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相武山 妙法寺 ブログ

萩野さんとの約束

横浜市の北西、旭区下川井町に妙法院を移転新築したのが平成22年の11月。当山は開創以来檀信徒の皆さんと手を携えて仏道護持に努めてまいりましたが、この地でもすでに8年の歩みを刻みました。新寺建立の目的は「さらなる仏道の護持と弘通(法華経と日蓮大聖人の教えを護り伝えること)」でしたから、落成の翌春から毎月1回、『仏教に親しんで頂きたい、仏教と信仰を正しく理解頂きたい』と願って日曜法話会を開いてきました。本来寺院の存在は仏教を護り伝えることが本義ですので、その存在と活動のすべては布教につながっているものですが、当山の日曜法話会は一般の方々に少しでも仏教をお伝えし、仏縁を結んで頂きたいと意識して取り組んでいるものです。

【萩野さんとの約束】
この法話会は私にとって自らに課した大切な信行ですが、また、新寺の建立をきっかけに12年前に出会った萩野さんとの約束でもありました。萩野さんはお寺の裏手に住んで居られた地元の方で、墓苑開設の計画でご挨拶にうかがった時が初めての出会いでした。墓苑の新設工事などで度々言葉を交わすようになりますと、穏やかで見識も高く人徳も備えた方であることがわかりました。萩野さんには墓苑の新設や寺院の建設に温かく理解を頂いたばかりか、地域の方々にも開発に理解をもって頂けるよう陰に陽にご協力を頂きました。当山にはご恩のある方と今に深く感謝をしています。

萩野さんは地域の歴史や文化や習俗にも詳しく、また仏教にも関心をお持ちで知識も豊かなものがありましたから、お会いしたときにはしばしば仏教や信仰にも談が及びました。萩野さんは信心深い方で新寺の起工式や上棟式にもお祝いをお寄せになり、『落成も楽しみにしています』と言われ、『お寺ができたら法話会など開いて仏教のおしえを説いて下さい、お坊さんが仏さまの正しい教えを話されれば、人も救われ社会も善くなるんですから、私もうかがいますから・・・』とも仰っていました。私も社会に開かれた法話会を考えていましたので落成のあかつきには開催することを決めていました。

しかし、新寺落成の前に萩野さんは病床に伏すこととなり、楽しみにされていた法話会には一度も参加されることなく平成23年4月に逝去されました。私は訃報を聞いてすぐ弔問にうかがい、静かにやすまれていた萩野さんに読経・唱題を申し上げて冥福を祈り、ご厚誼を頂いた御礼と前月に初めて開催した日曜法話会の報告をいたしました。当山の日曜法話会にはこのような萩野さんと私とのささやかな願いと思いも込められています。

その法話会も今年で8年目を迎えました。第1回目の法話会は前述のとおり平成23年の3月でしたが、けっして忘れることのできない東日本大震災の直後でした。前日の夜まであれこれと考えながらレジュメを作ったことを覚えています。法話会は始めに「開催趣旨」をのべ、次に「世相」を取り上げて仏教的な視点から私の所感をのべ、次に当月の「テーマ」について語るというかたちにして現在に至っています。

【1月の法話会】
今年初めての法話会は1月の21日でした。毎年1月第2週、当山近隣の旭・保土ケ谷・瀬谷三区の新聞に折り込まれる地域広報誌に法話会開催の小さな広告を掲載していますが、今年も1月から11月までの開催日一覧を広報しました。ありがたいことに事前に電話のご連絡を頂いた方を含め初めての参加者が4名。その他檀信徒の方々や常連となられた方々など例月のように約30名ほどの参集を得て一緒に仏教の世界を愉しみました。

開催趣旨について説明した後、『世相』は「年の初めの祈り」と「豪雪に電車立ち往生」の二題。はじめに取り上げた「年の初めの祈り」では、普段宗教や信仰に関心が乏しいといわれる我が国でも、正月には国民の8割もの人が寺社仏閣などに参詣したり、初日の出など大自然を意識できる所に行って、敬虔な祈りを捧げ願いを立てることを常とします。まるで国民皆が日頃から仏神を深く敬う信仰者であるかのようです。

年の初めには誰もが立ち止まって自らと人生を見つめる時間の余裕を得ることができるからかもしれません。また、年の初めにあたって本能的に誰もが自分自身の力だけで生きているのではなく、不思議で偉大な力によって生かされ育まれ支えられているという真理に気づくのかもしれません。仏教で説かれる「止観」(止とは精神を集中し、心が寂静となった状態、観とは対象をありのままに観察すること)という言葉を通して、自らを生かし支え育んでいる存在(妙法)を覚知し、その存在に畏敬の念を抱いて新春のスタートを切ることの大切さをのべました。

次に取り上げた「豪雪に電車立ち往生」では、1月11日夜、JR信越線の新潟発長岡行き普通電車が新潟県三条市の踏切付近で走行不能となり、乗客約430人が車内に閉じ込められた事故が話題でした。。電車は約15時間半後の12日午前10時25分ごろ移動となり乗客も解放されましたがJR東日本の対応に対しては賛否両論があるようでした。事故の状況とその時の乗客や家族の心情を紹介した上で、「人生いつ何が起きても不思議ではないという認識が肝要であり、諸法は実相、事物事象をできるだけ正しく理解するように努めること。認識も対応も一人ひとり違いがあることを知ること。人生はすべてが学び、学びとできるか否かが問われていること」など私の率直な意見を申し上げました。

メインテーマ「続・日本の仏教」、サブタイトルー平安仏教と伝教大師最澄ーは、いつものように世相の話が長引いてしまい、本題に入れずに仏教の多様性と寛容性について、また、日本の仏教は日本という環境において成立している仏教であることを解説したにとどまり失礼をいたしました。

法話会に臨む時にはいつも萩野さんとの縁を思い出しながら、萩野さんが参加聴聞されているということを忘れることなく務めてまいりましたが、これからもその気持ちを大切に仏道の啓蒙に精進して行きたいと願っています。

相武山 山主

2018年02月26日