相武山 妙法院のブログです。
12月15日(日)午前11時より令和6年のおさめ御講(日蓮大聖人御報恩講)を奉修いたしました。穏やかな日差しの中で執り行われた令和6年最後の御講には約30名ほどのご信徒が参詣。参詣者の唱題の裡に御宝前では如法に下種三宝尊への献膳。引き続いて法華経要品読誦、献香、唱題と勤修、真心込めて御報恩謝徳申し上げました。
法要後の挨拶では、無事に令和6年も相武山妙法院を護持運営できたことについて、「仏道と菩提寺を大切に思われる篤信の檀信徒の尽力によるもの」と感謝を述べました。また、これからも日蓮の門弟として合力して護法に精進して行きたいとの願いをお伝えしました。
その後、「三三蔵祈雨事」を拝読しての法話。
御書の原文を拝読した後、法話の前半は御書システムの解題と辞書によって当該御書の梗概と意義についての解説。「宗祖身延入山の翌年、西山殿に宛てた御書」「真蹟第二紙から第八紙表裏、静岡県富士大石寺蔵」「御先師の書写も遺されている」を紹介。
また、その内容について「成仏を期す上で大切なことは善知識」「真言宗を厳しく批判」「漢土及び日本の真言師の悪法たる現証を列挙し、『法華経』にて祈った天台・伝教の効験を示す」等を説明。
続いて対告衆である西山殿についての説明。「生没年未詳。駿河国富士郡上方西山(芝川町西山)居住の檀越」「日興の母方の実家である『河合』家の人か」「河合とは富士川と芝川の合流地で、西山の南に隣接しており、広域的には西山と同一地と見なしうる。よって、『西山殿』=『河合殿』と考えるのが妥当と思われるが、その場合の『河合殿』とは、①日興の祖父にして養父の河合入道、②その子息・又次郎入道、③河合入道の子息か孫に当たると思われる四郎光家のいずれかであろう」との見解を紹介。
後半は御書本文の解説。
原文の現代語訳は
「木を植える場合に、強い支えをしておけば大風が吹いても倒れることはない。逆にもともと生い繁っている木でも、根が弱ければ倒れてしまう。それと同じように、弱々しい者でも、助ける人が強ければ倒れることはない。多少頑強な者でも一人であれば厳しい悪路では倒れてしまう。
《中略》
このように、仏に成るには良き指導者を得ることがもっとも大切である。自分の浅薄な智恵など何の役にも立たない。ただ熱いとか冷たいとかを知る程度の智恵があれば、善知識の大切さが理解できるだろう。
ところが、その善知識に値うことは実に難しい。それゆえ仏は善知識に廻り値うことを、たとえば一つの眼しかない亀が、冷えた腹を温めるために、自分の甲羅が程良く入るほどの穴の開いた栴檀の木を大海の中で見つけることや、梵天の上から糸を落として、大地に立てた針の穴に通すことの難事に譬えられている。しかも今末代の悪世においては、邪法に導く悪知識は大地を砕いて塵にした数よりも多く、善知識は爪の上に乗るほどの土よりも少ない。
《中略》
末法に入りて仏法をばうじて無間地獄に堕つべきものは大地微塵よりも多く、正法をえたらん人は爪上の土よりもすくなしと涅槃経にはとかれ、法華経には設ひ須弥山をなぐるものはありとも、我が末法に法華経を経のごとくにとく者ありがたしと、記しをかせ給へり。
大集経・金光明経・仁王経・守護経・はちなひをん経・最勝王経等に、末法に入りて正法を行ぜん人出来せば、邪法のもの王臣等にうたへてあらんほどに、その王臣たちはその多くの邪教者たちの言葉を信じ、ただ一人の正法の修行者を、罵ったり、責めたり、流罪にしたり、殺したりするが、その時に梵王・帝釈、そのほかの数限りない諸天・天神・地神等が、隣国の賢王の身に入り代わり、その国を攻め亡ぼすであろう」と説かれている。今の世の中はこれらの経説に何とよく符合していることか。
それにしても貴殿たちは、どのような過去世の善根によって、日蓮をお訪ね下さるのであろうか。このような過去世の因縁をよくよく自覚され、今生においてこそ、万事を差し置いて生死を離れ、成仏得道すべく精進していただきたい。
仏弟子の須梨槃特は、三箇年の間にわずか十四字さえも暗誦することができなかったが仏に成ることができた。一方、提婆達多は六万法蔵を暗誦することができたけれども無間地獄に堕ちた。
すなわち成仏する上で大切なことは、智恵ではなく無二の信心である。これは末代の今の世の我われに対する教訓であって、けっして他人事と思ってはならない。言うべきことはまだあるけれども、この辺で筆を置くことにする。
この忙しい時期に、種々の供養を届けていただいた御志しに感謝の意を表し、大事の法門を大略申し上げた次第である。御供養のささげや青大豆は、確かに拝受いたしました。
六月二十二日 日蓮(花押)
西山殿御返事」となります。
宗祖の御心を丁寧にお伝えしました。
日蓮の門弟僧俗は毎月の宗祖御報恩講を大切に、折にふれて御書に親しみ、限りある人生を自覚して仏道に精進して行きたいものです。
※詳細は相武山だよりのウエヴ動画をご参照ください。
おさめ御講の後は客殿にて歳末懇親会を開催。各自崎陽軒のお弁当を前に、住職手作りの豚汁やご信徒お手製の筑前煮、ポテトサラダ、柚大根、赤カブ漬などを美味しく頂きました。コロナ禍では開催できず、昨年から再開した懇親会ですが、皆さん話に花が咲いていたようで愉しい談笑が広がっていました。途中では小原さんが余興でマジックをご披露。みごとなできばえで喝采をうけていました。愉しい時間はあっという間に過ぎ、1時間半ほどで互いの健勝を祈りながら散会となりました。
相武山 山主
2024年12月28日