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相武山 妙法寺 ブログ

田起こしとカエル

5月の連休が明けると当山西側の市民の森の田んぼでは田起こしがはじまりました。田んぼに水を引く前の田植えの準備です。すると間もなくカエルがなき始めました。『まだ水も入ってもいないのに・・・』と思いながら、一瞬として絶え間なく無言のシステムが稼働しているようで、自然界の営みはすごいなと素直にうなずいてしまいました。

連休はもちろんのこと、その前後もほとんどの方々が自粛のために静かな時を過ごされたのではないでしょうか。人生は生活することに追われていつも忙しなく、なかなかものごとをじっくり考える暇を持つことはできません。しかし、今回の新型感染症対策で自宅での巣ごもりが要請され、自らの人生や社会のありようを考える時間を得た方も多いことでしょう。心を落ち着けて冷静に思索することはやはり大切な心得であり、今回はその機会であったと思います。

【生活と政治】
突然に余裕の時間を得て自分自身の人生や日々の生活について熟考される方も多いと思いますが、このところメディアの報道はコロナ一色ですから耳目は自ずとその対策と対応にも向かい、社会や政治にも関心を寄せる方も多いと思います。未知の新型感染症は不安と恐れの対象でその防止は喫緊の課題ですが、経済活動や社会活動の停滞もそれ以上に深刻な問題で人生や生死に関わります。今まさに大きな政治的課題が突きつけられているといっても過言ではありません。

我が国では欧米の民主主義の国民のように政治を自らの人生や生活に極めて密着した問題として考え、積極的に政治参加する方はそう多くないように見受けられます。というよりも政治的発言や行動がはばかられる雰囲気があり、強い政治的思想や主張を持つ人以外その見解を述べることは少ないようにも思うのです。
それは民衆主義の獲得と維持のために長い戦いと多大の犠牲を払ってきた欧米の民主主義の歴史と、前の大戦に敗れて自覚の乏しい中で突然民主主義を得ることになった我が国の歴史に大きな違いがあるためでしょう。
『政治は政治家が考えるもの、しっかりやってほしい』と丸投げであったり、『目の前の生活が大変なんだから政治を考える余裕などない』との言葉や、『どうせ世の中誰が政治を行ってもたいした違いはない』と無関心である姿を目にすることは実に残念です。しかし、今回のコロナ問題を契機に多くの国民が政治を直視することになり、厳しいコロナ問題の大きな果実となるかもしれません。

政治は私たちの人生や生活と直結しています。まして現代日本は昔のような封建制度や天皇主権の政治体制ではなく、一人ひとりの国民が主権者として権利と義務を有しているのですから、政治に無関心であってはならないと思うのです。日々の生活が政治選択で一気に変化するようなことはあまりないかも知れませんが、政治によって私たちの生活は大きく影響をうけます。したがってより良い生活のためにはより良い政治を求めなければならないのです。

時の政治・行政に納得がいかなければその責任を立法・行政に携わる政治家に求めることは当然ですが、他方、その政治家を選択した国民にも責任があるのです。単に政治家を責めるよりも選択したことの責任を考えなければなりません。国民の意見は多種多様ですから万人が納得するような政治を執行することなど不可能なことです。より多くの国民に納得していただき、後世の批判にできるだけ耐えうるような政治が望ましいといえるでしょう。そのためにも「誰が如何なる理由でどのような決定をなし、いかように実施されたか」を公文書として残すことは政治責任の重要なポイントとなります。

現実の政治状況では大きな主義主張として、短絡的に「右だ、左だ」「保守だ、リベラルだ」ということがありますが、そこまでの認識はなくても、「このような政治であってほしい、このような生活がしたい」「この政治判断は良いと思う、この政治判断はおかしいのではないか」との意思表示は誰もが意識し、発言もあるべきではないでしょうか。

日蓮大聖人は大乗仏教の精神から立正安国論を奏上されたように、孤高の宗教世界のみにとどまることなく庶民の現実的な生活の苦難に向き合われました。精神世界の有り様こそ至上の価値とする多くの宗教者にはいぶかしがられるかもしれませんが、時の為政者に庶民の苦難をうったえ宗教者としてその救済を求めたのです。私たち日蓮門下僧俗ことに日興門流では、宗祖のその志を継承して現実生活の問題と正面から向き合い、そのより良い解決に向けて努力する道、そのものが仏道ではないかと考えるのです。

時にあたり、大乗仏教の精華である法華経の真意を体得された日蓮大聖人の末弟として、田起こしからカエルの鳴き声が連動するように、生活と政治が連動していることを皆さんに伝えたいと思った次第です。

相武山 山主

2020年05月28日