相武山 妙法院のブログ

相武山 妙法院のブログです。

相武山 妙法院

  • HOME
  • 相武山 妙法院
  • お知らせ&行事案内
  • 道の心得
  • 法話会
  • 墓苑・永代供養墓
  • 自然に親しむ
  • 交通のご案内
  • ブログ
  • サイトマップ

045-442-7688

  • ご相談について

〒241-0806 横浜市旭区下川井町1590-1

相武山 妙法寺 ブログ

暑中のブルーベリー狩り

7月30日(土)12時より妙法院北側の畑でブルーベリー狩りを楽しみました。ブルーベリー狩りは5年前から地元の櫻井さんのご厚意で行っています。この日は猛暑の中、午前10時からの境内草取り作務を終え体調を整えてからの催し。

10数名の参加者は始めに櫻井さんから『ブルーベリーは樹種によって味が異なり、樹種は同じでも樹によって味が違います。つまんで味見してください。黒く張りがあってポロリと採れるブルーベリーが良いと思います。ほとんど農薬は使用していないので、冷蔵庫で冷やして水洗いして新鮮なうちに召し上がってください』と丁寧な説明を受けました。

各自、櫻井さんから収穫用のフードパックを500円で受け取り早速畑の中へ。慣れている方もいれば初めてで戸惑いがちの方もいます。味見をしながらつまむうちに段々調子も良くなってきて、皆さん20分ほどもすればフードパックも一杯です。2パック~3パック収穫される方も多く、中には友だちから頼まれて10パックという方もいました。
当日の気温はかなり高く汗を流しながらの行楽でしたが皆さんとても楽しそうでした。最後は櫻井さんにお礼を申し上げて散会。

今年は6月下旬からの猛暑、7月中旬の戻り梅雨でその味を心配していましたが、まったく問題なく美味しいブルーベリーを採ることができました。櫻井さんのご厚意に感謝しながら私も新鮮な夏の味覚を頂戴した次第です。
ブルーベリー狩りは8月の1日(月)と8月13日(土)の両日、午後2時半からも行われますので関心のある方はご参加ください。

相武山 山主

2022年07月31日

猛暑に草取りと伐採樹木の搬出

7月30日(土)午前10時から境内の草取りと伐採樹木の搬出をしました。伐採樹木は新暦お盆の前後に伐採したものの搬出の機会がとれず、境内と駐車場に積み上げていたものです。この日は人手も得られそうでしたので軽トラックを借りての搬出。草取りは本堂前から三師塔前まで、月末から猛暑がぶり返し酷暑という表現がふさわしい中で皆さんに汗を流して頂きました。

途中、麦茶休憩をとりながら約2時間の草取り。お陰様で本堂の前もきれいになりました。搬出はブルーベリー狩りの後、夕方まで続きましたが、寺内だけでは草取りも伐採樹木の搬出も辛いので応援は大いに助かります。参加頂いた熊木さん、小原さん、柴さん、森さん、安西さん(2)、市川さん、終盤参加の中里さん(3)、ありがとうございました。

草取りや境内清掃作務は定期的に行われます。隔月発行の行事予定表でお知らせしますので、檀信徒の皆さまには菩提寺整備のためご協力をお願いします。

相武山 山主

 

2022年07月31日

夏季法門研修会

7月24日(日)午後1時から夏季法門研修会を開催しました。行事や法要の法話ではなく、法華経と日蓮大聖人の教えをじっくりと学ぶのが研修会の目的。妙法院では春夏秋冬の四季に開催し、それぞれ小憩を挟んで3時間ほど集中しての修学です。


昨春からは宗祖誕生800年を記念して正信会から発刊された「現代語訳法華経要品」を読み進めています。それぞれの研修会では「法華経の成立とその内容、インド・中国・日本三国の仏教史、法華経と日蓮教学、日興門流の法華経観」などを概観しながら、法華経の中心的思想と位置づけられる方便品を現代語訳で学びました。

私たちは日頃方便品の読誦は「唯仏与仏 乃能究尽 諸法実相」と十如是までですが、方便品はその後、かなりの長さにわたって経典が続きます。宗開両祖の時代から近代まで「世雄偈」と称して読誦されてきました。現代でも丁寧に読誦されている僧俗が居られます。

十如是までは略開三顕一として略(ほぼ)三乗を開いて一乗を顕すことが説かれ、世雄偈では広く三乗を開いて一乗を顕すことが説かれています。そこには仏の出現の目的である「一大事因縁と四仏知見」が説かれ「三乗方便・一乗真実」が説かれています。仏さまはさまざまに教えを説かれますが、導く教えと修行の果得に差別があるのではなく、一仏乗としてすべての衆生を差別なく平等に救済されることが真の目的であることが示されるのです。

難しいことは置きまして、今回の夏季研修会では前回からの続きを読み進め、方便品のすべてを読了することができました。現代語に訳されていますから読むことはけっして難しくありませんが、易しい言葉の奥には大乗仏教の広く深い教えがこめられています。参加者の皆さんと丁寧に法華経の教えを学ぶ機会となりました。

日蓮大聖人の仏法は広範にわたりますが、所詮は「南無妙法蓮華経のお題目を受持する一行」に尽きます。しかし、教えを分に応じて学ぶように努めれば、その修学は修行に通じさらに信を深めることとなり、人生に生きがいと安心(あんじん)を与え、来世へのたしかな功徳を積むことになります。
これからも法門研修会を継続してまいりますので皆さまご参加ください。

相武山 山主

2022年07月30日

続・平等の思想

戻り梅雨も明け、猛暑の再来となった7月24日(日)、午前11時から7月度の日曜法話会を開催しました。
今月のテーマは「続・平等の思想」ー平等という視点から見える世界ー。『安倍元首相の暗殺、追悼と検証』でした。

レジメと参考資料として「安倍氏襲撃の新聞報道」「山上容疑者の手紙」「統一教会について」を配布。
はじめに当山の日曜法話会の趣旨を述べ、「世相に想う」では仏教が現実直視という立場であり、世相をないがしろにすることなく学びの機会としていることをお伝えしました。

はじめに安倍元首相暗殺事件の概要について。
「令和4年7月8日(金)午前11時31分頃、奈良市内の近畿日本鉄道大和西大寺駅付近で演説中の安倍晋三元首相が銃殺された。
参議院選挙の応援演説中の安倍元首相にマスクとメガネを掛けた山上徹也容疑者(41)が背後から手製の銃を持って近づき、約7メートルから1発目、さらに接近して3秒後、約5メートルから2発目を発砲。2発目が安倍元首相の致命傷となった。」ことを説明。
白昼万人注視の中で元首相が演説中に暴漢に襲撃され死亡したのです。

事件の概要を知ると「平和ボケか、油断か」と警備の有り様に疑問と不信を覚えます。誰もが「要人の警護は一体どうなっているのか?なぜ守れなかったのか?」と思ったことでしょう。警備関係者の猛省と問題の究明が早急に求められます。
安倍氏は医療関係者の懸命な努力にもかかわらず17時3分に死亡が確認。67歳の生涯でした。

次に「襲撃の動機」について。
犯行現場で取り押さえられ逮捕された山上徹也容疑者は「母親が宗教法人『世界平和統一家庭連合』(旧統一教会)に入って生活が苦しくなったことでこの宗教法人を恨む気持ちがあり、安倍元首相がこの宗教法人とつながりがあると思って狙った」という趣旨の供述をしていることを説明。
ここで参考資料として提供した「山上容疑者の手紙」を読み上げて、犯行直前の容疑者の心中を紹介しました。

続いて戦前からの内閣総理大臣経験者の暗殺事件は伊藤博文から斎藤実までの7件。また、西園寺公望や若槻禮次郎など数件の暗殺未遂事件を解説。戦後の総理経験者の暗殺は安倍氏がはじめて。戦後他殺された国会議員は安倍氏で5名。私は幼い頃の日本社会党の浅沼稲次郎が右翼の少年に刺殺された事件を鮮明に覚えているので、その事件についても紹介しました。

《テロと暗殺について》
参議院選挙渦中での襲撃事件のため「民主主義への挑戦・・・」と表現する人々も多いが、容疑者の供述によれば一般的な政治思想的なテロではなく、カルト教団「旧統一教会」への怨恨による犯行のようです。
日本大百科全書によればテロリズムとは「政治的目的を達成するために、暗殺、殺害、破壊、監禁や拉致による自由束縛など過酷な手段で、敵対する当事者、さらには無関係な一般市民や建造物などを攻撃し、攻撃の物理的な成果よりもそこで生ずる心理的威圧や恐怖心を通して、譲歩や抑圧などを図るもの」とされています。

したがって、今回の事件は社会に不安や恐怖を与えたが、報道によると容疑者の動機は「宗教的・金銭的・家庭的問題による個人的な怨念を晴らそう」としたものとみなされ、海外メディアでは今回の事件をこぞって暗殺『assassination(アサシネーション』という表現で報道していることを紹介。

《カルト集団とカルト教団》
今回の暗殺事件はカルト教団として知られる「旧統一教会への怨念」からの犯行と伝えられていますが未だ断定はできません。また、旧統一教会と安倍氏の関係、旧統一教会と自民党との関係もまだよくわかっていません。国民の一人としては時間を掛けてしっかりと事件の全容解明をしてほしいと願っています。

政治と宗教の関係は古今東西密接なつながりがあることは歴史の示すとおり。現代でも宗教団体が政治家を利用したり、政治家が宗教団体に支援を要請することは珍しことではありません。今回の事件も政治と宗教の根の深さと複雑さを教えているといっても過言ではなく、闇はかなり深いように思えます。

旧統一教会は印鑑や壺などを高額で売りつける霊感商法や驚くような高額献金を要求することで悪名が高かったのですが、彼らばかりでなくカルト集団やカルト教団が広く我が国にも跋扈しているというのは驚きです。オウム真理教で懲りたはずなのにカルトの餌食となる人は跡を絶たず、マインドコントロールされて人生や家庭が崩壊しても構わないというのですから嘆かわしいことです。

■カルト集団について
「偽装勧誘や強制による勧誘、団体内部での暴力や性的虐待、構成委員に対する経済的な収奪、組織的な詐欺商法などそして刑事事件となるような犯罪行為に及んだ集団、及んでいる集団こそ教育機関が対策を講ずべきカルトとなる。 このような活動を行う団体は何も宗教団体に限らない。」と解説。

■カルト教団
「過激で異端的な新興宗教集団をさす。英語圏では正統的キリスト教を「教会」church、その分派を「セクト」sectとよぶのに対し、異端的または異教的小集団を「カルト」とよぶ。ただしヨーロッパでは、カルトの同義語はセクトである。
カルトに分類される宗教集団は、現代では世界中に多数存在し、アメリカでは2000以上ある。カルトが世界的に社会問題となっているのは、強制的な勧誘によって入信させたり、多額の寄付金を強要したりして人権を侵害し、さまざまな反社会的行動をする教団が少なくないからである。反社会的宗教集団としてのカルトには、いくつか共通の特徴がある。

その特徴とは、第一に導師やグルとよばれたり、自ら救世主を名のるカリスマ的教祖をもつこと。第二にマインドコントロールといわれる心理操作のさまざまなテクニックを用いて入信させること。それは洗脳の一種で、信徒は自覚のないまま、主義、考え方、世界観を根本的に変えてしまう。第三に外部世界から隔離された場所で共同生活を営み、閉鎖的集団を形成し、そこからしばしば反社会的行動に走る。第四に神秘的、魔術的な儀礼を実践し、教義は異端的、シンクレティズム(宗教的折衷主義)的である。」ことを解説。

カルトの実態として
1969年にアメリカでチャールズ・マンソン率いるファミリーと名のる小集団が女優のシャロン・テートを殺した「シャロン・テート事件」。
1978年に南アメリカのガイアナの密林で、信徒900人以上が集団自殺する「人民寺院事件」。
1993年にはアメリカで「ブランチ・デビディアン」というカルトの信徒が建物に立てこもり、FBIと銃撃戦を繰り広げ、70人が集団自殺を遂げた事件。
日本では1986年(昭和61)に「真理の友教会」の女性信徒7人が、教祖の死を追って集団自殺を遂げる事件。
1995年(平成7)3月にはオウム真理教(2000年アレフ、2003年アーレフ、2008年Aleph(アレフ)に改称)の信徒による「地下鉄サリン事件」。を紹介。

インターネットの『知恵蔵』では
「過激な新興宗教団体。全米で2000以上あり、「救世主」を名乗る教祖を頂いた熱狂的信者の閉鎖的集団、という性格が強い。マインド・コントロールによる信者獲得、教祖への絶対服従などで、様々な社会問題、家庭問題を引き起こす。」との指摘を紹介。

■統一教会とは
今回の事件を引き起こした原因とされる旧統一教会については、詳しく説明するつもりでしたが、法話会の時間内では読み進めることができなくなったため、参考資料として配付した「世界平和統一家庭連合」を自宅でお読み頂くようお願いしました。
カルト教団の問題はとても深刻です。
個人や家庭の崩壊、社会の混乱をもたらします。ヨガで人を集め、いかさまの神秘主義を吹聴して、多くの人を惑わしたオウム真理教の事件をけっして忘れてはならないとお伝えしました。

安倍氏ヘの追悼については「追悼することと業績を検証考察することは矛盾しない。非業の死を哀悼しつつ、その政治の功罪を検証することが真の追悼。安倍氏の政治的功罪や影響は感情を離れて冷静に検証する。何ごともコインの裏表。すべてに正と負、プラスとマイナスが存在する」。
国葬については「決定が拙速に過ぎないか?しっかりと検討された決定なのか?法的根拠に則っているか?追悼の押しつけと強制は民主主義なじまない。現代に一人の政治家を英雄視したり神聖視したりするのは疑問」との私見を述べました。

結びに学ぶべきこととして
「安倍氏暗殺という世相に潜む個人と社会の問題を直視する(社会の中でさまざまな苦悩にあえぐ人々を皆で救済するべき、その道を切り拓く必要性、いつでも誰でも駆け込めるシステムを設置)。安倍氏の政治的功罪をしっかりと検証する(安倍氏の政治を肯定するか否定するかという二者択一ではなく、認めるべき功績は冷静に評価し、悪しき政策や言動は適切に批判する)。追悼の押しつけや強制は権威主義への道であり、民主主義と平等の思想にはなじまない。公人としての政治家、私人としての個人、一定の差別はあるが、平等の思想を忘れてはならない(安倍氏の死、赤木さんの死、今このときに考えるべき)。カルト教団への警戒を怠らない。宗教や信仰、スピリチュアルについて、正しい知識を学ぶ(怪しいところには近づかない)。平等の思想はカリスマや権威主義、呪術や神秘主義を否定し、不変の道理へと導く仏教の智慧。平等の思想を涵養して人間性を高め安らかな人生を歩もう」とお伝えして法話会は終了。

相武山 山主

2022年07月29日

新暦の盂蘭盆会

もどり梅雨のような天候が続いた7月13日、15日、16日の三日にわたって新暦の盂蘭盆会を執り行いました。妙法院では新暦の7月にお盆の供養をされる方と月遅れの8月にお盆の供養をされる方が居られます。したがって7月と8月の二度法要を執り行うことになります。以前は7月に参詣される方が多かったのですが近年は8月にシフトしているようです。

13日(水)は宗祖の報恩講とご一緒に追善の供養を営みました。15日(金)には法要に先立ち三師塔にて御報恩の読経・唱題を申し上げ、続いて永代供養墓久遠廟と樹木葬墓地での供養会を執り行いました。時折強い雨が降るなか午後1時から盂蘭盆会を奉修。
法要では参詣者の唱題の裡に住職が下種三宝尊への献膳。続いて塔婆が建立された精霊壇でも献膳。その後、法華経要品読誦、寿量品では参詣者が順次精霊壇に進み懇ろにお焼香。唱題を勤めて住職により先祖有縁精霊への御回向がなされました。

法要後の法話では始めに盂蘭盆会のいわれについて「盂蘭盆会は飛鳥の時代、推古天皇(西暦606年)十四年七月十五日斎会を設けたのが初めてとされる。当初は朝廷や貴族、有力者たちによって営まれていた仏教行事。江戸時代に檀家制度などによって庶民にも広まり今日では日本の習俗、伝統となっている。盂蘭盆の由来は目連尊者がその母青提女を餓鬼の世界から救う物語。慳貪の科によって餓鬼の世界に堕した青提女の姿を通して、我々凡夫が欲望に振り回され苦海に誘われることを誡めている仏教行事。また、関東などでは新暦7月15日に盂蘭盆会を執り行っているが、全国的には月遅れの8月15日が多く、旧暦で行う地域もある」と解説。

続いて7月は日蓮大聖人が立正安国論を時の為政者に建白された月であることから安国論の前段と末文を拝読。
「立正安国論に示された宗祖の仏教観は大乗仏教の精華たる法華経の具現化にある。それは釈尊の原始仏教やその後の上座部仏教にみられるように、特定の限られた人々が己の煩悩を断尽して専ら覚りを追求し、六道輪廻を解脱することをめざす自利の仏教ではなく、仏教の基本思想を修めながら現実世界の矛盾や不条理を超克して、自他共に仏国土の建設に努める大乗の仏教。また、日蓮大聖人の仏法は厭離穢土・欣求浄土を希求する浄土教のように娑婆世界を厭うのではなく、さまざまな障害のために仏道修行をおさめることが難しい現世であるからこそ、分に応じた仏道を修めて法華経への信仰を決定し、現世では刹那の成道に安らぎ、来世は法華経の説かれる霊鷲山に往詣する功徳を積む教えである」と述べ、仏道修行の一環として盂蘭盆会に参詣することもたしかな功徳であると法話を結びました。

今年の新暦のお盆はコロナ禍の第7波が押し寄せたことと、戻り梅雨による連日の降雨もあって例年よりも参詣者の少ない静かなお盆でした。

相武山 山主

2022年07月28日

歴史を通しての検証

参議院選挙の終盤7月8日(金)、白昼奈良市で安倍元首相が暴漢によって殺害されるという凶行が発生しました。選挙演説中の蛮行という政治テロに日本中が驚愕。世界中から安全安心の国と思われている我が国での政治テロは世界中に衝撃を与えました。ことに長く日本の政治に影響力を持っていた安倍氏の急逝は国の内外に大きな波紋を広げています。
容疑者の山上徹也(41)は現場で即刻逮捕。事件の背景と動機については容疑者の供述からカルト教団として名高い「旧統一教会」への怨恨であり、安倍氏がその教団の関連団体に賛意を示すなどの言動から短絡的に結びつけての凶行と報じられています。もちろん容疑者が犯行に及ぶまでの精神的経緯は複雑でしょうから、今後の厳正な動機と行動の究明がまたれます。

「如何なる場合でも暴力を振るってはいけない」とは異論のない世界の常識。しかし、個人による暴力事件は家庭でも地域でも社会でも世界中の至る所で常に発生しています。凶悪なテロ事件も世界中で頻発。さらに強権独裁国家による巧妙な人権抑圧の暴力も横行。極めつけはロシア軍によるウクライナへの一方的な侵略と残虐な支配。国家暴力が我々の眼前で今この時猛威を振るっているのです。

現代では誰もが「暴力は許されない」と主張しますが、視点によっては人類の歴史は暴力の歴史ともいえるでしょう。人間の本能に備わる資質ですから、個人でも組織でも社会でも具体的に意識して常に確認し誡めなければ吹き出してしまうのが暴力。程度の差はあっても基本的に人権が尊重され、かたちは異なっていても民主主義が認知される現代。それでも油断すればたちどころに鎌首をもたげてくるのが暴力です。ことに仏教徒は絶対の平等と非暴力を掲げているのですから暴力に対しては敏感でなければなりません。

今回の蛮行は安倍氏が突然凶弾に倒れるという実に衝撃的な事件。主義主張はちがっていてもその非業の死を悼まぬ人はいないでしょう。しかし、哀悼の意をささげることと、安倍氏の政治家としての功罪を検討することなく評価することはまったく別の問題だと思います。安倍氏の政策と言動については賛同し支持する人々も多いようですが、他方、批判する人々もけっして少なくないのが現実です。

中曽根康弘元首相はその自伝『自省録―歴史法廷の被告として―』に、「政治家は歴史法廷の被告である」と述べていますがけだし名言だと思います。この言葉は自身に向けての自戒であり、後輩政治家たちへの箴言だといわれています。やはり政治家の評価は歴史を通して検証されなければならないと思います。

総理在任期間が最長という安倍氏だけに、偉人視したり英雄視する発言も少なくありません。また、岸田政権は検討する余裕も与えず法的根拠が乏しいといわれる国葬を発表しました。感情に流されやすく同調意識が強いといわれる国民性は問題を混乱させやすいものです。私たち仏教徒は非暴力の旗をしっかりと掲げつつ、安倍氏に哀悼の意を持つが故にその歩みも正しく検証して行きたいものです。

相武山 山主

2022年07月27日

つゆ(露)つもりて河となる

6月下旬から猛烈な暑さが続き関東地方では6月27日に梅雨明けが宣言されました。関東甲信地方の梅雨入りは6月6日頃ですから今年は短い梅雨でした。降雨も少なかったので夏の渇水が心配になります。梅雨明け前後からの暑さはこれまで経験したことのないようなもので6月下旬としては記録的なものでした。

猛暑の理由については「気圧配置の要因、地球温暖化、都市化」の3点が指摘されています。気圧配置の要因というのは日本の西側にある中国大陸のチベット高原から張り出す「チベット高気圧」と、太平洋の方から張り出す「太平洋高気圧」がジェット気流などのうごきによって日本上空で重なってしまうこと。夏場にお布団2枚というイメージだそうです。
地球温暖化は数十年前から識者によって指摘されていますが、その主な原因は二酸化炭素(CO2) やメタン(CH4) といった大気中の温室効果ガスであるといわれています。地球全体の温暖化が進むことで「気候の変化、災害の増加、海面の上昇、氷河の崩壊、動植物の生態系の変化、農作物や家畜産業への打撃、人体への影響等々」が指摘されています。

さらに都市化による気温上昇とはヒートアイランド(heat island=熱の島)現象のことです。これは都市の気温が周囲よりも高くなる現象で、気温分布図の高温域が都市を中心に島のような形状に分布することからヒートアイランド現象と呼ばれています。平たくいえば郊外に比べて都市部ほど気温が高くなる現象のことです。
今年の早期の梅雨明けと猛暑はこれらの複合的効果によるものと解説されています。

知識の乏しい庶民は『なるほどそうか・・・』とうなずきながら、熱中症などの災厄を回避すべく自衛を心がけなければなりません。ちなみに戦前までの東京は気温が上がっても33~34℃くらいだったそうで1990年以降から35℃の猛暑日が急増しています。また、約100年ほど前と比べると夏の東京の気温は2.1℃上昇しているそうです。地球温暖化による地球全体の気温上昇度合いは100年で約1.09℃といわれていますから、東京の夏の場合、約半分が地球温暖化、約半分は都市化(ヒートアイランド)ということのようです。

2℃をどのように理解するかは人それぞれの認識ですが、地球規模で異常気象が報じられている現代、危機感を覚えて適切な努力を怠れば、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの指摘を待つまでもなく、未来に生きる若者から批難されることは必定です。
地球温暖化による人類の危機は確実に迫っているのですから、少しでもその事実に気がついた者は、天地自然のすべてを大切に保護し、身の安全をはかりながらも生活の無駄をはぶき、未来を生きる人々のために意識して温暖化防止を語るべきだと思います。ささやかな力でも重なれば大きな力となります。

日蓮大聖人は衆生心身御書に「つゆ(露)つもりて河となる、河つもりて大海となる、塵つもりて山となる、山かさなりて須弥山となれり。小事つもりて大事となる。」とご教示。
現代語訳すれば「露も積もれば河となり、河も集まると大海となります。塵も積もれば山となり、山もかさなると須弥山となります。かように小事が積もって大事となるのであります」となります。
喜怒哀楽の人生は何ごとも学びに通じており、猛暑からも多くを学ぶことができます。私たち日蓮の門下僧俗は『暑い暑い・・・』とつぶやきながら、一人ひとりが今に生きている責任に想いをいたし、地球温暖化を意識して「小事が積もって大事となる」と生活の変革をできるところから実行して行くことが大切だと思います。

相武山 山主

2022年07月01日