相武山 妙法院のブログ

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相武山 妙法寺 ブログ

全国大会と比叡山研修

今年の(宗)正信会の法華講全国大会は京都市のパルスプラザ稲盛ホールでの開催でした。毎年5月に開催される法華講全国大会は正信会僧俗代表が集い、覚醒運動の理念を確認し合いその意義を踏まえてより良い運動の進展をはかるものです。
今年も北は北海道から南は九州まで、お隣韓国からも大韓寺代表の参加を得て、無事盛大に開催されました。妙法院からも11名の法華講と興厳房と私が参加しました。大会の詳細は妙風新聞に掲載されますので此処では割愛させて頂きます。
【比叡山と伝教大師】
大会の後には1泊2日で伝教大師のご事跡研修に臨みました。伝教大師最澄は日本天台宗の開祖であり、平安仏教を切り開いて大乗戒壇を建立した日本を代表する名僧です。日蓮大聖人は青年期に比叡山に遊学され、天台法華宗の門弟として仏教の一切を修学研鑚されました。立教開宗の後も生涯伝教大師を尊崇しその教えと系譜を大切にされたのです。私たち日蓮門下にとって伝教大師は実にゆかり深く尊重すべき御先師であり、京都での全国大会を機縁としてその御事跡を研修できることは意義深いことと思い今回企画した次第です。
私自身は学生の頃から二十回ほど修学しており、信徒の方々をご案内したことも数回ありました。そこで今後のことを考慮して今回の企画は概ね興厳房に委ねました。興厳房は子供の頃に私に連れられて訪ねたことはあるのですが、すっかり記憶の彼方で、今回は企画を練るために新たに調べ直し、事前に研修のコースとガイドを「旅のしおり」にまとめて参加者に配布しました。研修会はこのしおりを手引きに実施されました。
研修には北海道札幌市の行足寺川田乗善師と清涼院川田仙征師、その講中の方々、妙覚院執事の松田盈尊師がご一緒されました。
【三井寺園城寺】
私たち一行は大会後、直ちに会場から貸し切りバスで大津市の三井寺に向かいました。三井寺は俗称で正式には長等山園城寺と称する天台寺門宗の総本山です。大会は曇り空でしたが三井寺に向かう頃には薄日が雲間からさすような天候となり、散策には好都合の空模様となりました。会場からは高速道路を使って約30分。車中では興厳房が三井寺について簡略に解説しましたが、突然仏教の歴史にふれても理解はおぼつかないものかもしれません。渋滞もなく予定通りに三井寺の駐車場に到着。山門となる仁王門にて集合写真を撮り、その脇にある受付で見学の手続きをすませて境内へ。まず右手にある室町初期に建築された釈迦堂、さらに奥に進んで三井寺の本堂となる国宝指定の金堂、その西側には三井の晩鐘で有名な鐘楼を見学、ここで鐘を一つき、境内にゴ~ンと梵音を響かせました。その後、高麗版一切経を納めた重文指定の一切経蔵、さらに三井寺開祖智証大師円珍のご廟所である唐院などを見学して、琵琶湖を望む観音堂へ。
三井寺境内の見学はほぼ平坦な道でしたが此処は坂を上ります。しかし、上りきると眺望が一気に広がり眼下に琵琶湖が見渡すことができました。苦労の後に喜びが来るように汗をかいた後には観光のご褒美を感じました。三井寺見学はここで終了。
三井寺は比叡山と同じ天台宗であり第五代の天台座主を務めた円珍を開祖とする寺院ですが、残念ながら比叡山延暦寺とは永く争う関係にありました。兵乱に巻き込まれた時代もありましたから、今日までその伽藍や経典類や教えを護持してくることは容易ではなかったと思います。しかし、三井寺は他の古刹・名刹同様、時の権力者や地方有力者などから厚い庇護を受けてきましたから、境内の景観や伽藍の豪壮さは現代の庶民が建立した寺院とは比較になりません。歴史の一コマに思いを馳せながら三井寺を後にして宿の雄琴温泉に向かいました。
【比叡山延暦寺】
【宗祖ゆかりの横川】
宿所を8時30分に出発。比叡山に向かうバスの車中では興厳房から伝教大師と比叡山についての説明をうけました。延暦寺は比叡山全体を寺域としていますが、現在の延暦寺は東塔・西塔・横川の三地域に伽藍が点在しています。今回は雄琴温泉からの研修ですので横川からのコースをとりました。順調に9時前には横川の駐車場に到着。受付所の前で妙覚院執事の松田盈尊師から横川境域の説明を受けました。
横川は第三代天台座主慈覚大師円仁によって開かれ、横川の本堂である中堂を中心に伽藍が配置されています。横川は日本浄土教の基礎を築いた恵心僧都源信の旧跡、日本曹洞宗の開祖道元禅師得度の地、そして日蓮大聖人修学の地として知られている境域です。宗祖の遺跡を伝える定光院までの道は近年整備されましたが、約20分ほどの山道を下らなければなりません。下るということは上って帰って来ることを意味しますから、各自の体力と体調が問題となります。それでも研修が始まったばかりで体力もありますから参加者多数が定光院に向かいました。途中の比叡山行院では修行僧の読経の声にふれ、此処が修行の世界であることを再認識しました。
横川は比叡山の東の端にありますが、宗祖のゆかりを伝える定光院はさらに奥まったところに在ります。定光院は私も若いときから幾たびか訪ねている宗祖伝説の地ですが、本堂が新築されるなど年々に整備されているのがわかります。管理主任の僧侶に挨拶をしましたら本堂に案内され、宗祖と定光院について簡単な解説を頂きました。丁寧な対応に感謝した次第です。帰途につく前には杉木立に向かって行足寺さんの唱導でお題目を三唱し宗祖をお偲びしました。帰りは上りの坂道、皆さんけっして若くはありませんから励まし合いながら駐車場にもどりました。
【静寂の西塔】
横川から西塔まではバスでの移動。横川で少し見学時間をオーバーしましたので、西塔の駐車場で西塔研修の時間を確認しました。西塔は第二代天台座主円澄によって開かれた境域です。少し距離はありましたが初めに伝教大師最澄がやすまれている御廟所浄土院に向かいました。何時訪ねても静寂の世界にたたずむ浄土院は趣の深い存在です。宗祖も此処に足を運ばれ伝教大師を偲ばれたことでしょう。
この日は正面の扉が開いており、年に一度の障子の入れ替えをしているところでした。作務をしている方によれば『一年で一度だけお堂の正面扉が開けられる日』ということでしたから、まさにグッドタイミング。お陰様で御宝前に掲げられている伝教大師の画像もかすかに拝見することができました。
その後、国の重文に指定されている常行三昧を修める常行堂と、法華三昧を修める法華堂を見学。続いてその奥に在って西塔の本堂にあたる釈迦堂(転法輪堂)を見学。このお堂は元三井寺の金堂でしたが、豊臣秀吉が文禄4年に西塔に移築したもので、延暦寺で現存する最古の建築物として国の重文に指定されています。
【叡山の中心東堂】
西塔から数分で東堂の駐車場へ到着。東堂は伝教大師が開かれた比叡山寺の中心境域です。全山の本堂にあたる根本中堂はその中心伽藍。バス駐車場からは時間の都合で国宝殿を通過して大講堂へ、この大講堂は比叡山の麓の坂本に在った讃仏堂を昭和39年に移築したもの。本尊は大日如来、各宗祖師の木造が安置され国の重文に指定されています。
大講堂から根本中堂へ向かいましたが、現在の中堂は徳川家光によって寛永19年(1642)に再建され、国宝に指定されています。一昨年から平成の大改修に入り工事中の見学となりました。暗闇が広がる堂内には「不滅の法灯」とよばれる灯火があり、静かで厳かな空間に座ると宗祖も此処に身を置かれていたという実感が湧いてきました。きっと身命を削られての修学修行の砌に祈りをささげられたことでしょう。
根本中堂を出た後は、中堂への山門にあたる文殊楼を見学し、小憩の後、戒壇院に向かいました。戒壇院は伝教大師の大願であった大乗戒壇の結晶です。一切衆生の救済を願われた大師の大乗戒はここで授けられました。大師の熱い思いに心を寄せながら、阿弥陀堂と東堂を見学してケーブルカーの延暦寺駅へ向かいました。距離はそれほどでもありませんでしたが、少々歩き疲れた研修者には厳しかったかもしれません。趣の在る駅舎に皆さんが集まったのは出発10分ほど前でしたが、無事にケーブルカーまでたどり着きましたので、今回の研修はほぼ達成できたかなと思いました。ケーブルカーは比叡山の急な斜面を琵琶湖に向かってすべるように下りてゆきます。わずか10分少々の乗車でしたが杉木立や比叡山の緑を楽しみながら、琵琶湖の眺望が開けるさまもあって、楽しい一時でした。
【坂本から京都へ】
予定ではケーブルカーの坂本駅から昼食を摂る鶴喜蕎麦屋までは徒歩で向かう事になっていましたが、皆さんの足の疲れから路線バスでの移動となりました。優しい運転手さんに導かれながら無事に蕎麦屋に到着。時間もほぼ予定通りでした。味に評判のあるお店ですから並んでいるお客さんもいましたが、私たちは予約してあったのでスムースに二階の和室に上げて頂き、美味しいおそばをゆっくりと堪能しました。評判通りの味に感謝しながら研修のラストコースは坂本散策です。
おそば屋さんからほど近ぐには伝教大師生誕の地生源寺。上り坂を進めば日吉大社に向かいます。石垣の積み方で有名な穴太積を見ることもできます。ここではそれぞれが思い思いに散策を楽しみました。午後3時半にはバスに乗車して坂本を後に京都駅に向かいました。4時には京都駅に到着、丁寧な運転で今回の研修会を無事にはこんで下さった運転手さんにお礼を述べ、参加者が相互に挨拶を交わして意義ある研修会は終了しました。

三井寺や比叡山は宗祖修学時の伽藍や境内そのものとはいえませんが、宗祖がご覧になられた山影や風光はほとんど変わってはいないでしょう。宗祖の息吹にふれ、伝教大師の志に思いを馳せた研修会でした。

相武山 山主

 

2018年05月31日

人権尊重の健全な社会

5月の日曜法話会は13日。この日は法話会の後に月例の宗祖御講と伊豆御難会の法要と続いてかなり多忙でした。さらに興厳房はかねてからの約束で静岡県磐田市の本妙院に重宝展観のため朝から不在でしたので、私は前日から法話会と御講のための諸準備に追われ、開催の1時間ほど前にようやく落ち着いた状態でした。それでも開催の40分ほど前から一般の参加者がお出でになり、始まる頃にはいつものように30人以上の方々に着席いただき無事に開催のはこびとなりました。

日曜法話会の趣旨を述べた後には「世相」について。今月のテーマは「財務次官の辞任」でした。4月18日、女性記者への「セクハラ発言」疑惑が取り沙汰されていた財務省の福田淳一事務次官が突然の辞任。はじめに辞任の経緯とその問題点を解説しました。その上でセクハラに対する社会の見識が問われていると考え、「セクハラ」から「ハラスメント」について、さらに「ハラスメントは人権尊重意識の欠如」であることを述べ、「人権を尊重する健全な社会」を願う意見を伝えました。

セクハラとはセクシュアル・ハラスメントの略語。性にかかわる不快な言動を意味し、一般的には男性から女性への言動を対象としますが、女性から男性に対しても、また同姓であってもセクハラは起こります。端的には相手が不快と思う性的な発言や行動をすることですが、一人ひとりの人権を尊重し男女平等社会を追求する現代においては厳しい批判の対象となっています。

また、ハラスメントはセクシュアルなものだけが対象ではなく、その種類は多様で他者に対する発言・行動等が本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えることすべてに及びます。
類例をあげれば地位や人間関係などの優位性を背景とするパワーハラスメント、人格や尊厳を傷つけ、精神的にダメージを与えるモラルハラスメント、性別を理由に性格や能力を決めつけるジェンダーハラスメント、医療従事者が、患者や患者家族に対して行う心ない言動のドクターハラスメントなど多岐にわたります。
これらのハラスメントを行う人に共通しているのは、基本的人権の尊重という認識の欠如です。基本的人権とは『人間が人間らしく生活するために、生まれた時から持っている権利』であり、日本国憲法では侵すことのできない国民の権利として保障しています。

憲法には国民に平等権・自由権・社会権・参政権・受益権の五つの基本的人権が謳われています。中でも平等権は他の権利の根幹となり、男女の性別や、人種、国籍、家柄、社会的身分などで差別してはならないとし、個人相互において人間としての価値に差異はないという平等思想が貫かれています。
学ぶべきこととしては、『ハラスメントは憲法で保障している国民一人ひとりの人権を軽視する愚行でありけっして許されないことであり、私たちは相互の人権が尊重される社会こそ健全で安らぎのある世界であることを認識して、みんなで各ハラスメントの解放に努めるべきである』ことをお伝えしました。

法話会のテーマは「続・日本の仏教」(弘法大師空海とその教え)でした。法話会では昨年から継続して日本の仏教について解説しています。インドの釈尊によって開創された仏教はその普遍性に加えて寛容性のためにアジアを中心とした世界に伝播し、各地の文化や伝統、信仰や習俗を受容しながら多くの人々を救済してきました。そのために、それぞれの時代や地域によって仏教には豊かな多様性がみられます。したがって現代の日本の仏教も今日までの日本仏教の歴史をよく学ばないと理解ができません。

前回は平安仏教を開いた伝教大師最澄について学びましたが、今月は同時代の双璧とされ真言密教の宗旨を立てた弘法大師空海について学びました。天才の誉れ高く貴族など多くの人々の尊崇をあつめた空海。宝亀5年(774)讃岐(香川県)の豪族の家に誕生し、青年期に都に上って学問を修め、後に仏教僧となり、入唐して真言密教を伝え、朝廷の帰依を受けたその生涯を略述しました。弘法大師の一生を簡略に学び、その著述や真言密教については次回6月の法話会にゆずりました。これからも日本仏教の歴史をよく理解しながら、現代の人々を救済する仏教を求めて行きたいと思います。
今月の法話会はセクハラから人権尊重の大切さを学び、日本仏教に大きな足跡を残された弘法大師空海について学びました。

相武山 山主

2018年05月30日

静かにゆかり深い人を偲んで

当山は緑豊かな環境に恵まれ、その自然のすべてに私はいつも感謝の思いを向けています。ことに朝のお勤めの後には本堂正面の扉を開けてその清々しさに向き合い、感謝を言葉に出してのべています。瑞々しい新緑に満たされる初夏には尚のこと思いがつのります。樹木のみどりの色は皆同じように見えますが、実は一木一樹それぞれにちがいます。目をこらしてみますと光沢や軽重、柔らかさや風合いなど微妙に異なるのがわかります。私たち人間も百人百様ですが樹木も同様なのです。その一木一樹のあるがままの姿を愛でたいものです。

そんな風情のなか、連休明けに緑区の落合さん夫妻がお二人だけの法事で参詣されました。いつも当山の法会や行事に欠かすことなく参詣参加されているご夫妻ですが、この日は奥様のお父様と弟さん、そして娘婿になる方のご両親への年忌追善のためのお参りです。御宝前と精霊壇に供物を供え、各精霊のお塔婆を建立して法華経要品を読誦、焼香、唱題と如法にお勤めを申し上げました。
お参りの後でお二人は『実家で営んでいるかどうかわかりませんから、気になっていたので、供養ができてほっとしました。皆さんの喜んでいるお顔が浮かんできました』とうれしそうに語っていました。
ゆかり深い人の冥福を祈って追善の供養を捧げることができるのは、仏教信仰の一つの喜びであり安らぎではないかと思います。

相武山 山主

2018年05月29日

薫風のなか重宝御虫払会

爽やかな初夏の風が下川井村を吹き抜ける4月29日(日)、当山において立教開宗会と重宝御虫払会を奉修いたしました。今年の法要には静岡県磐田市の本妙院奥興正師と坂口興妙師のご臨席を賜り、約50名の檀信徒の皆さんと共に立教開宗への御報恩と妙法護持の誓願を仏祖三宝尊に申し上げました。

法要の前には私から立教開宗と御虫払の意義についてのべ法要の進行次第を説明しました。次に本妙院の奥興正師が挨拶を兼ねて本妙院所蔵重宝の解説をされて法要は開式。専心に法華経方便品と寿量品長行を読誦、自我偈は訓読させて頂き、太鼓の妙音に合わせた唱題のなか、参詣者は本堂内陣に進みご奉掲の妙法曼荼羅と宗開両祖の御影画など、当山と本妙院所蔵の重宝を親しく内拝されました。
参詣、読経、唱題それぞれが仏道の功徳を積む修行ですが、古えからの先師先達の尊い信心を観じる内拝は、仏法護持という仏教徒としての自覚を新たにさせて頂く信行でありすばらしいことです。

内拝の後は私からの挨拶で小憩となり、皆さん客殿や寂静庵、ロビーや境内で昼食を摂りました。昼食の後には法要に華を添えて頂くチターの演奏会です。演奏は今年で4回目となりますが日本チター協会会長の内藤先生の演奏です。先生は参詣者のために親しみやすく楽しめる選曲をされ、澄んだ奥行きのある演奏で聴衆を魅了されました。映画音楽のメドレーや童謡や歌謡曲など、私たちも知っている曲では先生の演奏に合わせて口ずさんでいました。途中、先生の教授を受けている芦川裕子さんの演奏に加わり、楽しい時間はあっという間に過ぎ、先生に御礼を申し上げて演奏会は終了。

その後、寿量品自我偈を読誦し唱題裡に重宝をお巻上げ奉納をさせて頂き、新緑の瑞々しい風光のなかで執り行われた法要の一切をつつがなく閉式しました。

相武山 山主

 

2018年05月01日