相武山 妙法院のブログ

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相武山 妙法寺 ブログ

10月の日曜法話会

現在、日曜法話会では日本の仏教史を継続的に学んでいます。
仏教はインド出生の釈尊によって創唱された世界宗教です。その基本思想は普遍的なものですが、その寛容性と多様性から時代や地域によって異なりがあるのも事実です。私たち日本における仏教もインド原始仏教やと東南アジアの仏教、中央アジアや中国・韓国の仏教とは異なる日本的な仏教ということがいえるでしょう。そのいわれを知るためには日本仏教の歴史を概観し理解する必要があります。

10月の法話会では先月に引き続き、平安時代中期~後期の仏教「浄土信仰から専修念仏について」。
念仏信仰とは本来「仏を念ずる信仰」であったものが、阿弥陀仏の救済を信じて西方極楽世界に往生を願う信仰となり、当初は観想念仏(仏身・仏国土を憧憬の念を持って想い敬う念仏)であったのが、南無阿弥陀仏と弥陀の名号と唱える称名念仏となり、やがて一切の仏教経典を措いて専ら称名念仏に努める専修念仏にいたったながれを解説。
次に「浄土信仰の担い手」として、平安時代の寺院は国の管理下にあり、浄土思想は主に都の貴族の信仰であったこと。また、(官)僧は現代でいう公務員であり、官僧は制約も多く、国家のために仕事に専念するしかなかったこと。そのような制約により、庶民の救済ができない状況に嫌気が差して官僧を辞し、個人的に教化活動する「私度僧」が現れるようになり、大寺院に所属しない名僧を「聖」(ひじり)ということなどを説明。

続いて念仏僧として著名な「空也」「良源」「恵心」について簡略に解説。下級貴族の間に浄土教が広く普及していくに従い、上級貴族である藤原氏もその影響を受け、現世の栄華を来世にまでという思いから浄土教を信仰。やがて末法思想の流布と共に浄土信仰は大きなうねりとなり、日本の仏教は国家管理の旧仏教から民衆を救済の対象とする大衆仏教への転換期を迎え、浄土信仰は法然によって専修念仏へと向かったことを解説。
最後に専修念仏を主張し日本浄土宗を開宗した法然の生涯と著述、思想と教えについて略述して法話会を結びました。
今年最後となる11月度の法話会は18日(日)に開催。テーマは日本仏教に大きな影響を与えた「末法思想」についてです。
皆さまの参加聴聞をお待ちしています。

相武山 山主

2018年10月29日

有志竟成とその語録

10月度の日曜法話会は14日の開催。

「世相」では『本庶教授、ノーベル賞を受賞』をテーマに取り上げました。
2018年のノーベル医学生理学賞は京都大高等研究院の本庶 佑特別教授(76)と米テキサス大のジェームズ・アリソン教授の2氏に授与されました。
従来のガン治療は「手術・放射線療法・化学療法」で、外部からガン細胞を除去する治療方法でしたが、両氏の研究によって新たに免疫療法による治療の道が切り拓かれたことが受賞の理由です。免疫研究によって創られた新ガン治療薬が「オプジーボ」。免疫のブレーキとなる「PD-1」と呼ばれるタンパク質の働きを妨げることで、がん細胞を免疫に攻撃させて治療する薬です。この研究と薬剤のお陰で多くのガン患者が救われました。

本庶教授の座右の銘は「有志竟成」(堅固な志を持つ者は必ず目的を成し遂げられる)であり、モットーは『知りたいという好奇心』と『簡単に信じないこと』と報じられていました。何ごとにおいても明確な志がなければ目的を立てることすらできませんし、目的を立てたとしてもその志が軟弱であれば成し遂げることなどできません。すなわち、人生においては志を立てるということが第一であり、次にその志を強く堅いものとなるように磨いて行くことが大切なのです。その実践に努めたならば、自らの願うようなかたちになろうとなるまいと、目的は成し遂げられたことに気づくことでしょう。人生において「好奇心の大切さ」と「むやみやたらに信じることの危険性」にも同感しました。

教授から語られた語録には価値のあるものが多く、そのいくつかを法話会の参加者にご紹介しました(以下)。
☆ 「優れた研究者には6つのCが必要」
「challenge(挑戦)」 「confidence(自信)」 「courage(勇気)」 「concentration(集中力)」 「curiosity(好奇心)」 「continuation(持続性)」 。
☆ 知りたいと思う、不思議だなと思う心を大切にする。
『土星の輪がなぜああいうふうにできるのか知りたかった(小学生の頃)』
☆ 教科書に書いてあることを信じない。
(基本と言われていることに疑問を投げかけ、新しいことを発見したり、応用してオリジナリティなものを作ることが大切)
☆ 『本当はどうなっているんだ?』という心を大切にする。
(自分の目でモノを見る、納得する、そこまで諦めない)
☆ 『科学は多数決ではない。既存の概念を壊す少数派の中の中からこそ新しい成果が生まれる』
☆ 『何が大切かについて生命科学は100人いたら100通りの解がある。どこに課題があるかすら分からない。たくさんのことをやってみないといけない』
☆ 物事に不可能はない。必ず道があるとの思いでやってきた。
☆ 実験というのは失敗が当たり前で、一回一回のことでめげていたらダメ。
☆ 『多くの人が石ころと見向きもしなかったものを、10年、20年かけて磨き上げ、ダイヤモンドであることを実証すること』
☆ 『子どもの頃に、野口英世の伝記を読んで、医師として研究者として、非常にたくさんの人の役に立ちたいと思いました』

・・・・・
優れた研究者はすぐれた人生の先達といえるでしょう。

相武山 山主

2018年10月29日

暴風と塩害

今年は台風の当たり年でしょうか。ついこの間強い台風が来襲したばかりと思ったら、9月30日の夜には風24号が和歌山県に上陸。近畿地方から東北へ日本を縦断して行きました。
各地に暴風の被害をもたらしたこの台風は、当山の門扉と竹垣を吹き飛ばし、境内一面に樹木の枝葉を乱舞させ、1日の御経日の前に作務を増やしてくれました。また、台風の時には当山本堂南側と正面南側の扉から雨が吹き込むことも多いので、前日の夜には畳を上げて用心して居ましたが予感的中でした。それでも大事に至らなかった事は何より有り難いこと。「無事」はすべてに優先して尊いことと感謝しています。

台風の通過から2日ほど経って三師塔裏手のイチョウの葉の色が半分変わっていることに気がつきました。まだ黄葉でもないのにどうしたのかな?と見ているうちに台風の塩害かもしれないと思い、調べてみるとどうもそのようです。横浜市の北西部にあたる当山ですが、直線距離にすれば東京湾から10キロ、相模湾から20キロもありません。あの猛烈な風に海水が飛ばされてきたのでしょう。自然の力の大きさに驚くばかりです。

相武山 山主

2018年10月28日

明るい笑顔が忘れられません

お寺の行事などでいつもご協力頂いていた横須賀市の新倉進一さんが急逝されました。新倉さんはお父さんの松五郎さんとお母様の信仰を継がれて、当山開創当時からのご信徒です。横須賀市にお住まいでしたし、長く仕事をしておられましたから、岸根や羽沢の時代にはあまり参詣することができないようでしたが、妙法院が現在地に移転する頃から少し時間がとれるようになり、積極的に参詣されるようになりました。ここ数年は年中行事はもちろん毎月の法話会には必ず参加されていました。

また、遠路にもかかわらず兄弟の皆さんと一緒に「境内の草取りや堂宇の清掃」にもご協力いただき、御会式や総会等の時には駐車所の整理に奮闘して頂きました。明るい笑顔で参詣者に声をかけられていた姿が忘れられません。

9月の法話会には出席されていましたが、その後持病の心臓病のために緊急入院され、いつも欠かすことのない彼岸の法要にも参詣されませんでした。弟の昇三さんから彼岸会のおりに状況をうかがっていましたので朝夕の勤行の砌に御平癒を祈念しておりましたが、9月29日に急逝されました。行年81歳でした。新倉さんもご苦労の多かった人生のようでしたが、晩年には心置きなく法華経の信仰に励んでおられましたから霊山浄土は間違いないことと存じます。ご家族の方々としめやかに葬儀を執り行い心よりご冥福をお祈り申し上げました。
進一さんありがとうございました。

相武山 山主

2018年10月28日

秋のお彼岸

今年の秋の彼岸の入りは20日。その前日頃から墓所や永代供養墓にはご縁のある方々がお参りにお見えになり、檀信徒の方々からは有縁精霊やご先祖への塔婆建立願いの電話やファックスが届きました。夏のお盆が過ぎたばかりですが当山のご信徒の多くは秋のお彼岸を疎かにされることはなく、信仰心が薄くなってきたといわれる世相にあって尊いことと感じた次第です。
当山の秋季彼岸の法要は23日(日)と24日(月)の両日午後1時から。時に秋の行楽シーズンに入って当山周辺の保土ヶ谷バイパスや中原街道は、ズーラシアや東名高速のインターに近いこともあって道路はかなりの混雑。参詣者の中にはすっかり遅れてしまった方もありましたが、その思いやりの心は有縁精霊とご先祖に必ずや通じていることでしょう。
法要は如法に献膳・読経・焼香・唱題とお勤めし、富士日興門流先師への御報恩、当山檀信徒有縁諸精霊と願い出の塔婆供養諸霊への追善ご回向を申し上げました。
その後の法話では「聖人知三世事」を拝読。
『仏道では冠婚葬祭の仏事執行も大切であるが、日頃から法華経や日蓮大聖人の教えを学び自らの人生に仏教の叡智を活かすことが大事』
『法華経をなぜ読誦しているのか、南無妙法蓮華経のお題目をなぜ唱えているのか、自らの信仰を問いかけ、自分のことばで素直な回答ができるように心がけてほしい』
『宗祖は佐渡から身延における最後のご教導において、度々「日蓮は不軽菩薩の跡を承継する」と仰せであり、不軽菩薩の「担行礼拝の姿勢、順縁成仏の理解、其罪畢値の自覚」の教えを理解し、共に法華本門の正しい信仰を身につけて行きたい』等々申し上げお彼岸の法話としました。
法話の後にはお花作りにもご協力頂きありがとうございました。

相武山 山主

2018年09月30日

法話会と龍口会

秋の訪れを感じる9日(日)は9月度の法話会でした。法話会「世相」のテーマは「地球のいとなみと共に生きる」と題してのお話。7月の西日本豪雨災害、9月初旬の台風21号の関西地方上陸と北海道胆振東部地震とうち続く自然災害についての私の意見でした。
はじめに災害の状況を以下のように説明。
西日本豪雨水害は7月初旬、岡山県・広島県・愛媛県を中心に西日本を襲った平成最大の豪雨災害で、死者行方不明者230名、負傷者訳420名、住家全壊6296棟、半壊1万0508棟、一部破損4379棟、という大水害。9月4日、猛烈な台風21号が関西に上陸。関西地方では強風による被害が発生、関西国際空港が高潮で冠水、フェリーが専用道路に衝突。交通機関がマヒして大きなの影響が出た。
9月6日、北海道胆振地方で夜明け前にM7の強い地震が発生。強い地震により丘陵が崩壊して土砂崩れ。死者35名、心肺停止2名、行方不明3名、負傷者約650名という犠牲者と被害が出た。札幌市街では地盤の沈下が発生、ライフライン(電気、水道、ガス、通信など)が停止。ことに電力供給ができず「ブラックアウト(すべての電源を喪失)」となった。交通機関のマヒし物流システムが混乱した。
説明の後に学ぶべき事として『私たちは地球(宇宙)と共に生きている。地球(宇宙)も一つの生命体であることを知る。自然と共に生きるということは地球と共に生きるということ。すべての存在には正と負があることを知る(自然からの恩恵と脅威)。自然災害は「いつ・どこで」起きても不思議ではないという見識を持つ。自然災害から人的災害にならぬように努める。適切な情報提供が求める。各自の責任において自然災害への準備をする(自衛)。互いに助け合う精神を実践(寄付やボランティアなど)。平凡な日々の生活にこそ感謝の思いを持たねばならない。』という私の所見をお伝えしました。

続いて限られた時間でしたが法話会のテーマ「続・日本の仏教 ー平安中期仏教についてー」。日本の仏教は鎮護国家・貴族氏寺・学問仏教であり、平安仏教では天台宗・真言宗による顕密二教が隆盛をほこり、やがて浄土往生信仰へ移行した経緯を説明。インド・中国・日本の浄土思想について簡略に解説して9月度の法話会を結びました。

【なぜか スイカ?】
法話会の後にはランチタイムをはさんで午後1時から「龍ノ口法難会」を奉修しました。ランチタイムの時に参加者から『墓苑にスイカができてますよ』というお報せを頂きました。よく見てみるとカロートの土にはうツルの間から可愛い小さなスイカが見えました。言われるまで全く気がつかなかったので驚きました。私たちが植えたわけでもないのに、どうしてこんなところにスイカができたのでしょうか。7月のわらべ会でスイカ割りをして食べた時の種でも転がっていったのか、それとも鳥が運んできたのか、いずれにしても自然は面白いな~と思いました。

【龍ノ口法難会】
午後1時からは龍ノ口法難会を奉修。参詣の檀信徒の皆さんと共に法難の意義をかみしめながら読経・唱題を勤め、法華経を身読された宗祖への御報恩を申し上げました。その後、「四条金吾殿消息」を拝読。龍ノ口法難へ至る宗祖のお振舞いを簡略に説明。御書『この度法華経の行者として流罪・死罪に及ぶ。流罪は伊東、死罪はたつのくち。相州のたつのくちこそ日蓮が命を捨てたる処なれ。仏土におとるべしや』より、宗祖にとって龍ノ口法難はすぐれた宗教体験であり、その後の佐渡から身延における宗祖の御内証表白と御化導の礎となっていることをお伝えしました。
私たちも自らの宗教体験を意識して信仰を深めて行きたいものです。

相武山 山主

2018年09月29日

猛烈な台風21号と北海道の地震

猛烈な台風21号の日本上陸が報じられる9月4日、(宗)正信会教学部と秋季学林研修会のために大阪に向かいました。数日前から交通機関のマヒが予想されていたので取りやめも考慮して検討していましたが、結局、早朝便で伊丹空港に向かった次第。幸いこの一便だけは飛んでくれたので午前11時から会議を行うことができました。それでも会場にほど近い新大阪駅を歩いているとすべての交通機関が止まっており、コンビニやお店もほとんどが休業状態でした。もちろん人通りもまばらです。6月に起きた大阪府北部地震では交通機関が広範囲でマヒし、大きな混乱が起きましたからその学習効果で猛烈台風には慎重に備えていたようです。

雨は降りしきっていましたがまだ風はそれほどでもなく、静かな環境で集中して会議ができました。その後、昼過ぎから風がうなりを上げて横なぐりに吹きはじめ、会議を終えて梅田のホテルに行こうと新大阪駅に行くとすべての交通機関が止まっておりタクシーには長蛇の列でした。新大阪駅でJRと地下鉄の開通を待つこと4時間半、19時頃にようやく地下鉄が動き始めてホテルに向かうことができました。せっかちな私にはしばしの精神修養となったひとときでした。
翌朝には台風も通過していましたが交通機関の混乱は続き、関西空港をはじめ近畿各地では高潮と強風による被害が報じられていました。学林研修会も近畿圏の対象者が寺院布教所などの被害によって参加できず、遠方の参加者は前日から工夫して新大阪を目指したようでしたが定刻には間に合わない人が出ました。中には前日の昼過ぎに東京駅から新幹線で大阪に向かったものの品川駅で長時間停車の上、結局運休となり朝は朝で新幹線が大混雑でお昼前にようやくの到着でした。また、東北からの参加者は前日福島を午前中に出たものの、新幹線が動いたり止まったりで結局午前4時過ぎに新大阪に到着したということでした。

【秋季学林研修会】
1日目の学林研修会は交通機関の問題もあって参加者はかぎられてしまいましたが、「現在の日興門流の信仰と布教について」をテーマに、参加者が自分の所見を披露、積極的に意見交換を行いました。午後からは興風談所の坂井法曄・菅原関道両師の講義を受講、門流上代の歴史などを学び、宗祖の法義の基本にかかわる名字即成仏について研鑽しました。猛烈な台風は去ったものの、学林2日目早朝には北海道胆振地方でマグニチュード7の強い地震が報じられました。夜明け前の強い地震によって大規模な土砂崩れが発生、多くの被害者が想定される旨の報道に不安を覚えながらの研修会となりました。北海道の同志や寺院布教所の安否を気遣いながら、午前中には菅原関道師による「日蓮教学の基礎について」の講義を受講して秋季学林研修会は終了。
この日は引き続いて宗教法人正信会の責任役員会と運営会議が開催され、それぞれに出席し夕刻の便で帰路につきました。今回の大阪行きでは台風と地震に直面し、自然の猛威の前には私たちのできることは限られていることを改めて学ぶことになりました。

相武山 山主

2018年09月28日

夏季一日研修会

8月最後の日曜日、檀信徒の方々より希望のあった「夏季一日修養会」を開催しました。法華経と日蓮大聖人への信仰を正しく受持し深めて行くためには、当然のことその教えを学ぶことは欠かせません。教えを学ばなければ何を信仰しているのか、何のために信仰しているかが明らかとなりませんから、より良い信仰のためにもその教えを学ぶことが大切であることは言を俟ちません。
当山では年中の諸行事を中心に僧俗ともに信行を磨く機会を設けており、その折りには法話を通して「仏教、法華経、日蓮大聖人の教え」を共に学んでいます。また、仏教に親しんで頂くことを目的とした日曜法話会を毎月開催、一般に解放して仏教と信仰について少しでも正しく理解願いたいと努めています。
心ある方には法話会も悦んで頂いていますが、より深く法華経や宗祖の教えを集中して学びたいという声も予て寄せられていました。そこで今年から一日研修会開催を試みることにした次第。夏季としたのは今後そのほかの季節にも開催できれば、大乗仏教の精華である法華経と末法の愚迷の衆生を「信の一字」で成仏へと導く日蓮大聖人の教えをお伝えできるのではないかと願ってのことです。時間的制約や私の能力についても定かではありませんから先のことはわかりませんが、仏法の護持と弘通のためにはできるだけ前向きに努力して行きたいと考えています。

【仏教の基本について】
当日の予定では10時からの境内の草取りを行い、11時過ぎから昼食をはさんで16時まで仏教を学ぶという企画でした。記録的な猛暑の今年を印象づけるような陽射しの中、9時半頃から一人また一人と草取りに汗を流して頂きました。11時頃には作業を終え身繕いをして、皆さん学習用の長机の用意された本堂に入られました。
1時限目は「仏教の基本について・釈尊の生涯」。レジュメにしたがっての講義です。
始めに「仏教は日本の歴史や文化、政治や社会、人々の思考や精神に大きな影響を与えている存在」であることを説明。その上で「仏教は宗教。信仰や修行を通して実践し体得すべき世界。知識は盲信・迷信を排して信を深め行を推進することに寄与する。仏教はその普遍性と寛容性によって多様性が在ることを認識する。仏教といっても時代により国や地域により大きく異なる(インドの仏教、東南アジア諸国の仏教、中央アジアの仏教、中国の 仏教、韓国の仏教、日本の仏教)。」ことを解説しました。
続いて「仏教の原点を確認しよう・釈尊について」。仏教を知るためには当然のこと釈尊についての正しい理解がなければなりません。「仏教は仏となるための教え。釈尊は覚りを得た釈迦族の聖者。仏教を正しく知るためには釈尊の人生を学ばねばならない。覚者としての仏陀ではなく人間釈尊を知る(史実と伝説の違い)。釈尊を敬うことはその求めた道を敬うこと」等々から、釈尊のご一生をについてお話をして1時限目の講義は終了。

ランチタイムをはさんでの2時限目は「仏教とは」から「仏教の基本的思想」についての
講義。現代仏教の諸相を示して「仏教からイメージ(寺院・僧侶・冠婚葬祭等)されるもの。仏教諸宗派の違い(拝む仏さまとその教え)について。現代仏教諸相の意味するもの」等々について詳しく解説しました。
続いて仏教諸宗派に違いはあっても仏教と名乗る以上、基本的思想が存在していなければ仏教とはいえないことを説明。「三法印と四法印。四諦。八正道。六波羅蜜。三宝」などについて解説しました。基本思想に続き「仏教は現実主義」であり、現実をあるがままに受容し人生を歩むという仏教の姿勢について説明。諸法の実相を正しく知見することの大切さを述べました。次に仏教経典の成り立ちと展開について詳しく解説して2時限目の講義を終了。

【法華経のこころ】
小憩の後の3時限目の講義は「法華経のこころ」。大乗仏教の精華であり妙法による衆生救済が説かれた法華経について学びました。はじめに大乗仏教の興起時代インドで「サツダルマ・プンダリーカ・スートラ」として編纂された法華経の成立について説明。その後、北部インドや中央アジアの仏教国に伝播しシルクロードを通って中国に伝えられた経路をたどりました。中国では「六訳三存」といわれるようにさまざまな訳経僧によって翻訳され、ことに鳩摩羅什訳の「妙法蓮華経」が名訳とされ今日まで1600年の命をたもって広く衆生を利益していることを述べました。
仏教諸宗とその依経について簡略に述べ、続いて法華経こそが仏教の根本聖典とされ、中国仏教界を統一された隋代の天台大師智顗と天台法華宗について解説。さらに日本の歴史や文化に親しまれた法華経について述べ、日本仏教と法華経のいわれについて解説しました。ここでは飛鳥の聖徳太子の時代から奈良平安、鎌倉室町、昭和の日蓮法華宗・日蓮正宗や法華系新興宗教までを概観。

次に法華経とその構成について鳩摩羅什訳の妙法蓮華経にそって解説。妙法蓮華経は二十八品から構成され、前後に開経として無量義経、結経として観普賢菩薩行法経を置き法華三部経とすること。また、大きく本門と迹門に分けて解釈するいわれを述べました。
法華経の中心テーマは「一切衆生の成仏、仏の永遠性とその救済、菩薩道の実践」にあること伝え、私たち日蓮門下が日々に読経申し上げる方便品からは「仏の甚深の智慧、仏の出世の意義、一仏乗の差別なき救い」。寿量品からは「久遠の仏の存在、一切衆生の成仏を願い導く仏の慈悲」を会得しなければならないことを述べ、共々に菩薩道の実践に励もうとお伝えしました。
レジュメはこの後「法華経と日蓮大聖人」を用意していましたが、予定の午後4時を迎えたためにここで平成30年の夏季一日研修会は終了。残暑の中、行学研鑽のために参加して頂いた檀信徒は約20名でした。その篤い信仰心に敬意を表した次第です。

相武山 山主

2018年09月28日

衆生本有の妙理を観る

月遅れの8月のお盆には今年もご縁のある方々が三々五々お見えになられました。本堂に上がってお参りされることはなくても、本堂の前や三師塔の前でお参りされ各墓所や久遠廟に向かわれ有り難いことと思った次第です。お参りされた諸精霊もきっと悦ばれておられることでしょう。

故人を偲ぶ心がなければお参りしようという思いは生じないのですから、お参りされるその姿には故人や先祖を思う確かな心があるのがわかります。仏教では身(しん)・口(く)・意(い)の三業(さんごう)を調えることが大切と説かれますが、仏教では「心に思い、言葉によって伝え、行動で顕す」ということが求められます。心で思っているとか言葉で伝えたという方がいますが、やはり行動に現れてこそ、その思いは通じることになるのです。

当山では12日、13日、15日の三日間、盂蘭盆会の供養を執り行いましたが、13日は宗祖日蓮大聖人の月例のご報恩講であり、15日は終戦記念日で戦没者追善法要が主体でした。それぞれに勤行をつとめ法要の趣旨にそったご祈念を申し上げした。
その後、一生成仏抄
『夫れ無始の生死(しょうじ)を留めて、此の度決定して無上菩提を証せんと思はば、すべからく衆生本有(ほんぬ)の妙理を観ずべし。衆生本有の妙理とは妙法蓮華経是れなり。故に妙法蓮華経と唱へたてまつれば、衆生本有の妙理を観ずるにてあるなり。文理真正の経王なれば文字即実相なり、実相即妙法なり。唯所詮一心法界の旨を説き顕はすを妙法と名づく。故に此の経を諸仏の智恵とは云ふなり。
一心法界(いっしんほうかい)の旨とは十界三千の依正(えしょう)・色心(しきしん)・非情草木(ひじょうそうもく)・虚空刹土(こくうせつど)いづれも除かず、ちりも残らず、一念の心に収めて、此の一念の心法界に遍満するを指して万法とは云ふなり。此の理を覚知するを一心法界とも云ふなるべし。
但し妙法蓮華経と唱へ持つと云ふとも、若し己心(こしん)の外に法ありと思はば全く妙法にあらず、麁法(そほう)なり。麁法は今経にあらず、今経にあらざれば方便なり、権門(ごんもん)なり、方便権門の教ならば、成仏の直道にあらず。成仏の直道にあらざれば、多生曠劫(たしょうこうごう)の修行を経て成仏すべきか。故に一生成仏叶ひがたし。故に妙法と唱へ蓮華と読まん時は、我が一念を指して、妙法蓮華経と名づくるぞと、深く信心を発(おこ)すべきなり』 を拝読。
『衆生が迷妄をはらい苦悩を乗り越えて真の安らぎを得る成仏の境地は、自身に備わっている本有の妙理を観ることであり、その本有の妙理とは妙法蓮華経であるから、一心法界の旨を心得て、我が心の中に妙法が存在することを深く信じて唱題に努めることが大切』
と日蓮大聖人の御心をお伝えしました。

参詣者の皆さんは猛暑の中、菩提寺まで足を運び、御宝前に供養をささげて信行の功徳を積まれました。盂蘭盆の時にあたってご先祖有縁精霊にご回向されたことは、あらゆる存在はすべて妙法のはたらきによるものであることを信じ敬う志を顕したものであり尊いことと存じます。

相武山 山主

2018年08月31日

新盆とお経参り

仏教では逝去された方がはじめて迎えるお盆を新盆または新盆とよび、例年と異なり丁寧に仏事を営むのを常といたします。当山でも今年は平塚市の足立さん、中区の𠮷田さん、同じく𠮷田さん、多摩区の石井さん、緑区の阿部さん、港南区の加藤さんの新盆供養にお参りしました。

お盆については前のブログでそのいわれや歴史を少々解説しましたが、お盆はどこでも同じだろうと考える方も多いようです。しかし、お盆も時代や地域、宗派や各家庭などによって異なりがあり一様ではありません。まして、現代の社会環境では昔のように玄関前に迎え火を焚き、墓所に御霊を迎えに行ってひと時を過ごし、送り火を焚いて見送るということも難しくなっています。私は今の時代、その家や家族に見合ったお盆で良いと思っています。

ところで、新盆はご先祖を迎えて共に一時を過ごすというよりも、幽明境を異にした家族を親しく迎える一時のような気がします。つい先日まで一緒に生活していた家族が今年はその姿を見ることができないという、まさに人生の無常を感じての営みであり、思いやりの情愛がにじんで来るようなたった一回の仏事です。今年の夏も対象となるすべてのご家庭で新盆のお参りをさせて頂きましたが、各ご家庭ごとに皆さまの優しさが伝わってきました。

また、当山では開創当時から夏を中心に檀信徒宅の御本尊様にお参りする「お経参り」をしています。お盆経や棚経などと同じ気持ちで始めたのですが、各ご家庭にうかがってともに読経・唱題をお勤めして、「ご家族の信行増進とご健勝、ご先祖有縁精霊への追善供養」を申し上げています。お経参りは親しく言葉を交わす好機でもありますから大事にしているのですが、日時や双方の都合がつかず毎年10軒~20軒ほどしかうかがうことができません。

今年お参りにうかがって自分でも驚いたのは港南区の中澤宅が7年ぶり、都筑区の森家が6年ぶり、多摩区の芦川宅が4年ぶりということで、その他も数年ぶりということでした。忙しさにかまけてずいぶん失礼していたと反省しています。お寺では交わせぬ話もご家庭でうかがえることができますし、ゆっくりと言葉を交わすことで信頼も深まることになりますからこれからは興厳房と共に精進したいと思っています。

相武山 山主

2018年08月30日