相武山 妙法院のブログ

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相武山 妙法寺 ブログ

無事これ幸い

伊豆大島を中心に台風26号による大きな被害が生々しいところに、27号28号と二つの強い台風が日本列島に接近という報道に接し、ここしばらくは緊張が走っていましたが、幸い 26日昼過ぎには関東の南を通って東北から北海道の南方海上へと抜けていったようです。40名以上の死者行方不明者を出した伊豆大島の大雨による土石流災害によって、豪雨と土石流による災害への意識は高まりましたが、自然の災害はいつも私たちの想定を越えるもので、思いが及ばなければ非力な私たちは大きな被害を被(こうむ)ることになります。

一つの生命体である地球の一員として、自然を構成する存在の一部として、私たち人間も生滅(しょうめつ)変化してやまないこの世界の一員であることを認識しなければならないのですが、平穏で平和な時間が流れていると、それが当たり前になって自然の営(いとな)みには、ときに私たちの思議を超えた猛威が存在することを忘れがちです。
今回、未明に突然被災された多くの方々の悲嘆の声が止むことはないと思います。それほど辛く悲しい災害でした。犠牲者の方々のご冥福をお祈りするとともに、島民の方々が一日も早く落ち着いた生活に入れるように願うばかりです。また私たちも自らの周囲の環境に心をくばり、いつ何が起きてもおかしくない世界に生きていることを自覚しなければならないと思います。

私たちは人生を賜ったそのときから、欲(煩悩)という内なる強い力と押し合い引き合いしながら人生を歩んでまいります。一概に言い切ることは難しいことですが欲にも善悪があり、人生ではさまざまな体験と学びを修めながらそれぞれの価値観を磨き上げ、悪しき欲望を慎み、善き意欲を発揮してゆくことが望まれます。しかし、およそ我欲に引かれやすい私たちは、「あれがほしい、これがほしい、ああなれば、こうなれば、ああだったら、こうだったら・・・・・」という欲望と愚癡(ぐち)に陥(おちい)りやすいものです。もちろん、仏道の教えの上から私たちは凡夫の身でありますから、それはそれで結構ですが、できれば、恵まれているいろいろなことにも思いをいたし、あらゆる物ごとへの感謝の心を涵養(かんよう)したいものです。

愚かな身としては、けがや病気になってはじめて健康のありがたさを知るように、また、失ってはじめてその大事さに気がつくように、大災害を目の当たりにした今、改めて日々の無事に感謝する心をしっかりと意識したいと思います。

私たちは人間としての貴重な生命を頂き、仏縁(ぶつえん)まで結ばせて頂いたのですから、何が起きても不思議ではないこの世界、無事であるということが幸いであることに気づき、何げない一日一日の生活を感謝(南無妙法蓮華経)の心で大切に・大切に過ごしたいものです。

相武山 山主

2013年10月29日

しっかりとした検証を

台風26号は10年に一度という勢力で関東に接近するという気象報道があり、当山でも15日の朝から雨風に注意をして片付けをしていました。本堂の向拝(ごはい)と両扉は木造なので台風などが来るときはいつも畳を上げますが、今回も昼過ぎから畳を上げておきました。16日の朝には心配のお電話を数本頂戴しましたが、強い雨は降りましたが思いの外時間は短く、一方朝方から午前中にかけてはかなりの強風でした。台風の風はおよそ南から吹きつけることが多いのですが今回は北風でした。また、北側の雨戸は一年に一度も閉めることがないので、取り付ける必要がなかったかなと思うこともありましたが、人の心は勝手なものです。やはりあって良かったと今回は大変心強く感じた次第です。使用頻度は少なくても必要なものは必要だということでした。

当山では後片付けと吹き荒らされた枝葉の掃除に時間はとられましたが、幸い事故も損害もありませんでした。しかし、16日朝のニュースで伊豆大島の土石流の災害報道に接してびっくりしました。数時間で800ミリ以上の豪雨にみまわれ、火山灰土が大きく崩れ流された事による大災害です。それも深夜から未明のことですから、まったく打つ手がなかったということだと思います。19日現在、死者行方不明者が約50名という大災害となってしまいました。私たちの思いを超える自然の猛威にはなすすべをもちませんが、被災された方々の無事救済と生活への救援が速やかに行われることを祈るばかりです。また突然の災害に命を失われた同胞の方々へ心からのご冥福をお祈りいたします。
災害の実態と原因については現在さまざまな意見が述べられていますが、しっかりと検証して再び同様の災害を招かないようにすることができなければ、亡くなられた方々の無念は晴れないことでしょう。関係者ばかりでなく国民皆んなでじっくりと考えなければならないと思います。

さて、去る13日の日蓮大聖人の御報恩講には多数の方々がご参詣になり、倶に宗祖へのご報恩を申し上げました。月例の御講は平日でも信心の篤い方々が20名から30名ほどお参りになりますが、13日は末法の法華経の行者である宗祖の御命日忌で、日蓮門下では心ある方々に毎月意識されている日です。当日は川崎市の常度寺様のお会式があるため、午前11時から御講を執り行いました。その後、本堂でご案内のとおり「お花つくり」をしました。人数が多いと作業もはかどります。この日で今年のお花作りは終了となりました。ご協力頂いた皆さまには大変ご苦労様でした。
当山のお会式は、11月2日(土)午後6時からお逮夜法要。3日(日)午後2時から御正当法要を執り行います。ご家族法友さそいあわせてご参詣ください。

明日(10/20)は午前11時から今年10回目の日曜法話会を開催します。テーマは前月の法話をまとめる「続・生をみつめて」です。法話会は広くお寺を開放して「仏教に親しんでいただこう」というのが趣旨で、檀信徒の方や友の会、そして一般の方と仏教を学ぶ機会としているものです。私も緊張しながらまた楽しみながら臨んでいますのでよろしくお願いします。

相武山 山主

2013年10月19日

お初を供える

秋の季語でもある金木犀の花が咲き独特の香りが当山境内に漂っています。近年は芳香剤のイメージが強いキンモクセイですが、常緑の葉の間からかわいいオレンジ色の花が顔を見せ、あまい香りが深まる秋を知らせています。私にとってこの樹木と香りは、子供の頃の大石寺・御宝蔵のイメージとダブります。今はわかりませんが約50年ほど前、小僧として修行させて頂いていたお山の御宝蔵周囲にはこの木が植えてあって、この時季になると辺り一面に良い香りを流していました。

小僧の頃の秋のイメージは上野村の田んぼに実った稲穂と熟した柿、学寮(がくりょう)の見事な銀杏(いちょう)とそのギンナン拾い、そして掃いても掃いても取り切れない枯れ葉といったところでしょうか。そして秋も深まる11月の20日頃になると、一年で最も重要なお会式(おえしき)を迎えてお花作りや大掃除という作務(さむ)に励むことになります。お会式を迎えるとお山も冬支度で小僧も足袋をはくことが許されますが、枚数も少なくこまめに手入れもしませんから、冬でも皆例外なく素足での修行を余儀なくされていました。あの当時と変わりのない香りにふと小僧の頃を思い出した次第です。

去る一日(火)のお経日(おきょうび)の後に、参詣者の方々とお会式の桜の花をつくりました。今回は4尺の竹ひごにつぼみと花と葉をテープで巻き付ける作務です。お陰様で100本ほどの花が出来上がりましたから残りは半分ほどとなりました。13日(日)の午前11時からの御講の後に引き続いてお花つくりをする予定ですので、次回にはすべて出来上がることと思います。20日(日)の日曜法話会の後にもお花つくりを予定していましたが、不要となりそうで有り難い限りです。ご協力ありがとうございました。

さて、今年の新しいお米「新米」を御宝前にお供え頂きました。もう20年ほどにもなりますか、市川市の松浦さんは年に数回定期的に実家の茨城県稲敷市の弟さんの手になる白米を御本尊様にお供えされています。丹精されたお米でいつも有り難いことと思い感謝しておりますが、この時季届けられるお米は今年収穫されたばかりの新米です。いつものお米も松浦さんが自慢されるようにとても美味しいお米ですが、新米はまた格別といったところでしょうか。食生活も各家庭で異なり、食の好みもまちまちですから一概には言えませんが、稲作を文化とする我が国の歴史から、私たち日本人にとって秋のお米の収穫は一入(ひとしお)の思いがいたします。
ふっくらと炊きあがった新米を仏器に盛り、ふくいくとした香りと共に御本尊様にお供え申し上げ、ご報恩の心を込めて鈴を打つと、自然の恵み・農業の営み・信仰のこころ・それらのすべてが有り難いことと、感謝の思いがじんわりと湧いてまいりました。

季節の作物を初めて仏様にお供えすることを「お初(はつ)を供える」といいます。これはお寺でも各家庭でも同様ですが、仏様を恭(うやま)う心がかたちに表れたものです。信仰のその心を皆んなで大切にしたいものです。

相武山 山主

2013年10月08日