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相武山 妙法寺 ブログ

今を生きる(下)

前に述べたように今を生きるためには過去との比較が欠かせませんから、「この時代、この社会、この地域、この環境・・・・・・」について参加者の皆さんと考えてみました。

過去の時代(昭和や大正・明治、さらには江戸時代や戦国時代、鎌倉時代や平安時代~)とは違う現代。想像できない未来とも違う現代。今は令和の時代。日本という国、生活する地域、日本の自然環境。世界中の国や地域とのつながりと影響。地球と宇宙のいとなみにも影響されます。

生活のスタイルや社会のシステムも「今」のもの。過去の時代とはちがいます。昭和の時代と比較してみるとよくわかります。「住宅、電気、水道、トイレ、電話、ガス、電気製品、洋服、食事、お菓子、商業施設、車、・・・和風から洋風へ、学校の教育内容、新旧の産業の興廃、企業の興廃、病院やクリニック、医療や治療など・・・」。

「家父長制、夫婦関係、親子関係、師弟関係など。結婚式や葬儀などの儀式行事。礼儀や言葉遣いなど文化や習俗。社会のグローバル化(社会的・経済的に国や地域を超えて世界規模でその結びつきが深まること」等々。 少し振り返ってみればその変化には驚くばかり。意識するとしないとにかかわらずほとんどの人が変化を受容して今日に至っています。

次に「今を生きるため」には、自分自身の今を知らなければなりません。自分ことといえば多くの人がわかっていると思いこみがちですが、実はそうでもありません。自分自身を見つめ知ることはかなり難しいことなのです。 自分自身を見つめ、己れを知ることが大切として「年齢、体調、性格、これまでの歩み、育った環境、修学や就職、職種や経験、人生の歩みと置かれている環境は一人ひとりちがう・・・」ことなどについて説明。その上で、今の自分にできること、できないことを理解して心豊かに生活することをお勧めしました。

変化してやまない今を生きるとして「時代は日々刻々変化していることを知る。人は誰もが生・老・病・死をまぬがれない。仏教では四劫が説かれている(成劫・住劫・壊劫・空劫のこと。仏教では世界が成立し、変化・破滅を経て、空の状態に帰するまでを四つの期間に分ける)。真理である変化をおそれない心を涵養する」ことをお伝えしました。

変化についても「変えるべきもの、変えた方が良いもの、変えない方が良いもの、変え てはいけないものがある」ことを解説。「今までの考えやかたちを変えることには不安を伴うことが多い。変容(変化を受け入れる)にはできるだけ正確な情報と知識が必要。コロナ禍によって失ったもの、コロナ禍によって得たものを知る。「今」コロナ禍での人生を歩むということは、それ以前との変化を認めて新たな人生を歩むということ。置かれた環境を愚痴ることなく認め、一歩でも前を向いて与えられた人生を歩むことが大切。人生は出会いと選択であり、人生はすべてが学びである。」と所見を述べました。

 

変化をおそれずに生きる「諸行は無常&縁起として在る」では釈尊と弟子の問答『相応部 サンユッタ・ニカーヤ』から、

「大徳よこの世の色には、ほんの少しでも、なんぞ常恒・永住にして、いささかも変易することのないものはないでありましょうか」

「比丘よ、この世の色には、常恒・永住にして、変易することのないものはまったく存しない」

「比丘よ、もしこの爪の上の土ほどのものであっても、常恒・永住に して、変易することのないものが存するならば、わたしの説く清浄の 行によってよく苦を滅尽することはできないであろう。

しかし、比丘よ、この世にはこの土ほどのものといえども、常恒・永 住にして変易することのないものは存しない。故にわたくしの説くこ の清浄な行によって、よく苦を滅尽することができるのである」

「比丘たちよ、色は無常である。色を生起せしめる因も縁も無常であ る、比丘たちよ、無常なる因と縁によって生起せる色がどうして常恒 なることがあり得ようか」『雑阿含経 サンユッタ・ニカーヤ』から「縁起の 法は我が所作にあらず、亦余人の作にもあらず、然も彼の如来、世に出ずるも、未だ世に出でざるも法異常住なり。彼の如来は自らこの法を覚って等正覚を成じ、諸の衆生のために分別し演説し開発し顕示す。謂わゆる此れ有るが故に彼有り、此れ起こるが故に彼れ起こる」を紹介。

「諸行無常とはあらゆる存在が変化してやまないという真理。あらゆる事物事象は縁起によって成り立っている。釈尊の覚られた真理は縁起を基本としている。縁起であるがゆえに不変・絶対なるものは存在しない。」であり、諸行無常が仏教の基本思想であり縁起は真理であることをお伝えしました。

学ぶべき日蓮聖人の言葉では以下を紹介しました。

「命と申す物は一身第一の珍宝なり。一日なりともこれをのぶるならば千万両の金にもすぎたり」 『可延定業御書』

「夫れ以みれば日蓮幼少の時より仏法を学し候ひしが念願すらく、人の寿命は無常なり。出づる気は入る気を待つ事なし。風の前の露、尚譬へにあらず。かしこきも、はかなきも、老いたるも、若きも、定め無き習ひなり。されば先づ臨終の事を習ひて後に他事を習ふべし」 『妙法尼御前御返事』

「流罪の事痛く歎かせ給ふべからず。勧持品に云く、不軽品に云く。命限り有り惜しむべからず。遂に願ふべきは仏国なり」 『富木入道殿御返事』

「一生はゆめの上、明日をご(期)せず。いかなる乞食にはなるとも、法華経にきずをつけ給ふべからず」 『四条金吾殿御返事』
今回のテーマ「今を生きる」から 「現実をしっかりと理解しよう。己れ自身を見つめよう。過去にとらわれず、未来をいたずらにおそれない。貴重な命であることを知り、また、その命が有限であることを知る。今日一日の命のいとなみを大切にしよう。学ぶことを愉しもう。臨終のそのときまで自分自身が成長することを願う」ことをお伝えしました。

相武山 山主

2021年04月29日