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相武山 妙法寺 ブログ

コロナ禍の仏事

今年は春から新型コロナウイルスのパンデミックによって、世界中の社会活動が停止・停滞を余儀なくされました。その後、我が国はもちろんのことすべての国が感染防止に努めながら、通常生活の回復に向けて国を上げて努力をしています。その道程は一様ではありませんが次第にウイズコロナ(コロナと共存)というかたちで前進しているように思えます。しかし、ワクチンや治療薬、治療法も獲得できているわけではありませんから、寒期を迎えてインフルエンザの流行とも重なる北半球ではさらなる注意が必要となります。

コロナ禍によって家庭や学校、職場や社会など生活全般に近年稀に見る大きな影響が出ました。御仏の慈悲とご加護を説く仏教寺院も例外ではありません。パンデミック当初、韓国のキリスト教系教団でクラスターが発生したこともあり、我が国でも各仏教教団は活動を一斉に自粛、感染予防を徹底することになりました。
当然、年中行事や各法要の執行を直撃。行事・法要は信仰の深化と啓蒙に不可欠ですから中止や延期、自粛するということは信仰活動の停滞につながることを意味しています。それは自粛を徹底していた3月末から7月初旬までの当山の静けさをみればよくわかります。その後、感染予防に注意し工夫を凝らして行事・法要を執り行ってきましたが、世相同様旧に復するのにはまだまだ時間がかかりそうです。

仏教では「環境の変革も大事なことだが、まずは与えられた環境のなかで最善の道をあゆむこと」が大切と説かれていますから、コロナ禍にあっても環境の所為にして自身を怠惰にながすことなく、コロナ禍であるからこそできる信行に努めて行きたいものです。気持ちを切り替えることができれば、コロナ禍であるからこその知見も深まることでしょう。

【コロナ禍での葬儀】

コロナ禍は寺院の行事や法要ばかりでなく、ご信徒の葬儀や法事などの仏事にも少なからぬ影響を与えています。当山のご信徒で直葬(葬儀などの祈りをなさずに死後直ちに火葬すること)をされる方は居られませんから、規模はともかく皆さま縁者の尊厳に想いをいたし丁寧に葬儀を執り行っています。 葬儀は人類の歴史に遡ることができるほど、古今東西、大切な儀礼として認識され現代まで執り行われています。仏教やキリスト教やイスラム教など世界宗教で葬送の儀式を軽んじる宗教はありません。葬儀は人生の終焉を迎えた縁者の尊厳に想いをいたし、今世の務めを果たして来世に向かう旅立ちに幸いあれと祈る愛情のこもった重要な儀式なのです。

ところで、時々「葬儀と告別式は同じですか・・・」ということを聞かれます。今は「葬儀並びに告別式」と案内されることが多いので、葬儀と告別式は同じと考える方が多くなっているのかもしれません。 本来、葬儀は故人や親族の信仰や思想、意思に則ったかたちで行われるのを常としますから、極めて個人的・家族的な宗教性のある儀式ということがいえます。葬儀には故人とのお別れという側面もありますから告別の意味を含んでいるともいえますが、厳密には故人の冥福を祈る儀式といえましょう。他方、告別式は故人との永久のお別れをするための儀式で宗教性や思想性はあまり介在することはありません。時間などの都合上、葬儀と告別式を分けて執り行うことは難しいために、現代は前後したり平行して営まれているというのが事実です。
宗教的信仰を持たない人や仏神を信じない人、来世を信じない人などにとっては葬儀に価値を見いだす事ができないのも無理からぬことです。ことに我が国では宗教や信仰に関心の薄い方が多く、また、都市化が進み、都市部では核家族化によって親族のつき合いも薄くなったり、夫婦だけの家庭や単身生活者が増加していることなどから、残念ながら葬儀もかなりおざなりになっているのを見聞します。しかし、大切な縁者の最後なのですから情愛を尽くし、感謝と祈りをささげる心を涵養してほしいと願わずにはいられません。

ときに葬儀ばかりでなく儀式そのものを否定する方を見聞することがあります。もちろん虚礼や無用の儀式と考えるものを否定することは当然で、儀式にも変化したり行われなくなるものがあるのが事実です。しかし、人生におけるさまざまな儀式は心の想いをかたちに顕したものですから、その取捨選択は慎重になされるべきものだと思うのです。
当山は檀信徒がそう多くはありませんので葬儀執行の依頼は毎年5件から10件ほど。今年もコロナ禍のなか数件の葬儀を執り行いましたが、皆さま亡きご家族の尊厳に想いをいたす方々ばかりで、御仏の世界への旅立ちを丁寧に営まれました。コロナ禍で葬儀のかたちも変わったという話を耳にしますが、有り難いことに当山では多少の心労はありましたが、いずれも通常の家族葬のかたちで厳かに執り行い、故人を法華経の浄土である霊鷲山にお送りいたしました。

相武山 山主

2020年10月26日