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相武山 妙法寺 ブログ

御生誕八百年記念法要

今年は日蓮大聖人御生誕800年の佳節。コロナ禍という緊急事態ですが日蓮門下ではそれぞれに御報恩のまことをささげました。当山では旧暦の2月16日にあたる3月28日(日)午後1時から記念法要を奉修。
当日は朝方から小雨模様、法要の前後は曇天でしたが境内のソメイヨシノは満開。昨年末の境内整備によって本堂前から市民の森のサクラも一望できました。800年前の宗祖のご誕生もこのような花の時季であったのでしょう。まるでサクラが御生誕を祝福しているように思えました。

思いのほか参詣者が多く椅子を増設することになりましたが法要は定刻に開始。はじめに私から法要について、寿量品読経のおりに御報恩のため全員で沈香を献香申し上げ、自我偈は訓読することを案内いたしました。その後、献膳、読経、献香、唱題と如法に厳修。参詣者一同で御生誕八百年を慶祝申し上げました。

法要後の慶祝の法話では初めに法華経分別功徳品第十七
「如来の滅後に、もしこの経を聞いて、毀呰せずして随喜の心を起こさば、まさに知るべし。すでに深信解の相と為すなり。いかにいわんや、これを読誦し、受持せん者をや。この人は、すなわちこれ如来を頂戴したてまつるなり」を拝読。
宗祖の御生誕八百年を機縁に末弟としてさらなる仏道精進を誓い、慶祝記念に正信会より発刊された「妙法蓮華経要品 現代語訳付」を紹介。南無妙法蓮華経のお題目を秘めた法華経に親しむことの大切さを述べ、4月の春季法門研修会などで丁寧に内容を解説して行くことをお伝えしました。

また、コロナ禍で菩提寺に参詣ができず、宗祖の教えや信仰を学ぶ機会が難しいこと、高齢や病のため参詣できない檀信徒が多いことなどから、ウエブやDVDで御講や日曜法話会の内容を配信することを検討していることを報告。すでに3月の御講と法話会は収録済みで希望者に配信して試聴頂いていることをお伝えしました。

その後、法華経読誦やお題目を唱える意味をわかりやすく解説し、日本仏教史を概観しながら日蓮大聖人の仏法について「鎮護国家・権力者のための仏教から庶民救済の仏教へ。煩悩断尽の覚りの仏教から下根下機救済の仏教へ。原始仏教・小乗仏教から大乗仏教へ。大乗仏教の精華である法華経から文底の南無妙法蓮華経のお題目へ。深い信心の決定を願う成仏。現実社会で力強く生きるためのお題目。」であることを述べました。
結びに参詣者の皆さまと共々に御生誕八百年を慶祝できたことに感謝を申し上げました。

相武山 山主

2021年03月31日

春のお彼岸

今年の春のお彼岸は17日が彼岸の入りで20日がお中日23日が彼岸の明け。東京ではサクラの開花が進んでいるようでしたが、当山の周囲ではまだほころび始めたばかりという風情でした。コロナ禍のお彼岸ですから参詣案内も遠慮気味となり、例年よりも静かなお彼岸となりましたが、参詣できなくても郵便にて供養を願い出られる方々も多く、檀信徒皆さまの篤いご信心にふれることになりました。

法要は三密を避けて、17日(水)と20日(土)と21日(日)の3回にわたって執行。20日と21日は法要の前、午前11時から樹木葬墓地と永代供養墓久遠廟にて、香華を供え塔婆を建立して追善の読経・唱題。参詣者はわずかでしたが真心の御回向を申し上げました。
17日と20日は穏やかな日和の中での法要でしたが、21日は一転、参詣者はかなりの豪雨に濡れながらお出でになりました。ご先祖と有縁精霊は雨天にもかかわらずお彼岸の供養に参詣された方々の思いにさぞかし感謝しておられることでしょう。彼岸法要では如法に献膳、読経、焼香、唱題を勤め、日興門流先師への御報恩、妙法院檀信徒有縁精霊と願出の塔婆供養への御回向を懇ろに申し上げました。

法要後の法話は『上野殿御返事』より「日は西よりいづとも大海の潮はみちひずとも仏の御言はあやまりなしとかや。 ー 略 ー 故親父は武士なりしかどもあながちに法華経を尊み給ひしかば、臨終正念なりけるよしうけ給はりき。其の親の跡をつがせ給ひて又此の経を御信用あれば、故聖霊いかに草のかげにても喜びおぼすらん。あはれいきてをはせばいかにうれしかるべき。此の経を持つ人々は他人なれども同じ霊山へまいりあはせ給ふなり。いかにいはんや故聖霊も殿も同じく法華経を信じさせ給へば、同じところに生まれさせ給ふべし」を拝読。

日蓮大聖人はこの御書で、上野殿父子の絆の深さと法華信仰継承の尊いすがたを賞賛され、法華信仰者は等しく霊山往詣するのであり、同信父子は必ず巡り会い悦び合うことになることを述べ、法華信仰が現当二世の功徳を積むことを教えています。
また、諸行は無常と語る仏教者としての立場に拘泥することなく、幼くして父親を失った上野殿の心中に思いを寄せ、親子の情愛の深さと人情のありようを認められています。そこには覚りのみに執着しないぬくもりのある大乗仏教の精神が説かれていることをお伝えしました。

相武山 山主

2021年03月31日

東日本大震災に想う

3月14日(日)は今年3回目の法話会。テーマは「東日本大震災に想う」でした。いまだ緊急事態宣言の延長下でしたが30名近くの方に参加聴聞頂きました。簡略に法話会の趣旨を説明すると倶に、10年前の第1回法話会が平成23年4月であったことを回顧してテーマに入りました。

はじめに東日本大震災を振り返り「10年の節目にしっかりと災害を検証し想いを深めることが大切」として「何ごとも正確な情報とその適切な分析が重要。複合災害(大地震、大津波、原子力発電所の事故など)であったことを認識すること。この大災害から何を学んだか?一人ひとりが考えること。これから発生するであろう自然災害にどのように向き合うか、一人ひとりが考え行動しなければならない。」と所見を述べました。

考えるべきこととしては「大地震と大津波の脅威」「大川小学校の悲劇と責任の検証」「災害は現在進行形、深刻な原子力発電所の事故」の3点を提示。
大地震と大津波では「2011年(平成23年)3月11日(金) 14時46分、東北地方太平洋沖を震源地とする大地震。地震、大津波、火災などにより、東北地方を中心に12都道府県で2万2000人余の死者(震災関連死を含む)・行方不明者が発生した。明治以降の日本の地震被害としては明治三陸地震(死者・行方不明者2万1959人)を超えて関東大震災(死者・行方不明者推定10万5000人)に次ぐ2番目の規模の被害。

 

次に石巻市立大川小学校の悲劇と責任の検証
「東日本大震災に伴う津波が本震発生後約50分、15時36分頃、新北上川(追波川)を遡上。この結果、河口から約4kmにある大川小学校を襲い、校庭にいた児童78名中74名と教職員13名中、10名が死亡。その他、学校に避難してきた地域住民や保護者のほか、スクールバスの運転手も死亡。学校の管理下にある子どもが犠牲になった事件・事故としては第二次世界大戦後最悪の惨事」である概要を説明。
地震後の学校の対応について「裏山への避難中止」「避難場所を巡っての議論」「校長不在による避難判断の問題」「集団パニック状態かそれに近い状態だった」ことなどを解説。数年前に私は現地に慰霊にお参りしましたが、そのときの体験と心情もお伝えしました。

続いて災害は現在進行形として「原子力発電所の深刻な事故」について。
事故の概要「地震発生当時、福島第一原子力発電所では1 – 3号機が運転中。4 – 6号機は定期検査中。1 – 3号機の各原子炉は地震で自動停止。地震による停電で外部電源を失った。地震の約50分後、遡上高14 m – 15 m の津波が襲来。、非常用ディーゼル発電機が海水により故障。さらに電気設備、ポンプ、燃料タンク、非常用バッテリーなど多数の設備が損傷するか、または流出したため、全電源喪失に陥った。
このため、ポンプを稼働できなくなり、原子炉内部や使用済み核燃料プールへの注水が不可能となり核燃料の冷却不能となった。
1・2・3号機ともに、核燃料収納被覆管の溶融によって核燃料ペレットが原子炉圧力容器の底に落ちる炉心溶融(メルトダウン)が起き、溶融した燃料集合体の高熱で、圧力容器の底に穴が開いたか、または制御棒挿入部の穴およびシールが溶解損傷して隙間ができたことで、溶融燃料の一部が圧力容器の外側にある原子炉格納容器に漏れ出した(メルトスルー)。

1 – 3号機ともメルトダウンの影響で、水素が大量発生。原子炉建屋、タービン建屋各内部に水素ガスが充満。3月12日午後3時36分に1号機、14日11時1分に3号機、15日午前6時10分に4号機がガス爆発。原子炉建屋、タービン建屋および周辺施設が大破。大気中や土壌、海洋、地下水へ大量の放射性物質が放出。複数の原子炉(1,2,3号機)が連鎖的に炉心溶融、複数の原子炉建屋(1,3,4号機)の水素爆発が発生。大量に放射性物質を放出した史上例のない原発事故。」を説明。
原発廃炉への想像を超える長い道のりは災害が現在も進行中であることを示していると述べ、「国民全員が原子力発電所事故の深刻さを認識しなければならない。偽りのアンダーコントロール発言。廃炉への行程が見通せず、いつ何が起こるかわからない危険な現状。地球規模の災害(自然・人的)を引き起こした責任。廃炉へのスピードアップと原子力発電からの速やかな撤退を真剣に検討するべき」との所見をお伝えしました。
被災者の癒やしと救済について
被災から立ち上がるために「癒やされることのない悲哀を理解。祈りは力、犠牲者への真心からの追悼。全国民からの物心両面からの継続的な支援。被災者は祈りと覚悟から立ち上がる。犠牲者への慰霊が生きる力になっている。祈りにはカタチも必要。よみがえらせたい現当二世を救済する仏教への信仰」について所見を述べました。

目前に迫っている自然災害については「首都直下型地震。東南海の巨大地震。富士山の噴火。気候温暖化をはじめ地球規模の災害。宇宙空間の変動等々」一人ひとりが災害への心の備えと具体的準備が必要であることをお伝えしました。
結びに日蓮大聖人の立正安国論から「自然災害や疫病の流行に警鐘を鳴らした日蓮。庶民の現実的苦悩を共有した大乗仏教者日蓮。災厄の起源を仏典に求めた日蓮。日蓮に現代科学の知見があったならどのように語るであろうか。科学と人間の心の調和をとることが大切。」と所見を述べました。

学ぶべきこととして「一人ひとりが自身のこととして考え思案することが大切。やがて発生する自然災害を想像し日頃から用意と準備を怠らない。平穏な日々の生活がいかに貴重なものであるかをかみしめる。精神を涵養する信仰や祈りに想いをめぐらす。」をお伝えして3月度の法話会を終了。
4月の日曜法話会は18日(日)午前11時からの開催です。

相武山 山主

2021年03月30日

慰霊と鎮魂の祈りをかたちに

3月11日は未曾有の大災害となった東日本大震災の発生から10年。本年3月1日現在、死者、行方不明者、震災関連死は合わせて約22,000名といわれています。先月の下旬頃からメディアでは大震災発生10年について手厚く報道。さまざまな視点から災害と被災者の実相を報じています。
自然の猛威による悲惨な大災害を思い起こし、慰霊と復興への思いを新たにしたり、これから発生するであろう自然災害への備えとして、被災体験者のことばを真摯に視聴された方も多かったことでしょう。
この日、被災地は朝から静かな慰霊と鎮魂の一日。東京の国立劇場ではコロナ禍にもかかわらず、被災者と国の代表者によって追悼式が執り行われ、地震発生時刻の14:46には全国各地で多くの国民が哀悼の意を表して黙祷を捧げました。当山でも物故者精霊の塔婆を建立して御回向を申し上げた次第です。

心の中の思いはかたちに顕れるもの
かけがえのない家族を突然に失う悲哀はどのようなものとも比較することのできない深い悲しみ。被災者は衣・食・住のすべてに困窮を来しましたが、その苦しみや悩みも大切な家族を喪失した悲哀を越えることなどありません。被災当時から今まで絶え間ない慰霊と鎮魂の祈りが続くゆえんです。
どのようにすれば犠牲者への慰霊となるのか、どのように犠牲者の鎮魂を祈れば良いのか、等々、心の中の思いは祈りとなりますが、祈りはやがてかたち(礼儀・作法)を求めることになります。

宗教性を持ちたくないのであれば、黙祷が一般的であり、合掌や献花などのかたちもあります。しかし、宗教性を帯びても良いというのであれば、宗教にはすべてそれぞれに祈りのかたち(礼儀・作法)がありますから、そのかたちにそって心のなかの祈りを顕すことができます。今回の大震災では多くの人々が自らの慰霊と鎮魂の祈りを先祖伝来の仏教的なかたちをもって顕していました。
多くの被災者の方が犠牲者のために、仏壇を調え、墓地を整備するばかりでなく、朝夕の祈りや読経と回向の儀礼を僧侶から学んだということです。祈りは犠牲者のためばかりではありません。深く傷ついた自らが悲しみと慨嘆から立ち上がることにも通じているのです。祈りは安らぎをもたらし、祈りはかたちを求めます。
私は憂・悲・苦・悩のときにはもちろんのこと、喜悦や感謝のときにもご本尊様に数珠をかけ端座合掌。法華経要品を読誦し南無妙法蓮華経のお題目をお唱えします。祈りを行儀に顕すことができることは信仰の大きな功徳と考えていますので、被災地の方々が慰霊と鎮魂の祈りをかたちに顕されていることに敬意を表しています。

相武山 山主

2021年03月29日