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相武山 妙法寺 ブログ

慰霊の供養をつとめて

妙法院には墓苑事務所の奥にペット墓「慈愛」が設けられています。ソメイヨシノの樹下にあるペット墓にはすでに20霊以上のペットが共同埋葬され、例年4月1日には慰霊供養を行っています。
今年も4月1日午後1時からの御経日に引き続いて、名残のサクラの下で香華を供え、ご信徒と倶に法華経要品読誦、南無妙法蓮華経の唱題を修して慰霊供養をいたしました。

ペットという言葉からのイメージは犬や猫が中心で、飼育愛玩している動物というのが一般的な理解だと思います。ペットの存在を認めて可愛がる方も多く、その輪も世界に広がっていますが、他方、本能的に受容できない方や、体質的に合わない方もいます。また、好ましくない経験などから忌避される方がいるのも事実です。ペットへの理解や対応、選択は個人のまったくの自由ですが、大切なことは自分と異なる認識や好みがあり、その事実を認め他者を尊重するという姿勢ではないかと思います。

ペットへの我が国の意識は欧米の影響もあって近年大きく変わってきているように思えます。ペットという表現が我が国で一般化したのは1980〜1990年代といわれており、そう長い歴史ではありません。そもそもペット(pet)とは日本では愛玩動物以外の意味で使われることは少ないようですが、英語では人間に対して使われる意味も含まれているようです。「愛玩(あいがん)動物、ペット、お気に入り、いいやつ、かわいい人、いい子、すてきなもの、あこがれのもの、(子供っぽい)不機嫌、すねること」などと解釈されるようです。

さて、一概にはいえませんが、我が国ではかつて飼育する犬や猫などを畜生と蔑視することがあったり、人間のしもべのように扱うことも珍しくはありませんでした。しかし、今ではペットを飼う家庭では「ペットは家族の一員」という認識がほとんど。多くの方が家族の一員として名前をつけ、他者には「うちの子」などと紹介しています。まさに家族そのものです。

ペットへの認識や定義については種々意見もあることと思いますが、
『ブリタニカ国際大百科事典』には
「愛玩動物のこと。大切にかわいがるために飼育されている動物をいう。かわいらしく愛嬌のある容姿,きれいな鳴き声,飼い主に従順な性格などがペットの条件としてあげられる。昔からおもに哺乳類,鳥類,魚類が飼われてきたが,近年はワニ,トカゲ,ヘビなどの爬虫類も人気を集めるようになり,両生類や昆虫類を含めて幅広くペットになりうる。そのなかで最も一般的なのはイヌ,ネコで,危険を察知したり狩猟の助けをしたり,ネズミをとるなど家畜としての役割を兼ねていたものが,長い歴史のなかで遺伝的に改良され,まったくの愛玩用になってしまった品種も少なくない。」とあります。

ペットはことばも通じないのに、なぜか家族と同じように強い絆を感じる存在です。そこから現代では「コンパニオン・アニマル(伴侶動物)」とも呼ばれるようにもなっています。したがってペットへの表現や対応もかなり慎重さが求められ、我々僧職がペット供養を希望されても従前のように「如是畜生」などという表現は憚られるようになり、施主(供養を願われる方)の気持ちを推し量った供養のかたちに変化を余儀なくされています。実際当山では個別にペット慰霊のための塔婆を依頼されたときには、かつてのように「○○号・如是畜生頓生菩提」ではなく、「慰霊追善供養」と書いて供養しています。

愛らしいペットの存在は飼育愛玩される方によって(飼育という表現が不適当と指摘されそうですが)それぞれ異なると思いますが、およそ癒やしや安らぎの対象であり、家族のコミュニケーションの対象となり、飼い主家族の生きがいにも通じる大きな存在となっています。ときに自宅などを猫屋敷や犬屋敷として、動物を虐待し周囲の人々に迷惑をかけるような人もいますが、ほとんどのペット愛好家はペットを家族の一員として人生のよすがとしているようです。

しかし、ペットも人間同様、「生・老・病・死」をまぬがれません。愛情が深ければ深いほど悲しみも深いものです。病気になってはうろたえながら治療し、老いてはできるだけの介護をします。寿命を迎えれば悲しみに襲われながら手厚く弔いたいと願う方が多いようで、情愛や人情が薄くなってきたといわれる現代に逆行するような温もりのある姿を多く見受けます。そこからはペットの置かれている位置が昔と様変わりしていることがわかります。ペットが可愛いという無条件的価値は当然として、核家族化や少子化、孤独や孤立生活など人間社会の環境変化がペットの存在価値を向上させているように思えます。

家族の一員であるペットを失うと飼い主家族の精神的ショックは大きく、だれもが「ペットロス」といわれるような経験を覚えます。そのショックが軽ければ問題ありませんが、中には悲しみが重症化して心の病や身体的な病気を患ってしまう人もいますから注意しなければなりません。ペットロス症候群等は、人と動物との間に「深い絆」が存在するから起こる病です。
亡くなったペットも愛してくれた飼い主家族が悲しみから立ち上がれず、心身に支障を来たすような姿をみればきっと悲しむことでしょう。諸行は無常との真理に想いを馳せ、生前の存在に感謝して冥界の安寧を祈り、自身の心のバランスをとることが大切です。

大乗仏教ではあらゆる存在の成仏が説かれていますからペットも当然その対象です。法華信仰の家族と倶に生活したペットは、法華経に説かれるように信仰の功徳によって仏さまのお側で安らいでいることでしょう。私たち家族もジョン、ボブ、タロー、を仏さまの世界に送りました。恒例となった慰霊の供養をつとめながら在りし日の可愛い姿を偲び、ペットについて種々思いを巡らした慰霊供養法要でした。

相武山 山主

2021年04月27日