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相武山 妙法寺 ブログ

信教の自由とその責任(上)

10月度の日曜法話会は23日(日)でした。妙法院の法話会は「仏教に親しみ、仏教を正しく理解願いたい」を趣旨として開催しています。そのため毎月の法話会の冒頭ではプロローグとして、仏教に対して一般的に見られる誤解や偏見についても、その誤りを指摘しています。

今月は「仏教寺院が冠婚葬祭のための存在、歴史や文化や観光の対象と一般的に思われていることについて」。仏教寺院においてそのような活動が実際に行われており、仏教の教えやその啓蒙にもつながっていることは事実。しかし、仏教寺院本来の役割は「仏教を護り伝える道場」であり、「限りある人生、いかに生きるか」を命題として、仏道を修行・修学し、己の心身を調えようと願う人々の心の拠り所であることをお伝えしました。

また、仏教寺院では当たり前のことですが、僧侶が仏道の修行と修学に勤め、檀信徒はもちろんのことご縁のある方々に仏教の教えを説く姿がなければなりません。深淵な仏教の教えが現実生活に追われる方々に直ちに受容されるとは思えませんが、少しでもわかりやすくお伝えすることは僧侶の大切な使命と言えるでしょう。
現代では葬式仏教と揶揄されたり、仏教や信仰が軽んじられることも多いのですが、これらはすべて私たち僧侶の力不足・努力不足であるとの所見をお伝えしました。

《信教の自由とその責任》
10月の法話会のテーマは「信教の自由とその責任」(旧統一教会問題から)でした。
7月の安倍元首相の暗殺事件以来、3ヶ月を経過した今日まで途切れることなく「旧統一教会」の問題が報じられ、さまざまな視点から問題が論じられています。しかし、意外にも関係性が深い宗教関係者からの批判や意見が出ていません。
もちろん、信教の自由という基本的人権にかかわる難しい問題にふれることなので、軽々には論じられないということなのでしょうが、その宗教の教義や信仰に入らなくても、一般常識の範囲内で批判や意見は述べることは可能だと私は思いますので、今月の法話会のテーマに置きました。

また、確かに信教の自由は認められていますが、その自由の裏にはしっかりと責任という二文字もついているのです。自由だけ主張して責任は放棄するなどということは許されないことです。法話会では時あたっての私見をお伝えしました。
旧統一教会の問題について実行犯の山上容疑者が語った『母親が多額の献金をするなどして、家庭生活がめちゃくちゃになった』。容疑者の親族によると『母親が平成3年に旧統一教会に入信。死亡した父親の保険金など合わせて1億円を献金した』という事実から。

「・旧統一教会の反社会的行為は当事者ばかりでなく、社会的な問題として追求されるべき問題。・個人に精神的救済と安らぎを与えるべき宗教団体が、マインドコントロールによって個人を支配し、その生活を混乱させるばかりか、その家庭を破壊して多くの人々を苦悩の世界に堕としている事実。・各自の宗教や信仰は「基本的人権」として憲法に保障された基本的自由である。しかし、自由には責任が伴う。・旧統一教会問題は私たちの現実社会に起こっている反社会的行為(社会の秩序や道徳から著しく逸脱しているさま)である。・宗教者としては宗教としての正邪と矛盾そのものを問うべきだが、そこは宗教的学問の世界での議論となる。今回の課題は宗教としての内容の矛盾と邪教性を問うものではなく、あくまでも反社会的な宗教行為が糾弾・是正され、不幸の連鎖を断ち切ることにある。」と所見を述べました。

問題点としての参考として南野森・九州大学教授が毎日新聞に寄せた
『旧統一教会は、宗教であることを隠して近づく手法や、家族や知人との接触を断ちきっての洗脳・教化、霊感商法や法外な金額の献金強要など多くの違法行為・不法行為が裁判で認定されており、他の宗教団体と決定的に異なる。』との発言を紹介。

続いて政権与党と旧統一教会の関係について「・与野党問わず宗教団体との関係性が問われている。・政治家は選挙のためにはカルト宗教と指摘されている悪徳教団とも関係を結ぶことがある。・教団は政治家との関係を教団信用に利用している。・教団と政治家が相互に利用し合う関係。・教団の意向が政策にも反映されていたのではないか?」を解説。

また、カルト教団については「・カルト団体は宗教ばかりではなく、ヨガやスピリチュアルの世界にも及ぶ。・信者を洗脳して、お布施・ドネーション・修行料と称して高額な金員を自主的に献金させている。・霊感商法とよばれる洗脳ビジネスは後を絶たない。」との実態を説明し、参考資料として東京新聞10月10日配信、識者2名の発言を紹介。

次に話題の「宗教2世の問題」。山上容疑者は旧統一教会への恨みを募らせた末に事件を引き起こしたが、容疑者のように特定の信仰を持つ親の子供「宗教2世」の存在が社会問題化している事を紹介。
宗教2世の問題は「宗教の継承」に直結していることから、「世界の宗教はその『歴史・文化・伝統・習俗・・・』と密接不可分。現代社会にも大きな影響力を持っている。・日本のすがたとしても「菩提寺と檀家制度、神社と氏子制度」がある。現行憲法の下、『信教の自由』『思想信条の自由』は保障されているので強制されることはないが、色濃く社会通念として存在している。」ことを解説。

家族と宗教は難しい問題であり、個人の基本的人権とコミュニテイ(共同体)の基本単位である家族の有り様はさまざまです。百人百様、各人各家庭が判断するものといえるでしょう。基本的には人権が尊重されることが重要であり、家族であっても他者に信仰を強制することはできないことを説明しました。 (つづく)

相武山 山主

2022年10月29日