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相武山 妙法寺 ブログ

未知との遭遇

3月の日曜法話会は15日の予定でした。新型コロナウイルス感染防止のため、イベント・集会自粛要請中でしたが、『参加者はそう多くはない、換気に留意し、席を離して対応』と判断して開催。参加者は18名でした。

法話会、世相のテーマは「未知との遭遇」。このテーマの未知とは未だ正体の明らかではない「新型コロナウイルスとその感染拡大について」ですが、仏教的な視点からは「人生は常に未知との遭遇である」ことを意識してほしいと願ってのネーミングです。というのも、仏教の基本として説かれる「諸行は無常、あらゆるものは変化して止まない」に照らしてみれば、私たちの肉体も精神も日々変化していますし、周囲の環境や諸事象も常に変化しているのです。厳密に見つめてみればまったく同じ状態にある事物は一つもないことがわかるでしょう。

子どもがある日突然大人になるわけでもなく、高齢者が突然に老いたわけでもありません。一日一日の成長、一日一日の老化、その変化が現状をもたらしているのです。眼前の事物事象のすべては流動性の中に存在するものであり、私たちが判断している現状はその一端を切った断面であると表現することができます。そう考えれば実は毎日が未知との遭遇といえるでしょう。ただ私たちが意識していないだけ、意識できていないだけのことです。
難しいことはひとまず置いて、そのような仏教的視点をベースに今回の法話会では所見を述べました。

新型のコロナウイルスの発生とその感染というテーマは2月も取り上げましたが、発生源といわれる中国から近隣のアジア諸国への感染が拡大。さらにイランやヨーロッパやアメリカでも爆発的に感染が広がり、WHOもパンデミック宣言を出すに至り、我が国でもさらに深刻な状況が予想されていること、また、何ごとも比較検討しなければその是非・優劣はわからないことから、隣国台湾の対策を紹介して比較してみることにした次第です。

はじめにパンデミックが感染症の全国的・世界的な大流行を意味すること。次にペストやチフス、コレラやスペイン風邪、近年のサーズやマーズなど世界的パンデミックの歴史について概要を説明しました。WHOは3月11日にようやくパンデミックを宣言しましたが、私はもちろんまったくの門外漢ですが、その危険性を熟知しているはずのWHOの対応は、1月に遡る感染流行時からすでに後手後手と感じていました。中国に配慮しているのか、危険性をあおることを危惧しているのか、よくわかりませんが対策への疑問をお伝えしました。

続いて、新型コロナウイルスは感染力が強く、国や地域によっては致死率も高く、有効薬がなければ長期化の恐れがあること、感染の爆発的拡大によっては医療崩壊の危険もあることを紹介。また、すでに経済的・社会的に影響が出ていますが、今後より深刻な事態が予想されるので、政府行政は適切な対策を迅速に講じなければならないことを求めました。

次に2月頃から一部メディアやネットの報道で気になっていたのは台湾の感染症対策でしたので、ジャーナリストの西岡省二氏がアメリカのNBCテレビ(電子版)の記事をもとに3月12日に発信した内容を紹介しました。
『まず、昨年末から1月末にかけての迅速で適切な対策が講じられたこと。次に対策の厳格さによって水際対策が功を奏したこと。マスクなどの供給適正化を実行し社会的混乱を回避したこと。政府はメディアを活用して感染状況を適切に広報し、併せて手洗いやマスク着用など感染防止の具体的な周知に努めたこと。

台湾の対策が的を射ており、人心と社会の大きな混乱を回避できているのは、2003年のサーズ感染拡大によって犠牲者を出したことの教訓から、アメリカの疾病対策センター(CDC)を参考にした防疫の司令塔機関「国家衛生センター(NHCC)」を設置したこと。また、常時、中国との緊張関係にあり、非常事態について政府と国民双方に高い意識が共有されていたのではないか。』と記事を要約してお伝えしました。
さらに参加者の皆さんにはより実態を知って頂きたく、参考資料として「プレジデントオンライン」を提供しました。

最後に学ぶべきこととして、『眼前に起きていることは事実という認識が大切。人生は常に未知との遭遇(諸行は無常であるがゆえに)。諸行無常の日々は毎日が「プチ未知との遭遇」。眼前の未知との遭遇から何を学ぶのかが問われている。グローバリゼーションの現実。国や地域、人種や宗教を越えて地球は一つであるという現実を教えるパンデミック。各国や各地域の対策を比較検討して未来への糧とする。悲観と楽観に偏らず、慎重さと柔軟さのバランスを崩さないように注意する。今回のパンデミックから、より多くの人が学びを得ることが大切。学んだことを人生に活かそう。』との所見を述べて3月度の法話会を結びました。

相武山 山主

2020年03月25日