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相武山 妙法寺 ブログ

母を想うこころ

先月20日、妙法院からの転送電話を出先でうけました。中年の男性の声で『妙法院の大山住職さんでしょうか?』『その昔、保土ケ谷にあった妙法院さんですか?』というお尋ねです。『そうですが・・・』とお応えすると、『その昔、父の葬儀をして頂いたSと申します』といわれたので、すぐに『覚えていますよ。鶴ヶ峰にお住まいだったSさんですね』と尋ねますと『わかりますか』というお応え。『突然で申し訳ないのですが、実は先ほど母が亡くなりご住職に是非葬儀をして頂きたいと思って電話した次第です』ということでした。

たしかに私がSさんのお父さんの葬儀を36年前に執り行ったのは事実ですが、Sさんのお母様とは新横浜岸根町の頃から疎遠となり、残念ながらいつしか音信が途絶えてしまいました。その後、羽沢町から現在の下川井町に移って来ましたから、『どうして妙法院がわかりましたか?』とお尋ねすると、『ネットで、妙法院・大山住職・保土ケ谷などと検索して調べました』ということでした。突然のことで私も驚きましたが、すぐに人なつこいSさんのお顔を思い浮かべることができました。

電話でSさんの申し出をお受けすることをお伝えし、所用を済ませて妙法院に戻ると間もなくSさんがお見えになりました。約30年の時が経っていましたから私のSさんのイメージは大学生だったのですが、お母様の面影が残る中年の立派な男性になっていました。葬儀の段取りをととのえた後、Sさんとお母様の安置所に向かい、興厳房と共に枕経を勤めさせて頂きました。かつてのSさんのお母様はふくよかなお顔でしたが、やすまれているお姿は面影を残しながらもすっきりとしてとても穏やかな表情でした。

故人の在りし日をしのび静かに霊山への旅立ちを祈る読経を始めると、後ろに座って居られたSさんも一緒に読経に加わり、南無妙法蓮華経のお題目もお唱え頂きました。当山とのご縁はほとんど失われていましたが、Sさん母子は法華経と日蓮大聖人への信仰を忘れることなく大切にしておられたことが良くわかりました。

葬儀については『母一人、子一人であったので、母のためにできるだけ丁寧に葬儀と供養をさせて頂きたい』との言葉どおり、丁重に葬儀を営まれた後も初七日忌、二七日忌、三七日忌と毎週追善の供養を申し出られました。葬儀の簡略化や無用論まで語られる現代の世相ですが、Sさんのように家族の旅立ちにあたって、真心をもって臨まれる方もけっして少ないわけではありません。当山檀信徒の多くの方々は家族・親族のご縁と絆に思いをいたし、その旅立ちを大切にされています。

Sさんとはお母様の旅立ちをご縁に約30年ぶりの再会となりましたが、会話を交わす度にSさんの素直な「母を想うこころ」が伝わってきます。『自宅もちかくですし、再び妙法院さんと仏縁を結ぶことができたので、これからは信心を大切にして両親の菩提を弔って行きたい』とのことばに、人としての温もりのある情愛にふれることができ、とても有り難く感じた次第です。

相武山 山主

2019年07月28日