相武山 妙法院のブログです。
令和7年の年頭、妙法院では三ケ日に元朝勤行会と初勤行会が執り行われました。この冬も近年同様厳しい寒気に襲われることの少ない横浜。大晦日から一日に日付が変わる時刻からの元朝勤行会には篤信のご信徒が参詣。倶どもに厳かに天拝から下種三宝尊への御報恩の読経・唱題を勤める五座の勤行。参詣僧俗は各自仏弟子としての誓願を御宝前にお供えしました。
一日は午前11時と午後2時、二日と三日は午後1時からそれぞれ初勤行会を執り行いました。各勤行会には家族連れのご信徒が参詣。菩提寺の御宝前に心をこめて勤行・唱題をつとめ、旧年のご加護に感謝を申し上げ、新年にあたっての誓願と祈りをささげました。住職としてはご参詣のすべての方々の信行増進とご多幸を祈念申し上げた次第です。
日頃から信仰や宗教について無頓着な人が多い我が国でも、新年を迎えるお正月には多くの人が近くの寺社仏閣や景勝地などに出かけて神妙に新年の祈願をします。やはり年の初めには自らを支えている存在があることに気がつくのでしょうか。それはより良い人生を願う一人の人間として大切なことだと思いますが、「賽銭を投げて願い事を祈るだけでいいのかな?」と思うのは日頃から法華経と日蓮大聖人の教えを信仰しているからでしょうか。
妙法院に参詣されるほとんどの方々は本堂の御本尊様に参拝し、法華経の要品を読誦、南無妙法蓮華経の唱題を修します。そこには法華経と日蓮大聖人の教えを信じ敬う信行の実践があり、その功徳善根を基に新年の誓願をなすのですから、まことに貴いことと思うのです。
当山では法要後に住職が恒例の「重須殿女房御返事」を拝読。参詣者も一同に御書のプリントを開いて黙読しました。その後、住職より新年の挨拶。
「正月には多くの方が初詣をしますが、修行と修学を伴わない一般の初詣と法華経を読誦し南無妙法蓮華経のお題目を修める富士日興門流の初詣は大きく異なります。仏縁を大切に人生を歩む私たちは自らの心を映し出す鏡をもっています。その鏡こそ「信仰であり、御本尊であり、日蓮大聖人の教え」です。鏡を意識して意義在る人生を歩みましょう。
昨年の元日、能登地方が大きな地震に襲われ甚大な被害が出ました。夏にはその地に豪雨というさらなる災害が起こりました。地球も我々同様一つの生命体、諸行無常の真理を免れない存在です。いつ何が起きても不思議ではない世界に我々は生きています。仏教ではこの真実を認めて、善も悪も、遇も不遇も、幸も不幸も、人生のすべてに意味があると考えて生きることを教えているのです。
年頭に菩提寺の御宝前に参詣された皆さまは、この一年、自らの課題と向き合い、ただ今立てられた誓願に向かって精進され、佳き一年として頂きたい。また、拝読した重須殿女房御返事には宗祖の教えのエッセンスが込められています。折々にひもとかれて人生の指針として頂きたい。」
とお伝えしました。
妙法院では参詣者に恒例のお屠蘇と昆布を用意。直に頂く方と持ち帰る方、それぞれが住職と執事の興厳師と和気藹々に賀詞の挨拶を交わし、また、信徒同士も和やかに挨拶を交わして帰路につきました。
三ケ日には勤行会以外の時間にも自由参詣の方々がおられ、それぞれ本堂にて御本尊様に新年のご挨拶を申し上げていました。
私にとって正月の初参りはとても有り難いことです。それは普段なかなか参詣できない方々もお参りになり、親しく言葉を交わすことができるからです。子どもたちもすくすくと育ち、その成長にふれることは嬉しい限りですし、また、自らの人生の課題に向き合いながら一所懸命に歩みを進めて居られる方々、齢を重ねて思うようにならぬ体調にもかかわらず、信仰を深めておられる先輩等々、深いご縁としか思えない方々とのふれあいに感謝するひと時です。皆さま、今年も佳い一年でありますように。
相武山 山主
2025年01月25日