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相武山 妙法寺 ブログ

現代語の法華経要品を拝読(下)

妙法蓮華経要品「現代語訳」の拝読は前回拝読(3頁~19頁)の続きです。
「三昧から出られた釈尊が声聞衆の代表である舎利弗を相手に語り出します。『諸仏の智慧は甚深無量にして、其の智慧の門は解しがたく入りがたし。一切の声聞、辟支仏の知ること能わざる所なり。 ー略ー  われ、成仏してより已来、種種の因縁、種種の譬喩をもって広く言教を演べ、無数の方便をもって衆生を引導して、諸の著を離れしむ。 ー略ー 唯だ仏と仏のみ乃ち能く諸法の実相を究尽す』と述べ、十如是が説かれます。舎利弗は三度釈尊に説法を請い、釈尊が応えようとしたところ、五千人の増上慢の者が退座してしまいます。」を確認。

 此処では仏の広大深遠な智慧を「四無量心・四無礙弁(四無礙智・四無礙解ともいう)・十力・無所畏・禅定・解脱・三昧」と明らかにし、諸法の実相として示された十如是が説かれます。この十如是は法華経の梵本には「五つの間接疑問文」として存在しますが、鳩摩羅什は仏のみが覚られるという諸法の実相を大智度論を参考として十如是に表現されたといわれています。

それは「是くの如き相、是くの如き性、是くの如き体、是くの如き力、是くの如き作、是くの如き因、是くの如き縁、是かくの如き果、是くの如き報、是くの如き本末究竟等なり」です。しかし、その内容については詳細に語られてはいません。そのため、天台大師はこの法華経の「仏の覚られた諸法の実相」を円融三諦説や一念三千説として表現されたことをお伝えしました。

【一大事因縁のゆえに出現】
夏季研修会の拝読は『法華経要品現代語訳』の20頁から。「未だ得ざるを得たりと謂(おも)い、未だ証せざるを証せりと謂う」。増上慢の五千人が退座し、釈尊はいよいよ仏がこの世に出現した目的「一大事因縁」について語られます。その目的とは「四仏知見(開仏知見、示仏知見、悟仏知見、入仏知見)」です。
方便品では「諸仏世尊は、ただ一大事の因縁をもっての故に、世に出現したもう ー 略ー 諸仏世尊は、衆生をして仏知見を開かしめ、清浄なるを得しめんと欲するが故に、世に出現したもう。衆生に仏の知見を示さんと欲するが故に、世に出現したもう。衆生をして、仏の知見を悟らしめんと欲するが故に、世に出現したもう。衆生をして、仏の知見の道に入らしめんと欲するが故に、世に出現したもう。」と説かれます。

この経文はとても大切な言葉です。釈尊は「稀にしか仏の体得した妙法を説くことはない」とことわり、仏は唯一の大事な仕事である「衆生に仏知見を開き、示し、悟らせ、入らせる」ためにこの世に出現されたことを表明されたのです。
釈尊はここで「仏はすべての衆生を成仏させるためにこの世に出現した」ことを明らかにされました。法華経が出世の本懐といわれるゆえんです。

【開三顕一】
法華経の中心思想は方便品にあるといわれますが、それは仏の一大事の因縁が「すべての衆生に成仏への道を開くこと」であり、声聞や縁覚、菩薩としての教えと修行、さらにはその果得を説いた三乗の教えは方便であったと表明したことによります。

方便品では「仏、舎利弗に告げたまわく、「諸仏如来は、ただ、菩薩を教化したもう。諸の作す所あるは、常に一事のためなり。ただ仏の知見をもって、衆生に示し悟らせたまわんとなり。舎利弗。如来はただ、一仏乗をもっての故に、衆生のために法を説きたもう。余乗のもしは二、もしは三あることなし」 と説かれました。

三乗(声聞・縁覚・菩薩)の教え(方便)を開いて一仏乗の教え(真実)を顕したことから、古来この教えを「開三顕一」と呼んでいます。成仏への道に差別があるかのような三乗の教えは仮の教えであり、仏の真実の教えはすべての衆生が差別なく成仏を認める一仏乗であることを宣言されたものです。

続いて方便品では
「舎利弗。諸仏は、五濁の悪世に出でたもう。いわゆる劫濁と煩悩濁と衆生濁と見濁と命濁となり。かくのごとし。舎利弗。劫の濁乱の時には、衆生は垢重く、慳貪(けんどん)・嫉妬にして、諸の不善根を成就するが故に、諸仏は方便力をもって、一仏乗において分別して三と説きたもう。舎利弗。もし、わが弟子にして、自ら阿羅漢・辟支仏(びゃくしぶつ)なりといわん者が、諸仏如来は、ただ菩薩のみを教化したもう事を聞かず、知らずんば、これ仏弟子に非ず、阿羅漢にも非ず、辟支仏にも非ず。」と三乗の教えに執着する弟子を誡めています。

五濁悪世に出現した仏はさまざまな方便をもって衆生を仏道に導きますが、真実は菩薩だけを導く一仏乗を説くことが目的であったことを述べ、仏弟子に一仏乗(法華経)を信受することを求めていることをお伝えしました。

結びは「舎利弗よ。そなたたちは心を一つにして信じ、理解して、仏の言葉をよく受持せよ。多くの仏たちの言葉には決して偽りはなく、それ以外に真実の教えなどは存在しない。ただ一仏乗の教えだけが真実である」と。を読み上げて今季の研修会の拝読は終了。

今回の研修会では『法華経要品(方便品)現代語訳』から「仏は諸法実相を如実知見」「仏は一大事因縁のゆえに出現」「一大事因縁とは四仏知見」「三乗方便一乗真実」「二乗作仏は一切衆生の成仏」などの大切な御法門を詳細にわたることはできませんでしたが学ぶことができました。改めてことわるまでもなく日蓮の門下として法華経を学ぶことは意義深いことです。参加聴講された方々も信行増進されたことでしょう。
富士日興門流では古来方便品世雄偈を勤行でも読誦していました。近年は時間に追われる世相にまぎれて読誦される方も少ないようです。しかし、内容はとても深いので私も毎日ではありませんが折節に読誦しています。

研修会は小憩をはさんで1時間40分の講義とその後30分の質疑応答で終了。10月31日の秋の研修会では続きを拝読の予定です。コロナ禍が収まり少しでも多くの方と法華経に親しみたいと願っています。

相武山 山主

2021年09月27日