつれて寒さも緩みはじめました。コロナ禍のために21日までは神奈川県でも「まん延防止等重点措置」が実施されていますから、コロナ禍による自粛下のお彼岸も3年目となりました。
個々のお参りは問題ないのですが法要には注意が必要です。当山では昨年同様感染防止に注意しながらの法要でした。彼岸会は入りにあたる18日(金)と20日(日)、21日(月)の三日間、午後1時から執り行いました。

18日はあいにくの雨模様でしたが、20日と21日は天候に恵まれ、参詣の方々と倶に気持ちの佳いお彼岸の供養ができました。それぞれの法会では御宝前と精霊壇に献膳と供物。精霊壇には先祖有縁精霊のお塔婆を建立、法華経要品を読誦、南無妙法蓮華経の唱題をもって懇ろに追善ご回向を申し上げました。

法要後の法話では常不軽菩薩品第二十「われ深く汝等を敬う 敢えて軽慢せず 所以はいかん 汝等は皆菩薩の道を行じて まさに作仏することを得べし」の偈文を拝読。
また、崇峻天皇御書「孔子と申せし賢人は九思一言とて、ここのたび(九度)おもひて一度申す。周公旦と申せし人は沐する時は三度握り、食する時は三度はき給ひき。たしかにきこしめせ。我ばし恨みさせ給ふな。仏法と申すは是れにて候ぞ。一代の肝心は法華経、法華経の修行の肝心は不軽品にて候なり。不軽菩薩の人を敬ひしはいかなる事ぞ。教主釈尊の出世の本懐は人の振舞ひにて候ひけるぞ」を拝読。

日蓮大聖人は「法華経の修行の肝心は不軽菩薩の振る舞いであり、釈尊の出世の本懐は人の振る舞いである」とご教示であることを紹介。法華経と日蓮大聖人の教えを信行する私たちは「すべての人々の仏性を敬った不軽菩薩の精神。人としてのあるべき振る舞いこそ仏道」という宗祖の教えをお伝えしました。

また、お彼岸では「仏事は心を静めて己を見つめるときであり、彼岸会では自らが両親をはじめ先祖の生命を承け継ぐ存在であることを確認。有縁精霊の冥福を祈ることは大切な人の道。自らが天地自然に育まれあらゆる人々に支えられている存在であることを認識すること」をお勧めしました。

結びには立正安国論の一節「他方の賊来たりて其の国を侵逼し、自界叛逆して其の地を掠領せば、豈に驚かざらんや豈に騒がざらんや。国を失ひ家を滅せば何れの所にか世を遁れん。汝須く一身の安堵を思はば先づ四表の静謐を祈るべきものか」を拝読。ウクライナの戦争終結と平和の招来を皆さまと倶に祈願しました。

相武山 山主

2022年03月31日

続・三毒をみつめて

3月度の法話会、後半のテーマは先月に続いての「三毒をみつめて ー己れの心を涵養し穏やかに生きるー」です。始めに釈尊開創の仏教の目的が苦悩(苦しみ悩み)からの解脱(解き放たれる)にあることを説明。
釈尊は原始仏典ウダーナに「実に世尊は、仏眼で世間を見渡すと、衆生が貪欲によっても生じ、瞋恚によっても生じ、愚痴によっても生じる多くの苦悩によって悩まされ、多くの熱悩によって焼かれているのを見た」と説かれるように、さまざまな煩悩の根源が貪・瞋・痴の三毒にあると明かされています。

三毒である貪欲は「欲しいものなどに対して執着する心」、瞋恚は「思うようにならぬことに怒りを覚えること」、愚痴は「真理を知らず、物事の理非の区別がつかないこと」です。この貪・瞋・痴の三毒は自分自身を悩ませ苦しめるばかりか、国と国、人と人との争いの基にもなることを述べました。
先月は原始仏典スッタニパータから「欲望と智慧(欲望を制するもの)」について学び、衆生の身心を煩わし悩ます精神作用の総称としての煩悩についても説明しました。

今月は同じく原始仏典のダンマパダ(法句経)から「心の持ち方、心の姿勢の在り方が人生を決める」を学びました。ダンマパダには「ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。もしも汚れた心で話したり行ったりするならば、苦しみはその人につき従う。車を引く牛の足跡に車輪がついて行くように。 ー略ー ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。もしも清らかな心で話したり行ったりするならば、福楽はその人につき従う。影がそのからだからはなれないように」と説かれていることを紹介。

続いて同じくダンマパダから「苦悩からの解脱(執着を離れる、自己浄化への智慧)」を学びました。ダンマパダには「一切の形成されたものは無常である。と明らかな智慧をもって観るときに、人は苦しみから遠ざかり離れる。これこそ人が清らかになる道である。 ー略ー 一切の事物は我ならざるものである。と明らかな智慧をもって観るときに、人は苦しみから遠ざかり離れる。これこそ人が清らかになる道である」と説かれています。この経文からは「諸行無常、諸法無我、一切皆苦」の真理をよく理解し、仏道を実践すれば三毒を乗り越えて「涅槃寂静」の境地に至ることがわかります。

仏教では三毒を乗り越える人生が仏道と教えていますが、ではどのように乗り越えれば良いのかということについて古来「七仏通誡偈」が説かれていることを紹介しました。七仏とは過去の六仏に釈尊を加えた仏のことで、七仏が共通して説かれた教えのことです。中国では「諸悪莫作 衆善奉行 自浄其意 是諸仏教」と訳されました。「もろもろの悪をなすことなかれ、もろもろの善を奉行せよ、自ら其の意を浄めよ、これが諸仏の教えなり」と訓訳されますが非常にシンプルながら、仏道の根本を教えている言葉で仏教諸宗派で大切にされています。

結びに法華経の『普賢菩薩勧発品第二十八』「普賢。もしこの法華経を受持し、読誦し、正憶念し、修習し、書写することあらん者は、まさに知るべし、この人は、すなわち釈迦牟尼仏を見るなり。仏の口よりこの経典を聞くがごとし。まさに知るべし、この人は釈迦牟尼仏を供養するなり。 ー略ー  この人は、心意が質直にして正憶念あり。福徳力あらん。この人は、三毒に悩まされじ。また、嫉妬・我慢・邪慢・増上慢に悩まされじ。この人は、少欲知足にして、よく普賢の行を修せん」を紹介。
現代語訳では
「普賢よ。もしも、この法華経を受持し、読誦し、正しく記憶して忘れず、習い修め、書写する者がいたならば、この人はすでに私を見、私の口から直接この経を聞いているのである。まさに、この人は釈迦牟尼仏を供養しているのである。 ー略ー この人は、心が正直で、正しく記憶して忘れず、福徳の力が具わるだろう。それゆえに、貪・瞋・痴の三毒に悩まされないだろう。また、他人をうらやんだり、自己に執着して高ぶったり、無い徳を得たとうぬぼれたり、まだ悟りを得ていないのに、すでに得たとおごることもないだろう。この人は少ない欲に満足し、よく普賢の行を実践するだろう」となります。

三毒については日蓮大聖人の御書にも説かれていますのでレジメに列挙していましたが、タイムオーバーとなったために「普賢菩薩勧発品」の解説で今月の法話会は終了。日蓮大聖人の言葉は来月に紹介いたします。

相武山 山主

 

2022年03月30日

ウクライナに平和を

13日(日)は3月度の日曜法話会。
今月の世相のテーマは「ウクライナに平和をー戦争の悲惨さを直視し平和のための行動をー」。仏教に親しむのテーマは「続・三毒をみつめて」でした。
はじめに法話会の趣旨をお伝えした後、ウクライナでの戦争で犠牲となった方々に黙祷をささげました。黙祷は目を瞑り祈ることです。思想信条、宗教信仰の異なる人々が倶に弔意を表す行為として一般に行われています。法話会にはいろいろな方が参加して居られますから、お題目を強制するのではなく黙祷として思いを共有し、当山の御信徒や法華経信仰の方々には心の中でお題目をお唱えくださるようお伝えしました。

ロシア軍によるウクライナ侵攻はすでに3週間に及んでいます。ウクライナ国民の悲惨な状況はリアルタイムで世界中に流れ、多くの国で「どうしてロシアのプーチン大統領はウクライナを侵略するのか・・・。どうして罪のない市民を虐殺するのか・・・。どうしてこんな残虐なことができるのか・・・。プーチンやロシアの国民にはウクライナの人々の悲嘆の声が聞こえないのか・・・。なんとかしてウクライナに平和をもたらすことはできないのか・・・。」と悲憤の思いが語られていますが未だ停戦の兆しはありません。

法話会ではすでにメディアからの情報で皆さん承知であることを前提に「そのながれ」をおさらい。昨秋からロシアはウクライナ周辺に軍隊を大規模に展開し軍事演習を実施。同盟国のベラルーシとの合同軍事演習も実行。欧米などからの「ウクライナ侵攻懸念」に対し、「ウクライナに侵攻するつもりはない」と繰り返していたこと。2月21日、ウクライナとの停戦協定(ミンスク合意)を破棄して、ウクライナ東部のルガンスク州とドネツク州で親ロシア派の武装分離勢力が実効支配してきた2つの地域を独立した「共和国」として承認したことを確認。

2月24日、プーチン大統領はロシア軍に「特別軍事作戦を実行」としてウクライナ侵攻を命令。ロシア政府は『ウクライナの非武装化・非ナチス化のため、ドンバスで「特別軍事作戦」を開始する』と表明。ウクライナ各地の空港や軍事関連施設を攻撃。続いてロシア(北東側)、ロシアが併合したクリミア(南側)、ロシアの同盟国ベラルーシから(北西側)戦車や装甲車など陸上部隊が侵攻。ロシアはこの攻撃を「戦争」とも「侵攻」とも呼ばずに、『目的は威圧され民族虐殺に遭っている人たちを守るためであり、ウクライナの「非軍事化と非ナチス化」を実現する特別軍事作戦』であると主張。ラブロフ外相も『攻撃していない・・・』と発言したことを紹介。

ウクライナでは2014年に親ロシア派のヤヌコヴィッチ大統領が、数カ月続く国内の反対運動の末に失脚。これ以降、プーチン氏はウクライナは過激派にのっとられたと非難。ヤヌコヴィッチ氏失脚を機に、ロシアはクリミア半島を併合。さらに、ウクライナ東部の反政府分離運動を引き起こし分離派を支援。この分離派とウクライナ国軍の戦いではすでに14,000人が死亡していることを説明。

2月24日、ロシアは陸海空からウクライナ侵攻を一斉に開始。ウクライナのゼレンスキー大統領は徹底抗戦を宣言。『武力の差は歴然だがウクライナの独立、自由と民主主義のためにロシアと戦う』。4400万人の国民が立ち上がった。ロシア軍は各地で都市の中心部を爆撃し首都キーウ(キエフ)に迫っている。3月12日現在、ウクライナからは200万人以上の難民が隣国に脱出中であることを伝えました。

次に「残虐な侵略とプーチンの脅し、その主張と要求」では、ロシア軍が軍事施設以外の民間施設も平然と攻撃、市民には甚大な被害。住宅、病院、学校、交通インフラ、行政機関などへの容赦ない攻撃で多くの市民が死傷したこと。ロシア軍は『目的実現には住宅地さえ爆撃する用意がある』と発言。一歩間違えば世界の危機となる原子力施設へも容赦なく攻撃。プーチン氏は『もし西側が自分の邪魔をするなら「歴史上見たこともないような結果」に見舞われる』と警告。その数日後には、ロシア軍の核抑止部隊に「特別警戒」を命令して核の使用を示唆しての脅しを説明。

プーチン氏の主張と要求は昨年のプーチン論文などから『今のウクライナは共産主義時代のロシアが作り上げたもので、今や西側に操られている傀儡国家だ』と主張。その要求は、「ウクライナがNATO加盟国とならない法的拘束力のある確約。ウクライナの中立と非軍事化。その他、NATOがロシア国境の近くに攻撃兵器を配備しない」というものであることを解説。

続いて「プーチンのロシア」について。ロシアでは一部に戦争反対のデモやプーチン批判の動きも見られるが、「現状は自由な言論が封殺された言論統制下にあり、長く続くプーチンの独裁専制のプロパガンダによって世論が構築されている」ことを伝えました。
次にこの現代の戦争が情報戦であることを解説。「情報はいつの時代も大きな力。・情報によって私たちの生活は成り立っている。・教育と情報はその国の国民に大きな影響。・情報は広く正しく得ることが重要。・得た情報を理解し整理できること。・ハードとソフトの両面を学ぶことが大切。・情報の真偽(正しい情報か、偽りの情報か)を見極める。・フェイクニュース(偽情報)にだまされてはいけない。・独裁専制国家では情報が権力によって管理され制限されている。・自由で人権が保障されている民主的な国家では情報が一方的に管理制限されることはない。」と説明。

「軍事と情報」の歴史と現状を略述した後は、「ウクライナ国民の徹底抗戦、なぜ命をかけて抵抗するのか。(ここが理解できないとウクライナ問題は理解できない)・人権と自由、民主主義(国土・国民の独立自尊)を守る。・独裁専制の政治と統治を拒否する人々。」について説明。「戦争の終結は誰でもがわかるように、ウクライナが降伏するかロシア軍が撤退するかの二者択一しかない。それを決めるのはウクライナ国民でありプーチン氏その人であること。私たちは人権と自由、民衆主義と自主独立という価値観を共有するものとして、独裁専制国家の残虐な野望を許さないことと、一日も早くウクライナに平和がもたらされるよう具体的に行動することが大切」とお伝えしました。

結びに今回のロシアのウクライナ侵攻が、太平洋戦争に突き進んだ戦前の日本の体制や思想、言論や行動に酷似していることから、我が国の侵略戦争について今一度想いを馳せ、自省を確認するとともに「平和ボケ」といわれる我が国の自衛についても真剣に検討すべきとの所見を述べ世相のテーマは終了。

相武山 山主

2022年03月29日