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相武山 妙法寺 ブログ

病と向き合う

春の彼岸入りの前日17日(日)は3月度の日曜法話会。久しぶりの藤又さんご夫妻をはじめ一般の方16名、信徒の方15名の参加聴聞を頂きました。お彼岸の前だったこともありご信徒よりも一般の方が多いという初めての法話会でした。

法話会では毎回「世相」を前半のテーマとしています。世相とは世の相(すがた)ということで、世の中の事物・事象(出来事)について仏教信仰者、法華信仰者としての視点からのお話です。仏教は現実を直視する「正見」を第一義とし、『あらゆる事物・事象は私たちと無縁なるものではないとの認識に立ち、起こっている事象はすべて学びの対象であり、眼前の事物・事象をどのように観るかによって自らの人生も定まる』と教えています。当然のこと、世相への意見は各人各様ですが、当山の法話会では私(住職)の意見をお伝えして参加者の参考に供している次第です。

今月の世相のテーマは「病と向き合う」。
去る2月12日、日本女子水泳界のホープ池江璃花子さん(18歳)が白血病発病を自ら公表しました。昨年のジャカルタ・アジア大会での大活躍が印象的な池江さんが難病に罹り、競技生活から離れて治療に専念するという突然の報道に日本中が驚きました。白血病とは血液の中の白血球が悪性腫瘍になった血液がんの一つ。難病といわれる病気ですが医学薬学の進歩によって完治も可能となってきました。報道にふれた多くの人は等しく池江さんの快復を祈っていることでしょう。私もそのうちの一人です。

法話会ではまず池江さんのプロフィールと病気について説明し、3月11日、東日本大震災の日に出された池江選手のツイッター『8年前の今日3月11日、罪のない人たちが大勢なくなりました。違う形ではあるけれどわたしは全力で生きます』を紹介しました。

【仏教と病】
続いて仏教では病をどのように考えるかについて、「仏教は因縁縁起の法が基本。あらゆる事物事象は因縁縁起の法によって存在しているにすぎず、因縁が変化することを教えているのが諸行無常であり、すべての存在は移りゆくものと知らねばならない。縁起の法理から観れば、健康の因縁が損なわれれば病を招き、病の因縁が損なわれれば健康になることが理解される」と解説。

その上で、『現実直視の仏教は生老病死は誰人も免れない真実であり病を特別視しない。病は好ましいことではないが、仏教では病そのものを忌み嫌い一方的に不幸の源と捉えてはいない。病に功罪二面を説く仏教では病を認め理解することによって真理に至ると教えている。人間の心身は精妙な存在で日々命の営みを続けられることは、因縁の連続であり奇跡が毎日起こっているようなもの。健康が当たり前ではなく、いつ健康が損なわれても不思議ではないのにたまたま今日は健康でいられるに過ぎないという認識が大切』と所見をお伝えしました。

【日蓮のことば】
日蓮法華宗の祖師日蓮大聖人は病についてさまざまな言葉を遺されていますので以下数編を紹介しました。
『病の起こりを知らざらん人の病を治せば弥病は倍増すべし』(種々御振舞御書)。
『病は肉より起これば治しやすし、節より起これば治しがたし』(日眼女釈迦仏供養事)。
『譬へば病のならひは何れの病も重くなりぬれば、是れにすぎたる病なしとをもう』(光日房御書)。
『病人に薬をあたふるにはさきに服したる薬の様を知るべし。薬と薬とがゆき合ひてあらそひをなし、人をそんずる事あり』(南条兵衛七郎殿御書)。
『夫れ人に二の病あり。一には身の病、所謂 地大百一・水大百一・火大百一・風大百一、已上四百四病なり。此の病は設ひ仏に有らざれども之れを治す。所謂 治水・流水・耆婆・扁鵲等が方薬、此れを治するにいゆて愈えずという事なし。二には心の病、所謂 三毒乃至八万四千の病なり』(治病大小権実違目)。
『病の起こる因縁を明かすに六有り。一には四大順ならざる故に病む、二には飲食節せざる故に病む、三には坐禅調はざる故に病む、四には鬼便りを得る、五には魔の所為、六には業の起こるが故に病む』(太田入道殿御返事)。
『大涅槃経の文の心は、仏法を信じて今度生死をはなるる人の、すこし心のゆるなるをすすめむがために、疫病を仏のあたへ給ふ。はげます心なり、すすむる心なり』(閻浮提中御書)。
『人の死ぬる事はやまひにはよらず。当時のゆき(壱岐)・つしま(対馬)のものどもは病なけれども、みなみなむこ(蒙古)人に一時にうちころされぬ。病あれば死ぬべしといふ事不定なり。又このやまひは仏の御はからひか。そのゆへは浄名経・涅槃経には病ある人、仏になるべきよしとかれて候。病によりて道心はをこり候か』(妙心尼御前御返事)。
『すでに仏になるべしと見へ候へば、天魔・外道が病をつけてをどさんと心み候か。命はかぎりある事なり。すこしもをどろく事なかれ』(法華証明抄)。
遺された言葉からは病にも功罪禍福さまざまな力用(りきゆう)があることがわかります。

法話会の結びは「学ぶべきこと」。
『池江さんの発病を彼女のこととするのではなく、自身のこと、家族のこと、友人・知人のことと想いをつなぐことが大切。病によって失うものと、病によって得るものがあることを知ること。人生はすべてが学び、諸行は無常という真実から目をそらすことなく、一日一日が貴重な存在であることを理解し、すべての存在に感謝の心をもって心豊かな人生を歩みたい』とのべました。
今月の世相のテーマも『病と向き合う』と重いものでしたが、池江璃花子さんの報道から病と向き合うことの大切さを皆さんと一緒に考えました。

相武山 山主

2019年03月27日