相武山 妙法院のブログです。
娑婆をより良く生きるためには志を立てることが大切ですが、その立志を全うすることは難しいという現実があります。最近の二人の政治家のすがたから一緒に考えてみたいと思います。「政治家の言動には責任があるのでは・・・」との思いによるものです。
《揺れる石破新総理の発言》
10月4日(金)、石破新首相は就任後初の所信表明演説で「国民の納得と共感を得られる政治を実践する」と強調。しかし、首相就任以前と就任後の発言があまりに揺れ幅が大きく、厳しい批判を招いています(10月6日現在)。
①解散総選挙について
石破首相は総裁選で、「国民に判断いただく材料を提供するのは政府の責任であり、新しい総理の責任だ」「本当のやりとりは予算委員会」「『すぐ解散します』という言い方は、私はしません」と発言。
しかし、9月30日には10月27日に総選挙を行うと表明。
②裏金事件関与議員について
総裁選中には「裏金事件に関与した議員の公認については厳格に審査し、ふさわしくない場合は公認しない」と発言。
しかし、首相就任後は「裏金意見で処分を受けた議員も原則公認する方向で調整する」と発言。
③党首討論について
今年の6月19日、約3年ぶりに開催された岸田内閣初の党首討論。約45分で終わった煮え切らない論戦から9日後、石破氏は自身のブログで〈この開催頻度の少なさと時間の短さは一体何なのでしょう〉〈まともな討論にならない〉などと苦言を呈し、〈せめてひと月に一回は開催し、総質疑時間として最低二時間は充てるべきものですし、総理大臣の負担が過重になるというのであれば、その分、予算委員会などの総理の出席回数を減らせばよいと思います〉と発言。
しかし、4日の自民・立憲両国対委員長会談で予算委員会開催を見送り、9日の党首討論開催が決定。党首討論は通例45分間だが、「延長して十分な質疑時間を確保すること」を条件に引き続き協議するという。
総裁選後のこの1週間、石破首相の手のひら返しは枚挙にいとまがないと批判されていることを紹介。
《石破首相の変節の功罪》
石破氏は自民党総裁となって政治家としての志が変化したのか!
自民党を軌道修正するのではなく、自身が自民党的な体質に変化したのか!
「さまざまな理由によって発言を変質させたのだろうが、党内野党として正論を主張してきた志のホンネが問われている。権力者となったことで正論は守れなくなりそうである。このままでは新首相の発言が信用できなくなる。政治は言葉といわれ、政治家の発言の責任は極めて重い。その功罪はこれから問われることになり、問うべき主権者は国民である。」との私見をお伝えしました。
《兵庫県斎藤知事失職事件》
権力者の驕りと自己過信の誤りを見る。
兵庫県政を揺るがす文書告発問題を巡り、斎藤元彦兵庫県知事(46)は9月19日、県議会から不信任決議を全会一致で可決された。斎藤知事は9月26日、県庁で記者会見を開き、失職を選んだ後に出直し知事選に出馬する方針を表明。
●事件の経緯。
・2024年3月中旬、前県西播磨県民局長が報道機関などに七つの疑惑を指摘して告発文
書を発送。
・3月20日、斎藤知事が文書の存在を把握。翌21日、片山安孝副知事(当時)らと対
応を協議、告発者の特定を含めて調査を指示。
・3月25日、「片山副知事は西播磨県民局に出向き、局長に自白を迫り退職願の不受理も
通告。(決裁前通告)
・4月、元局長は疑惑について県の公益通報窓口に通報。
・5月、告発文書について兵庫県は「核心的な部分が事実ではなく、誹謗中傷にあたる」
とする調査結果を公表。元局長に停職3カ月の懲戒処分。
・6月13日、兵庫県議会は調査特別委員会(百条委員会)の設置を決めた。
・6月、斎藤知事は定例記者会見で告発内容全ての項目を否定。
・7月7日、百条委に証人として出席予定だった元局長が親族宅で死亡。
・5日後、片山副知事は県政が混乱する責任を取って辞表を提出。
・7月19日、県議会において真相究明のための百条委員会が設置。
・7月31日、片山安孝副知事が辞職。
・8月30日、斎藤知事は百条委の証人尋問に初めて出頭。県職員への指示や叱責につい
て「反省」としつつも、業務上の必要性を強調して従来の主張を展開。
・9月6日、斎藤知事2度目の証人尋問。百条委の委員から道義的責任を問われると、「道
義的責任が何か分からない」と発言。
・9月19日、兵庫県議会は斎藤知事への不信任決議を全会一致で可決。
・9月30日、斎藤知事失職。
以上のような経緯を紹介。
未だ全容が明らかではなく、兵庫県知事の人格と言動、行政判断等のすべてを否定することもできないが、メデイアなどからの「権力者の驕り・・・。自己過信の誤り・・・」との指摘は十分首肯され、県知事としての資質以前にその人間性が問われているのではないかとの私見をお伝えしました。
石破首相と斎藤元知事の言動からも、娑婆(現実世界)を思いどおりに生きるということが容易ではないことがよくわかります。身近な世相の一端から娑婆を生きる難しさを学びました。結びに、「人生は自らの志を立てることが肝要。立志して生きようとするとき、娑婆(現実世界)は苦難に満ちているということが認識できる」と申し上げて10月度の日曜法話会は終了。
来月は今年最後の法話会、24日(日)の開催です。
※詳細は妙法院だより「不染」のウエブ動画をご参照ください。
相武山 山主
2024年10月31日