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相武山 妙法寺 ブログ

諸法は実相と覚悟して

去る12日の朝、君津市慈照院住職、佐野縁道師の訃報を受けました。11日(日)円乗寺と願生寺の御会式に参詣した折、教区の僧侶より『慈照院さんは元気で3日には御会式を奉修された』と聞いていたばかりでしたから驚くばかりでした。
佐野師は昭和18年11月福島県の蓮浄寺に出生、昭和42年に日達上人の弟子として得度され、富津市の本顕寺に住職として赴任。昭和53年には本顕寺を君津市に移転新築されました。その後、日興門流の再興を求める正信覚醒運動に参画し、運動の永続と檀信徒の信行成就を願い、平成24年12月、現在地に新菩提寺慈照院を檀信徒と合力して建立されました。

師は青年の頃から清廉にして温厚篤実な性格で、僧俗ともに信頼の篤い方でした。枕経の折りに奥様から『信仰一筋のとても優しい方でした。常に仏法のため、信徒のため、お寺のため、という思いで最後までがんばっていました』とうかがいました。
16年ほど前から身体の不調を覚えられ、徐々に進む病状に戸惑いを覚えていたようですが、パーキンソン病と判明してからは、病と身体の不自由さを隠すことなく、従前通り日々の法務に精励され、難事業である新菩提寺建設も率先垂範、ご信徒を教導して完遂されました。実に見事な精神力でした。

病の進行もあって行事や諸法要には有縁僧侶の支援をうけることもありましたが、できるだけ自身で務めて居られました。思うようにならぬ身体にむち打ち、渾身の力をふりしぼって勤められる法務の姿からは、『僧道に生きる』という師の信仰心が伝わってきました。身体を斜めにしながらの読経・唱題、そしてご観念、声をふりしぼっての真剣な法話、お題目の太鼓も片手で打たれていたとうかがいました。

病を得たことを受け容れたこと、病を隠すことなく僧道に励まれたこと、そのすべては佐野師の信仰心と見識を顕すものであり、「諸法は実相」という法華経の教えの実践であります。諸法の実相とは一切の存在(諸法)はまこと(実)のすがたということで、私たちの知見する一切の存在に偽りはないということです。人が老いることも、病むことも、健康であることも損なうことも、思うようになることもならぬことも、その一切は真実であるとあるがままに受容し、覚悟することができれば自ずと道が開けると仏教では説かれています。
葬送の儀では、難病を受け容れあるがままの姿をご信徒や私たちに示された佐野師の深く強いご信心に改めて敬意を表した次第です。
どうぞ霊山において安らかにおやすみください。

相武山 山主

2018年11月28日