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相武山 妙法寺 ブログ

源を見つめる(下)

日曜法話会のレジメの続きは「オリンピック開催ありきでよいのか?」から。我が国のコロナ禍の現状からして、果たして開催は可能か?という疑問です。菅総理は開催の有無について質問されても明確に答えませんが、政権は開催の意向と報じられています。
近年の国政では政権や権力者にとって都合の悪いことは明確に回答しない、さらに説明しないことが多いように思えます。政権は国民のためのもの、市民のためのものという原点が忘れられているように思えるのは残念との所見を述べました。

オリンピックは7月23日開幕、残された時間は68日。海外のメディアも開催の是非を論じています。明確に中止・延期との声も上がっていますし、開催に関わる各県にオリンピック向けの医療提供を求めても拒否されているとの報道があります。世論調査でも開催賛成は少なく過半は中止か延期を希望しています。このような状況で果たして「コロナに打ち勝った証」などといって開催できるのでしょうか。オリンピック開催についてもその本来の意義(源)を問い直す必要があるように思います。

次にレジメでは「公文書改ざん事件(赤木ファイルの提出)」を取り上げました。
森友学園問題は未だにすっきりしていない問題ですが、昨年(2020年)、森友学園事件で財務省の佐川宣寿理財局長(当時)に決裁文書の改ざんを強要されて自死に追い込まれた近畿財務局職員、赤木俊夫さんの遺書と手記が公表されました。
公文書改ざん問題は安倍晋三前総理が国会で自身と昭恵夫人の関与を完全否定する答弁を行い。その答弁に合わせて佐川局長が部下に文書改ざんを命じたというものです。現場で対応を迫られた赤木さんは自死することで財務省の不正を告発したことになりました。赤木さんの自死を問われた安倍総理は、「ああいう結果になり、総理として大変申し訳ない」と謝罪。しかし、赤木さんの告発に応えて再調査することは否定しました。

2020年3月、赤木さんの自死から2年後、妻の赤木雅子さんが「自死は同省で改ざんを強いられたからだ」として、国や佐川宣寿・元財務省理財局長に、計約1億1200万円の損害賠償を求め大阪地裁に提訴。雅子さんは、夫の精神的苦痛を証明するために「赤木ファイル」の提出を命じる「文書提出命令」を出すよう地裁に申し立てていました。これを受け、国は、5月6日までにファイルの存否について文書で回答することになっていたのです。
国が赤木ファイルの存在を認め、条件つきながら開示することを回答したという事件です。内容が少し込み入っていることもあり、法話会では日経新聞を参照に解説しました。

テーマ「源を見つめる」に沿って、「公務員が仕えるとは!」として、ある国家公務員のことば『国家公務員のすべての原点は「人のために、国民のために、国益のために」、自分は何ができるか、自分はどのように国家公務員として仕事をしていくか、どのような政策を実現していくか、それを考えることが国家公務員としての使命であり、国家公務員として働くことの意義だと思います。』を紹介。
私の所見として「公務員は公平公正、原点と基本を忘れてはいけない」と述べ、「意識の対象は権力者ではなく、国民、市民であるべき。公文書は国民・市民の財産であり、改ざんを許してはならない」「この事件は大きな問題を内包してるので今後も注視したい」とお伝えしました。

次に天台大師のことば
摩訶止観から「流れを挹みて源を尋ね、香を聞きて根を討ぬ」を紹介。
『水の流れをくみとって、水源の様子を追求し、匂いを嗅いで根源の様子を調べる。末端に現れたものから本質を察知するたとえ』
同じく摩訶止観から「根露るれば条枯る、源乾けば流れ竭く」を紹介。
『植物の根がむき出しになれば枝は枯れてしまう。水源が干上がれば水の流れはつきる。根本になるものがだめになれば影響は末端まで及ぶことのたとえ』

結びに以下の日蓮のことばを紹介。
「天晴れぬれば地明らかなり。法華を識る者は世法を得可きか」  『観心本尊抄』
「賢人は八風と申して八つのかぜにをかされぬを賢人と申すなり。利・衰・毀・誉・称・譏・苦・楽なり。をを心は利あるによろこばず、をとろうるになげかず等の事なり。此の八風にをかされぬ人をば、必ず天はまぼ(守)らせ給ふなり」 『四条金吾殿御返事』
「御みやづかい(仕官)を法華経とをぼしめせ。「一切世間の治生産業は皆実相と相違背せず」とは此れなり。」 『檀越某御返事』
《現代語訳》「主君に仕えることが、そのまま法華経の実践であるとお思いなされよ。天台大師の『あらゆる世間の生活と産業は、みな仏法の真実と相違しない』というお言葉はそういう意味である。

学ぶべきこととして「何ごとも謙虚に原点を意識して人生を歩もう。おかしなこと、納得できないことには拒む勇気を。人生の最後まで学ぶことを愉しもう。自らを支え育むすべての存在に感謝の思いを抱けるように精神の涵養をはかろう。」とお伝えして5月度の日曜法話会は終了。
次回は6月13日(日)午前11時からの開催です。

相武山 山主

2021年05月30日