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相武山 妙法寺 ブログ

初冬の鎌倉を散策

12月8日(土)恒例の鎌倉歴史散策の会を開催しました。今年も鎌倉の歴史に造詣の深い酒井俊克さんのご案内です。参加者は熊木さん、高橋さん、芦川さん(2)、越智さん、久保さん、勝俣さん、安西さん、森さん、原さん、  口池さん夫妻、そして興厳房と私の15名。9時半には北鎌倉駅に集合。今年は「鎌倉五山を歩く」がテーマでした。鎌倉五山という言葉を聞くことはありますが、その内容をよく知りたいというリクエストによる企画でした。五山は中国禅宗の寺格に由来し、鎌倉時代から室町時代にかけて時の為政者の帰依を得て鎌倉五山、京都五山が制定されました。

私たちは気持ちの良い初冬の風情の中、鎌倉五山のうち浄妙寺以外の円覚寺、建長寺、浄智寺、寿福寺の四カ寺を巡り愉しく鎌倉の歴史を散策しました。北鎌倉の円覚寺や建長寺では開場間もないにもかかわらず、多くの見学者が境内を闊歩し結構な混雑です。よく声を聞いていると中国や韓国の方も多いようでした。両寺とも境内や諸堂が見事に整備され、その昔(学生の頃)を知る者としてはしばらく見学していないこともあって隔世の感を覚えました。

鎌倉五山を散策していても仏教寺院としての歴史や文化、そして景観は調えられていますが、現代に生きる私たちに仏教がいかに役に立つものであるかという主張は少し乏しいように思えました。観光寺院として歴史や文化を伝えることにも意義はありますが、「生きた仏教を・・・」という思いが自然に湧いてきました。

それにしても、著名な仏教寺院のほとんどは時の権力者の帰依と外護を得たものといって過言ではなく、現在の古刹名刹とよばれる寺院のほとんどは彼らによって開創されましたから、境内地も広くその財力によって堂宇も立派に建立されました。もちろん戦乱や時代の盛衰によって困難もあったでしょうが、外護者(スポンサー?)の勢力と思いが今に伝わってきます。徳川の時代には檀家制度の普及に伴って末寺と呼ばれる寺院が多数建立されましたが、それも仏道の開拓を志す僧侶や庶民の信仰によるものではなく、幕藩体制下による支配制度と各宗派の利害に基づくものでした。

時代が移り、現代における仏教寺院の建立は、例外を除いて権力者によるものではなく、およそ凡夫僧と庶民による仏教信仰のささやかな証となるものです。立派な伽藍を見上げながら、彼我の大きな違いに想いを馳せ、何ごとにおいても真の価値を求めて行かねばならないと思案しました。

散策の折々にはご案内の酒井さんから、鎌倉北条家の盛衰や足利家や上杉家の歴史について丁寧な解説を頂きました。聞いてもすぐに忘れてしまうのは無念ですが、現代は歴史が積み重ねられた上に成り立っているのですから、歴史を学ぶことは大切だと思います。
とはいえ、自然豊かな古都鎌倉は歴史を語らずともただ歩くだけで楽しいもの。初冬とはいえ名残の紅葉も美しく観じた散歩道でした。帰路にはいつものそば屋で皆さんと愉しく歓談し散会しました。

相武山 山主

2018年12月30日